先のことは誰にもわからない?マーク・ランドルフの不可能を可能にせよ! NETFLIX 成功の流儀の書評


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不可能を可能にせよ! NETFLIX 成功の流儀
著者:マーク・ランドルフ
出版社:サンマーク出版

本書の要約

創業者のマーク・ランドルフが、投資家のリード・ヘイスティングスにCEOの座を譲るという決断によって、ネットフリックスは成長します。2人が共同経営することで組織が強くなり、彼らの代名詞になったサブスクリプション・モデルが生み出されました。

ネットフリックスが成長できた理由

私が単独CEOとして経営を続けてもネットフリックスは生き残ったかもしれない。だがこれは生き残る会社についての本ではない。リードがリーダーとしてより大きな役割を引き受けなければ、ネットフリックスが今日のような会社になっていなかったのは疑いようがない。(マーク・ランドルフ)

マーク・ランドルフの不可能を可能にせよ! NETFLIX 成功の流儀書評を続けます。ネットフリックスの創業者のマークは、創業後しばらくして、事業が軌道に乗ったところで、投資家のリード・ヘイスティグスから思わぬ提案を受けます。マークには人事や財務などの能力が足りないところがあり、それを補うためにリードをCEOにすべきだと言われるのです。

マークは苦渋の決断をし、1999年にCEOの肩書をリードに譲ることにしました。その後、この決断が正しかったことが証明されます。ネットフリックスの会社の経営には、マークとリードの2人の力が必要だったのです。

組織が大きくなるなかで、ビジョンを共有できない社員が増えてきました。ネットフリックスの創業メンバーが生み出した文化を成文化しなければとならないタイミングで、リードはパティ・マッコードをネットフリックスに引き入れます。

彼女はネットフリックスの個性が自由と責任の独自の組み合わせにあることに気づき、メンバーの自由を制限するのではなく、促進し守るような体制を導入するために力を尽くしました。例えば、休暇を取る際には、その理由を報告しなくても良いというルールを採用します。社員は仕事がうまくまわるように、自分が不在時の穴埋めを手配すればよいのです。

無制限の休暇日数と手間要らずの費用精算などを導入し、自由を制約するような既存の制度はすべて撤廃しました。同時に、経営トップも含め全員に説明責任を持たせました。誰かに嘘やごまかしがあれば、パティはそれに文句をいい、自由で働きやすい職場を作っていたのです。

変化はスタートアップ企業の現実のひとつである。ゼロから何かを立ち上げるときは、有能で情熱あるゼネラリストたちが活躍する。何でも少しずつこなせ、会社のミッションに賛同してくれ、こちらの時間とお金とアイデアを安心して預けられる人々だ。だがゼロが1になり、蒔いた種が育ち始めると、入れ替わりが起きる。起業当初は適材だった人が会社のライフサイクルの中盤になって合わなくなるのだ。

ネットフリックスが大きくなる中で、創業メンバーは去り、パティなどの新たな人材がネットフリックスを突き動かすことになり、成長が加速して行ったのです。

先のことは誰にもわからない!

先のことは誰にもわからないからだ。これはハリウッドに限らない。シリコンバレーにもあてはまる。「先のことは誰にもわからない」は悲観ではない。ただあらためて気づかせ、背中を押してくれる言葉である。先のことは誰にもわからないならどのアイデアが優れていてどれがそうでないのかあらかじめ知りえないなら、誰が成功し誰が成功しないのか知りえないなら、だからこそどんなアイデアにだって成功の可能性がある。先のことは誰にもわからないなら、自分を信じなければならない。自分を試さなければならない。そして失敗をいとわず挑戦しなければならない。

マークとリードは、課題を解決するためのブレストを絶えず行いました。レンタルのリピート率が上がらない中で、延滞料金を撤廃したらどうなる?というアイデアに入れ込むようになったのです。ネットフリックスはここで大きな仮説を打ち立て、テストマーケティングを行います。通常であれば一つ一つのアイデアを検証しますが、時間がないと感じたリードは、同時に3つのアイデアをテストさせます。
1、ホーム・レンタル・ライブラリ
延滞料金廃止の可能性についてメールで非公式の調査を行ったところ好意的な反応が返ってきたため、月15.99ドルで一度に4枚のDVDが借りられて好きなだけ手元に置けるプランを採用しました。1枚返却すればサイトに戻ってまた1枚借りられるようにしたのです。
2、シリアライズド・デリバリー(自動発送)
観たい映画を「キュー」というリストに登録し、DVDが返却されたら自動的に次の映画を送れるようにしたのです。
3、サブスクリプション
今では珍しくなくなった月額料金をスタートしました。
この3つのアイデアは好感され、顧客がクレジットカードを自ら登録しはじめました。サブスクリプション・モデルを採用することで、ネットフリックスの成長が始まったのです。

ダメなアイデアは確かにありますが、実際に試してみるまではダメかどうかわかりません。ネットフリックスが証明したように、ダメなアイデアが優れたアイデアに転換する場合もあるのです。

サブスクリプションというeコマースにおけるもっとも斬新なビジネス構造は、数年の労力と何千時間ものブレーンストーミングと絶体絶命の財務状況とせっかちなCEO(リード)によって生まれました。このサブスクリプション・モデルがネットフリックスを救い、たちまちネットフリックスの代名詞になったのです。

リードとマークやメンバーがさんざん汗を流し、さんざん知恵を絞ってたどりついた結果が、サブスクリプション・モデルで、多くのカードが絶妙の位置にそろった結果、このサービスをリリースできたのです。マークが指摘するように、先のことは誰にもわからないのですから、アイデアをなんどもテストし、結果を出すまで行動を続けるべきです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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