ガムを激しく噛むとパフォーマンスがアップする??


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科学的に自分を変える39の方法
著者: 堀田秀吾
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

 

本書の要約

自分のパフォーマンスをアップしたければ、ガムを噛むとよいという調査結果がありあす。変化に適応できる力を養いたければ、外交的なフリをするのもありです。パブリック・コメントを行い、自分の役割を演じることで、人は結果を出せるようになります。

適応力こそが最高の武器!

古代から現代まで、時代を超えて必要なのは適応力だということです。 現代的な意味での「状況適応力がない」とは、「ルールや前例がなかったり、急な変更が起きたりすると対応できない。機転が利かない」ということ。裏を返せば、「ルールを守っていれば怒られない、独自の行動をすると怒られるかもしれないからやりたくない」ということ。つまり状況適応力がないということは、不安な気持ちが強いということです。 (堀田秀吾)

堀田秀吾氏の科学的に自分を変える39の方法書評を続けます。時代が急激に変化する中で、企業もビジネスパーソンも適応力を鍛えなければ、生き残れなくなっています。しかし、人間には「生の保持」や「種の保存」が本能として備わっているので、前例にならうことが正しいと考えがちです。

そのため、人は命の危険につながるかもしれないと捉え、前例がないことにはチャレンジしません。では、本能レベルの不安に打ち勝ちながら、状況適応力を身に着けるにはどうすればよいのでしょうか。

アイルランド国立大学コークのアレンとカーディフ大学のスミスは、ガムを噛む場合と噛まない場合、噛み方、噛む時間などさまざまな違いをつけた上で、仕事の生産性との関係を調べる実験を行いました。そして、仕事中にガムを噛みながら作業をすると、ストレスが減り、注意力が上がり、パフォーマンスや生産性が多少向上するということを明らかにしました。

特に、ガシガシと一所懸命ガムを噛むと、「新しい情報の処理」においてパフォーマンスが高まるそうです。状況適応力や機転を利かせる力というのは「新しい情報の処理」と関わりが深いので、ガムを噛むことを試してみてもよさそうです。

適応力を鍛えるためには、コミュニケーション力が鍵になります。

適応力というのは、基本的にはコミュニケーション能力が大きく関係しています。コミュニケーション能力が高い、つまり外向性の高い人は、情報収集能力に長け、他者との関わり合いの中で問題解決方法を導き出していきます。 逆にコミュニケーション能力が低い人は、状況把握が自分一人で問題を解決しようとしたりするために適応力が低下するのです。

コミュニケーションを高めるために、外交的なフリをするという方法があります。ソニア・リュボミアスキーらの研究で、123人の被験者に1週間にわたって「通勤電車の中で見知らぬ人に話しかける」など、意識的に外向的に振る舞い、その後の週間は内向的に振る舞うように指示しました。

その結果、外向的に振る舞った週のあとは幸福度や満足度が高まった一方、内向的に振る舞った週のあとはあまりポジティブな感情になることがなかったことがわかりました。この実験結果は、誰でも外向的になりきって、その恩恵を享受できることを示しています。

外向的人間のように行動すると、肯定的な感情と充足感が味わえます。これに対して内向的人間のように行動すると、それらが減ってしまうのです。(ソニア・リュボミアスキー)

リュボミアスキーは、人間が本来社会的動物であることがその理由だと指摘します。私たちには社会への帰属欲求があり、他人とのつながりを求めています。外交的に振舞うことで、人との関係がよくなり、適応力を高めることができるようになるのです。

パブリックコメントを行い、理想の役割を演じよう!

人生という壮大な舞台で、ひとつの役をこなすつもりで演じてみるのもひとつの手かもしれません。そうすることで、高い幸福感まで手に入ってしまうのですから儲けものです。

1971年に、心理学者のフィリップ・ジンバルドーによって行われた「スタンフォード監獄実験」によって、私たちたちは役割の重要性を理解できます。スタンフォード大学構内の、本物の刑務所のように作られた設備に、新聞広告で健康的な大学生が20数名集められました。彼らを2つのグループに分け、それぞれ「看守役」「囚人役」の役割を与えました。

そして、2週間という期間を設け、与えられた役割の通りに”刑務所ごっこ”をして過ごしてもらいました。すると時間が経つにつれて、看守役の人たちは支配的な性格に変化したのです。日が進むにつれ、囚人役の人たちは服従的になり、看守役は罰を与え、禁止されていた暴力をふるうなどしました。リタイアする囚人役も出て、実験は2週間ともたず、約1週間で中止されました。

「人は役割の通りに行動するのか否か」という実験の目的を知らず、割のいいアルバイト気分で参加した被験者たちは、本当に刑務所の看守のように乱暴な振る舞いをし、囚人役は追い詰められていったのです。人は与えられた役の通りに行動することが、恐ろしい結果をもって証明されたのです。

監獄実験はとても特殊な設定であり人道的にも問題がありますが、この「役割」を会社という組織やチームの中で明確にすれば、自ずとリーダー役を演じられるかもしれません。

他人に対して自分の意見や立場を明確にすると、一貫した人間に見せようと努力し、そうなろうとする意識が働くことを「パブリックコミットメント」と言います。

自分がリーダーなのですから、パブリックコミットメント効果を使って、「私がリーダーです」と宣言します。そして、メンバーには「あなたがサブリーダー、あなたが調査係、あなたが……」という風に役割を与えてしまうことで、チームが機能します。メンバー各々が自分の役割に従った行動を「演じ」始め、”社会的手抜き”も減らせます。よいリーダーになりたければ、理想のリーダーのストーリーを作り、それを演じればよいのです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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