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やる気が上がる8つのスイッチ コロンビア大学のモチベーションの科学 (コロンビア大学モチベーション心理学シリーズ)
著者:ハイディ・グラント・ハルバーソン
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
本書の要約
私たちは3つの軸をよくすることで、人生を変えられます。マインドセットの軸では「成長」を目指し、
自分が得るものにフォーカスし、自分に自信を持つことで、結果を出せるようになります。他人との比較をやめ、過去の自分と比較し、成長を楽しむようにしましょう。
証明マインドセットと成長マインドセット
証明マインドセットを持つ人は「すごい人と思われたい」。成長マインドセットを持つ人は「すごい人になりたい」。(ハイディ・グラント・ハルバーソン)
社会心理学者のハイディ・グラント・ハルバーソンは、モチベーションを上げるための3つの軸と8つタイプを作りました。
① マインドセットの軸=「証明」を目指すか?「成長」を目指すか?
② フォーカスの軸=得るものにフォーカスするか?失うものにフォーカスするか?
③ 自信の軸=自信が大きいか?小さいか?
タイプ1 中二病(Teenager)
タイプ2 うざいやつ(Showoff)
タイプ3 臆病者(Neurotic)
タイプ4 退屈な人(Stick in the mud)
タイプ5 やる気の空回り(Eager Beaver)
タイプ6 まじめな見習い(Alert Apprentice)
タイプ7 新星(Star Who’s (almost)Born)
タイプ8 熟練の匠(The Expert in the Making)
私たちはモチベーションを上げる3つの軸をよくすることで、自分の人生を変えられます。
マインドセットを変える5つのステップ
そのためには以下のトリガーワード(引き金になる言葉)を使います。
・学び
・改善
・発展
・成長
・前進
まずは、将来的にいつも自分がこうしたいと思っていることを書き出してみみます。その後で、右の成長を意識させる言葉に言い換えてみるのです。その際、「証明」するのではなく「成長」することを意識します。以下の例を参考に、成長マインドセットを手に入れましょう!
①私はよきリーダーになりたい。→私はよきリーダーになるために必要なことを学びたい。
②時間配分をうまくしたい。→私は時間配分を上手にこなせるようなスキルを身につけたい。
③体によいものを食べ、運動を定期的にしたい。→私は食生活と生活習慣を改善していきたい。
④よい人間関係の中に身を置きたい。→私はよい人間関係を持つために必要なスキルを学びたい。
①(if)もし、午前中に報告書を書き終えられなかったら、②(then)午後最初の仕事は、その報告書を書き上げることにする。
ステップ3、期待値を変えてみる
成長マインドセットを持つには今までとは違った目で世界を見直していくことが必要になるかもしれません。能力があれば何でもすぐにうまくいくという考えを捨てましょう。困難や難題にぶつかったときには逃げたり手っ取り早く解決しようとしたりするのではなく、腰を据えてじっくりと取り組むことが必要だと考えましょう。その過程でミスもするかもしれませんが、それでいいのです。
時には人の力を借りましょう。どんな人も自分一人ですべてをこなすことはできないと考え、良いチームを作るのです。
ステップ4、他の人と比べない
他人との比較をするのをやめ、自分の成長にフォーカスしましょう。昨日の自分と今日の自分を比較することが重要です。
ステップ5、根気よく続ける
気がついたときに自分のマインドセットを変えることをしていけば、そのうちにそれが自然にできるようになっていきます。何年もの間、証明することにいつも焦点を当てて考えてきたのであれば、それを変えることはすぐにはできません。自分の行動を変え、あきらめずに続けることで、成長できるようになります。
たとえ、失敗しても自分が「努力不足だった」「戦略を間違えた」「プランを練らなかった」などと考える人は、努力を続けることができます。自分でコントロールできることに原因があると考えれば「成功は自分のがんばり次第」と信じることができるからです。成長マインドセットを手に入れることで、人は結果を出せるようになります。
ポジティブ・シンキングの罠
ポジティブ・シンキングに頼り過ぎると、失敗することがあります。「非現実的な楽観主義」が目標達成を妨げてしまうのです。心理学者のガブリエル・エッティンゲンは、病的に肥満している女性たちにダイエットプログラムへの参加を依頼しました。そして参加者には事前に「このダイエットに成功できると思うか」を質問しました。プログラムの終了後の結果は「成功できると思う」と答えた人は「わからない」と答えた人より13キロも減量に成功しました。
エッティンゲンは参加者たちに、「食べ物の誘惑に打ち勝つのはたいへんだと思うか」あるいは「ドーナッツや食べ放題の誘惑に簡単に打ち勝てると思うか」を質問していました。結果は驚くべきものでした。「簡単に食べ物の誘惑に打ち勝てる」と答えた人は「そう簡単にはいかない」と答えていた人に比べて13キロも重いままだったのです。
エッティンゲンは、就職活動中の大学生や、婚活中の独身者、股関節手術をした高齢者など、他のさまざまな分野でも同様のパターンを発見しています。
現実的に物事を見て、同時に楽観的でいられる人は、就職活動では、より多くの会社に履歴書を送ります。婚活では、より多くの結婚相手の候補者にアプローチし、手術後のリハビリには、より辛抱強く取り組む傾向がありました。現実的な楽観主義者のこうした態度が、成功確率を格段に高めるのです。
「成功するのはたいへんだ」と思っている人は「最善の努力をしなければならない」と考えるので、大きな成功をつかむことができるのです。彼らは惜しみなく努力し、問題が起きることを予見し、対処方法を計画し、いざ問題が起きたら粘り強くことに当たります。その結果、成功にたどり着けるのです。
「自分の望むことしか起こらない」と考える非現実的な楽観主義者は、成功への道に転がるさまざまな障害や困難を考えに入れることができません。そして、深く考えずに、危ない賭けに出てしまいます。そんな人たちは、「成功するのは簡単ではない」と心配する人に「ネガティブな人物」とレッテルを貼ります。不安を抱く人を笑い飛ばして、障害を予測することを嫌がるのです。しかし多くの研究でも証明されている通り、「不安に思って障害を探すこと」は成功への大切なステップなのです。
では、どうやったら「現実的な楽観主義者」になれるのでしょうか?まずは「自分の前に横たわる課題や困難から逃げないで、しっかり見つめること」そして「課題や困難がどの程度のものなのかを検討すること」が重要だと著者は指摘します。
自分のゴールを明らかにし、様々なオプションを用意するのです。「プランAがだめなら、その次のプランBは?」といったように、多くの選択肢を考えておくと、成功する確率を高められます。最短距離だけでなく、寄り道や抜け道も考えておく人が最終的に目標達成する人なのです。
私たちは3つの軸をよくすることで、人生を変えられます。マインドセットの軸では「成長」を目指し、
自分が得るものにフォーカスし、自分に自信を持つことで、結果を出せるようになります。他人との比較をやめ、過去の自分と比較し、成長を楽しむようにしましょう。
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