ディズニーランド・パリのリテール4.0戦略


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コトラーのリテール4.0 デジタルトランスフォーメーション時代の10の法則
著者:フィリップ・コトラー、ジュゼッペ・スティリアーノ
出版社:朝日新聞出版

本書の要約

ディズニーランド・パリでは顧客体験を最大化し、没入化するために、自社の機構を目立たせないようにしています。顧客のレベルに応じてメッセージを変えたり、行列に並ぶというペイン減らすために、デジタルとランスメーションを進め、顧客満足アップをはかっています。

ディズニーランド・パリのリテール4.0戦略

理想としては、当社が提供する経験を満喫してもらうために、来園者にいかなる認知的努力も要求しない。したがって、園内での各経験を簡素化し、常にあらゆるフリクションの最小化に努めている。(ジュリエット・ブロン)

ディズニーランド・パリのジュリエット・ブロンは、フィリップ・コトーラーが提唱するリテール4.0における10の原則を実践しています。
1. 不可視であれ
2. シームレスであれ
3. 目的地であれ
4. 誠実であれ
5. パーソナルであれ
6. キュレーターであれ
7. 人間的であれ
8. バウンドレスであれ
9. エクスポネンシャルであれ
10. 勇敢であれ

ジュリエット・ブロンは、10のルールの中で、特に「不可視であれ」を意識しています。ディズニーランドのミッションは、来園者が自分をとりまく世間を”忘れる”ことができる”魔法”の時間を創り出すことです。毎年数千万人の顧客が没入型の経験を楽しむために、企業の機構全体が舞台裏に隠れるようにしています。新たな技術的改革行うときも、「不可視であれ」をディズニーでは取り入れています。

人々の現実的なニーズを特定し、実際に開始する前に潜在的ユーザー群を対象に多数のテストを実施します。理想としては、ディズニーランドが提供する経験を満喫してもらうために、来園者にいかなる認知的努力も要求しません。園内での各経験を簡素化し、常にあらゆるフリクションの最小化に努めています。

彼らは「シームレスであれ」を実行するために、きめ細かいカスタマイズを行っています。ウェブサイト当然、多言語化に対応していますが、数年前までは全ユーザーに同じ情報を掲載していました。現在は、より細かく来園者のニーズに応える必要性を感じ、顧客が接続する機器の種類や接続する場所、ディズニーの世界との親しみ具合やパークに関する知識のレベルに応じて、異なるコンテンツを提供しています。

オーディエンスとのリレーションシップをカスタマイズすると決めれば、すべてのタッチポイントの一貫性と調和の保証が一層重要な決め手となります。これができなければ、ユーザーに混乱を招いてしまいます。

エクスポネンシャルで、デジタルトランスフォーメーションを推進!

彼らは優れた顧客経験をスムーズに提供するために、リーン・スタートアップの手法を用いています。検討したプロトタイプは潜在顧客のクラスターでテストし、次のバージョンの向上に役立つヒントをできるだけ多く抽出します。

ディズニーランド・パリでは専用力ードで、来園者は現金やクレジットカードに触れることなく、園内を自由に動き回ることができ、ホテルの部屋のドアの開錠もできるようになっています。カードで予約できるサービスやアトラクションも用意されています。また、簡素化とパーソナライゼーションされた公式アプリは、来園者の経験に関する”コントロール・パネル”となり、顧客体験を高めています。

同社は「エクスポネンシャルであれ」にも積極的です。スタートアップ企業との協働を探索するためのオンライン・プラットフォーム(ザ・キャッスル・ハブ)もオープンしています。提携する企業に、世界有数の観光地のパーク内で、スタートアップの製品にサービスを実践するチャンスを提供しています。

採用企業を選ぶコンテストではスタートアップ企業に実際に来園してもらい、人気のアトラクションの一つ、タワー・オブ・テラーの中でエレベーターピッチを行いました。従業員とマーケターから成る審査員会は、3分でアイデアをプレゼンテーションする能力も考慮し、勝者を決めたのです。今後、園内のアトラクションに関連したプロジェクトを、選ばれた8社のスタートアップ企業と開発していきます。

スタートアップ企業のLinebertyとは、行列をコントロールするサービスの実現で手を組みます。来園者は、順番がナンバリングされたバーチャルの整理券をアプリからダウンロードでき、特定のアトラクションで自分の順番が来たら移動すればいいので、列に並んで待つ必要がなくなります。

ディズニーランド・パリは今後も拡張を続けますが、新たに「マーベル」「アナと雪の女王」「スター・ウォーズ」のエリアを造る予定です。デジタル・イノベーションは、ディズニーランドの進化においても中心的な役割を果たすことになり、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の技術による没入型の経験を推進していきます。

新しい公式アプリを用いた来園者と当園のサービスとの新しい交流方法の導入も予定されています。ディズニーランド・パリには、さまざまな国から膨大な数の来園者があり、デジタル・リテラシーも施設への理解度のレベルも異なります。多様な来園者を満足させるためには、データとウェブ解析による研究を基に、経験を最大限パーソナライズできるソリューションを開発することが不可欠だと彼らは考えています。

将来的には、機械学習技術によって、データ加工の自動化とスピード化を図り、ますます来園者に近付き、来園が記憶に残るものになるようにしたい。

「パーソナルであれ」はディズニーランド・パリにとって重要なルールになっています。だからこそ彼らは顧客から受け取るフィードバックにとくに大きな注意を払い、施設へのオファリング向上に役立つ情報を各インタラクションから引き出そうとしているのです。顧客のペインを減らし、デジタルトランスフォーメーションの力で顧客体験を高めようとする同社の取り組みは、多くのリテールの参考になると思います。カスタマーサクセスを実践することが、リテール成功の秘訣になっています。

参考記事 コトラーのリテール4.0 デジタルトランスフォーメーション時代の10の法則の書評
アマゾンのリテール4.0戦略

 

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