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DXの思考法 日本経済復活への最強戦略
著者:西山圭太、冨山和彦
出版社:文藝春秋
本書の要約
現在の複雑な課題を解決するために、いくつものレイヤーを重ね、連結して思考していく必要があります。それはあたかもミルフィーユのような構造で、新たなレイヤーをそこに追加することで解決策が見えてきます。私たちはレイヤーを積み重ねることで、ビジネスの全体をソフトウェアでコントロールできるようになるのです。
DX成功の極意とは?
デジタル技術の急速な発展によって、いまのグローバル競争のスピードは極めて速くなった。その結果、戦略をつくって実行しようとしたころには、環境と合わなくなる、ということになる。したがって、企業が生き残るためには、そのときどきの戦略を作り込み、PDCAを回し、あるいは今流行りつつある事柄を追いかけて勉強するというやり方ではダメなのである。そうした表面的なことの奥底にあるロジックを個人と組織の身体に刻み込むことが必要になる。(西山圭太)
ビジネスは攻守の順番が整然としている野球ではなく、一つのピッチの上を両チームが入り乱れて走り回る「サッカー」型に変化しています。スピーディに自分で判断し、行動する能力がなければ、戦略を書いても意味がありません。
現在の複雑な課題を解決するために、いくつものレイヤーを重ね、連結して思考していく必要があります。それはあたかもミルフィーユのような構造で、新たなレイヤーをそこに追加することで解決策が見えてきます。私たちはレイヤーを積み重ねることで、ビジネスの全体をソフトウェアでコントロールできるようになるのです。現在では多様なソフトウェアやデータセットを組み合わせて、ビジネスを行っています。
結果を出すために、リーダーは様々なレイヤーを組み合わせなければなりません。AIや5G、IoTなどのDXを活用することで、膨大なデータを価値に結びつけることができるのです。
デジタル化が進む世界では、業種の垣根に関係なく、多様な企業がデジタルの力を使って新分野に参入できるようになりました。デジタルのトレンドをしっかりと見ることで、未来予測が可能になり、変化に適応できるようになります。
経営者は本屋にない本を探せ!
あなたのビジネスを組み立てるために埋めなければならない本棚があるとすれば、自分で文書を作り書類ファイルを作成せずとも、本屋に行って本を買えば、かなりを埋めることが出来るようになった、ということだ。そうなると、自分であれこれ考えるよりも、本屋に並んでいる本を見て外部環境を棚卸しした方が良い。
本屋の本棚を見ることによって、自社が真に集中すべきポイントを明らかできます。 ない本が何かがわかれば、次の動きを決められます。既にあるものは他社に頼り、そこにはない本を探して、その実現に資源を集中すればよいのです。
上記のプロセスをへて本棚にない本を見つけて開発をすると、それ自体が実は他社に売れるプロダクトになります。自社に開発したサービスやソフトウェアが商品になるのです。自分の書いたものを本として本屋におくことで。新たなマネタイズが始まります。 AmazonのAWSは自社に開発したサービスを他社に開放することで、大きな売り上げと利益を同社にもたらしています。
本書で著者は図中の右側の列だけを取り出したものを「本棚」と定義します。本屋の本棚にない本を探し、自ら作り、SaaSなどのかたちで世界に提供し、それで本棚を次第に埋めていくことで、成長の源泉が手に入ります。
レイヤー構造が積み上がったということは、どのようなビジネスに取り組むにせよ、そのビジネスに関係するソフトウェアが相当程度すでにプロダクトとして存在している、ということになる。そのプロダクトは多くの場合クラウド上で提供されるSaaSのかたちをとっているだろう。従って、DXのスタートラインは、自社のシステム構成を理解することではなく、まず本屋の本棚の前に立って、その本棚を見渡して、それで自社のビジネスをどう組み立てるかを考えることであるべきだ。
自社のシステム構成や業務フローの最適化から発想すると、自社の置かれた競争環境=白地図を見失うことになります。システムやソフトウェアが並ぶ本棚を見渡すことで、既にあるプロダクトを使って他社と共通化することで。DX化のコストを差上げられます。スケールも自由に変更できるので、そのメリットを享受しましょう。
「本屋にない本」を探すことが、あなたのビジネスが価値とソリューションを生むための一手であり、あなたの企業がプラットフォームになるきっかけでもあるからだ。そしてそうすることが、業種という考え方から卒業することにもつながる。
本屋にない本を見つけ、そこからシステムやサービスを開発することで、新たな利益を見つけられます。売上や利益を逆算し、DXを活用して、ベンチャー・スタートアップと組んで。新たな価値を生み出すことで、企業は業種という領域から飛び出せ、より強い存在に生まれ変われます。
DXをフィジカル側の技術とも組み合わせて、次第に本棚自体のかたちを変えていくことで、企業価値を高められます。大企業とスタートアップ企業が組んで、新たなSaaSを生み出すことで、日本企業はかつての勢いを取り戻せます。
自分にないものを生み出すより、ベンチャー・スタートアップと組むことを考えることで、時間やコストを削減できるだけでなく、最新のテクノロジーと優秀な人材が手に入ります。大企業はここからイノベーションを起こせるようになります。
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