ジョー・マッケンジーのTHE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変えるの書評


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THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える
著者:ジョー・マッケンジー 監修:中島宏明
出版社:かんき出版

本書の要約

世の中が新型コロナのパンデミックで激変するなかで、暗号通貨が見直されています。今後、暗号通貨が普及していくためには、技術革新、コスト削減、信頼性の向上、有用性の向上、利便性の向上という5つのハードルを乗り超えていく必要がありますが、著者はそれが可能だと指摘します。

コロナ禍で見直される暗号通貨

暗号通貨はやがて、国を超えた送金手段、決済手段となり、利殖に使われ、限りなく法定通貨に近い金融資産となる。(ジョー・マッケンジー)

暗号通貨のバブルが崩壊したと日本では言われていますが、実態はどうなのでしょうか?コロナ禍が起こり、投資家が3月にはあらゆる資産を売却し、マーケットが大混乱しました。株式同様に暗号通貨もご多分にもれず当初は売られ、値を下げていましたが、コロナの収束が期待されるなか、最近では戻り基調です。現在では、1ビットコインは100万円付近を上下するなど、バブルが崩壊したと言われる割には高値を付けています。

私はアメリカ株中心に投資を行っていますが、一部を暗号通貨にも分散しています。THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変えるの中で、著者のジョー・マッケンジーはハイパーインフレや有事の際には、資産が暗号通貨にシフトすると書いていますが、実際ビットコインなどの暗号通貨は今回のコロナ禍で、強い動きを示しています。

暗号通貨がリスクに強い資産であることは以下の3つの特徴から説明可能です。
①発行枚数が決められている
②かつ特定の事業、組織、団体に関係していない
②実体経済との関連性が他の資産に比べて少ない 
暗号通貨はデジタルゴールドとも呼ばれますが、今後も経済的リスクが高まれば、買われる可能性が高そうです。

今回の世界的な外出禁止により、暗号通貨の電子送金技術が注目を浴びています。国際送金大手のアメリカのMoneyGramは、5月1日に行なった第1四半期(1月~3月)の財務結果報告で、コロナ禍の影響を受けながらも、デジタル取引が大きく成長したことで、同期の国際送金取引全体では2%の成長を遂げたと発表しました。

MoneyGramは世界200の国と地域に約35万の拠点のP2P送金サービスネットワークを築いていますが、同社の送金事業では店頭取引が高い割合を占めていました。同社のCEOのAlexander Holmes氏は、今回の新型コロナのパンデミックの外出禁止令などの措置が影響し、店頭取引は前年比約40%の取引の減少となったと述べています

同社はこの危機に対応するため、デジタル機能の強化とオンラインへの移行に急速に対応し、70か国以上でユーザーが自宅から送受金が出来るような体制を整え、成長を確保したのです。このシステムに寄与したのが、MoneyGramと提携している暗号通貨リップルだったのです。世界的なコロナウィルスの感染拡大によって、送金という面でも暗号通貨が見直されています。

暗号通貨が普及するための5つのハードル

著者のジョー・マッケンジーは暗号通貨が今後も成長すると述べていますが、それには以下の5つのハードルを乗り越える必要があると言います。
■技術革新
■コスト削減
■信頼性の向上
■有用性の向上
■利便性の向上

「技術革新」によって、送金スピードはさらに速くなります。リップルやフュージョンコインなどでは、現在数秒かかる送金トランザクションも、技術の向上によって一瞬で完了できるようになるはずです。かつて、1枚の写真画像をメールで送るのに数分かかる時代があありましたが、今ではほとんど一瞬で送信できます。今後、同じようなことが暗号通貨の世界でも起こることは間違いありません。技術革新にも関連しますが、より電力を使わないエコな暗号通貨、ブロックチェーンができれば、さらなるコスト削減も可能です。

暗号通貨の最大のハードルは、信頼性の向上かもしれません。今は暗号通貨の種類があまりにも多く、ICOに失敗する詐欺的なコインも多くあり、メディアがそれを叩くことで、暗号通貨のイメージは悪くなっています。しかし、暗号通貨の淘汰が進み、世界中の人々が個別の暗号通貨について詳しく知るようになれば、信頼性が向上していくはずだ。フィンテックが当たり前になり、送金や決済手段として、暗号通貨が使われるようになれば、この問題も解決するでしょう。

今後、暗号通貨は既存の銀行サービスを取り込み、価値が一気に上がると著者は指摘します。

認知度と社会的信用が高まれば、現在は投機的な側面ばかりが注目されている暗号通貨が、決済や送金などに広く利用されるようになる。そうなれば、既存の銀行サービスと暗号通貨を融合した新時代の金融サービスへの需要も大きく高まるだろう。むしろ将来的には、それが金融サービスのスタンダードになると、私たちは信じている。

今後も世界は様々は危機に直面し、大きく変化するでしょう。その際、ブロックチェーンなどの暗号通貨の技術が、世の中の仕組みを変える可能性が高いのです。暗号通貨の淘汰が進むなかで、私たちは本当に必要な暗号通貨は何か?を冷静に見極める必要があります。すでにフィンテックの世界では、暗号通貨の技術なしに世界を語れなくなっています。暗号通貨は確かに過渡期にありますが、ここから良貨が現れることは間違いありません。投資対象やタイミングを間違いなければ、大きな果実が手に入れられる可能性が高いのです。

暗号通貨の課題が多いことは事実ですが、著者が指摘するように多くの課題は今後解決されていくはずです。暗号通貨は自分には関係ないと考えるのをやめ、私たちの生活とは切っても切れないものだと考えるようにしましょう。暗号通貨が銀行業務に進出することになれば、私たちの信頼度も高まるはずです。その時に、暗号通貨の価格はどうなっているのでしょうか?その答えが本書に書かれています。

※本書を監修者の中島さんから献本いただき、書評を書かせていただきました。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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