不可能を可能にする天才とは?ネットフリックスのリード・ヘイスティングスもその一人!

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不可能を可能にせよ! NETFLIX 成功の流儀
著者:マーク・ランドルフ
出版社:サンマーク出版

本書の要約

創業時の起業家は成長するたびに問題を抱えます。その問題を解決するためには、事業のビジョンを周りに伝え、よいフィードバックを得ることが重要です。ある種の天才起業家には不可能を可能にする力があります。ネットフリックスのリード・ヘイスティングスもまさにそんな天才のうちの一人なのです。

事業の選択と集中が、起業家にとって、なぜ重要なのか?

スタートアップ企業は孤独だ。誰からも信じてもらえず、うまくいきっこないと何度も言われてきたものに取り組んでいる。世界にたったひとりで対峙しているようなものだ。だが現実には、たったひとりではやれない。協力を求めなければならない。他の人を自分一角の考えに引き込まなければならない。あなたの情熱を共有してもらわなければならない。(マーク・ランドルフ)

マーク・ランドルフ不可能を可能にせよ! NETFLIX 成功の流儀書評を続けます。DVDのレンタルサイトをスタートした著者は、DVDのレンタルが伸びないという課題を抱えます。DVDの販売が伸びても、ここにはやがてアマゾンが参入することがわかっていました。当時のネットフリックスは、DVDレンタル事業を絶対に成功させなければなりませんでした。彼はCESに出かけ、ソニーや東芝などのDVDプレーヤーメーカーとの提携を結ぼうと努力を重ねます。

力のないスタートアップにはレバレッジ戦略が必要で、マークはなんとか東芝との提携にこぎつけます。これは両者にとって、ウィンウィンの契約でした。ネットフリックス、はDVDプレーヤーの持ち主に対して最適なタイミングでアクセスできます。東芝側も、二の足を踏んでいる買い手に対して、購入したDVDプレーヤーで再生するものが見つかると説得することで、機器の拡販ができます。プロモーションについては外箱に「お買い上げでDVD3枚を無料レンタル!」と宣伝するだけです。その後、ソニーとの提携も決まり、このアイデアはうまくいくように思えました。

しかし、残念ながらDVDの無料レンタルされても、リピーターは生まれませんでした。このタイミングでアマゾンからのM&Aの話が浮上します。IPOをしたばかりのアマゾンは、進出したい事業領域に競合会社の買収を仕掛けていたのです。買収金額は投資家のリード・ヘイスティングスが期待した数字に届かず、2人はジェフ・ベゾスの提案を蹴ります。ここで彼らは事業の選択と集中を行います。

私がネットフリックスで学んだ重要な教訓のひとつが、創造的なアイデァ創出や適材集めだけでなく、集中する必要性だった。スタートアップ企業では、ひとつをやりとげるだけでも難しいのだから、仕事の数が多ければ難しさは増す。やろうとしていること同士に類似性がなく、むしろ邪魔し合う場合はなおさらだ。集中は必要不可欠である。集中の対象が無理難題に思えても。いや、だからこそだ。

売り上げ全体の3%しかないレンタル事業に事業を集中することを決めたマークとリードに次の課題が襲ってきました。DVDの仕入れやソニーとの東芝とのキャンペーンが彼らのキャッシュフローに悪い影響を及ぼしていたのです。

起業家は不可能を可能にする!

結局のところ、不可能を可能にするのが優れた起業家である。ジエフ・ベゾス、スティーブ・ジョブズ、リード・ヘイスティングス。皆、誰もできると思わなかったことをやってのけた天才たちだ。そして一度それができれば、再びできる可能性は指数関数的に高くなる。

資金調達のために、シリコンバレーのIVPへのマークのプレゼンはあまり良いものではありませんでした。事業の見通しが明るかったからでも、売り込みが完壁だったからでも、マークのスライドと熱意に感銘を受けたからでもありませんでした。IVPが投資を決めたのは、事業を成功させた実績のあるリードが取締役にいたからです。どれほど不可能な状況でも、リードは奇跡を起こす能力のある天才だったのです。

ネットフリックスの創業1年目にマークは次の教訓を得ます。

創業1年目に学んだ教訓のひとつは、成功が問題を生むことだった。成長はすばらしい、だが成長によってまったく新たな問題が立ち現れる。

スタートアップには問題がつきものです。成長するたびに、次々に新たな課題が生まれます。マークは当時以下の問題に頭を悩ませました。
■チームに新しいメンバーを迎えてもなお自分たちらしさを失わないためにはどうすればよいか?
■会社のアイデンティティを守ることと拡大を続けることをどう両立させるか?
■失うものができてからもリスクをとる姿勢をどうやって貫くか?
■上手に成長するにはどうすればよいか?

マークは創業時に優秀な社員に自由な裁量を与えることで、ネットフリックスの企業文化を確立します。

私たちは自由な議論が時に激しても容認される会社を作った。指揮命令系統よりアイデアが優先される会社を。問題が解決するのであれば誰が解決してもかまわない会社を。服装規定や時間厳守より、貢献度と創造性が重視される会社を。

しかし、ネットフリックスが小さな会社から脱却するためには、人事ガイドラインが必要でした。 創業チームですべての仕事をこなすのをやめたとき、事業がスムーズに運営されるようにするためには、業務を成文化しなければなりません。イノベーションを起こすだけでなく、組織を強化することも、起業家の重要な仕事なのです。この後、創業者のマークは投資家のリードから思わぬ提案を受け、葛藤します。その話については次回書きますが、不可能を可能にする起業家リードの提案からネットフリックスは、成長を加速していきます。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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