DtoC After 2020 日本ブランドの未来の書評


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DtoC After 2020 日本ブランドの未来
著者:フラクタ
出版社:宣伝会議

本書の要約

DtoC企業は潜在ニーズ、顕在ニーズ、企業の提供価値の3つの要素を満たすプロダクトを出すことで、生活者とのつながりを生み出しています。彼らは自らに〈人格〉を作り出すことで、顧客と直接コミュニケーションできるようになり、顧客を自社のファンにしています。

生活者がDtoCを支持する理由

DtoCは、従来モデルで薄れてしまっていた、消費者とのつながりを再構築しました。このつながりが、顧客から支持を得るためには不可欠なのです。DtoCが一様にブランドの思想や信条、価値観を届けることを何より重視していることが、従来型の企業と最も異なる点と言えます。

コロナウイルスが猛威が奮う中、生活者の買い物行動が一気にデジタルにシフトしました。それ以前からDtoCという言葉を耳にすることが増えていましたが、今年になって完全に市民権を得ました。デジタルネイティブブランディングエージェンシーのフラクタは、DtoC時代の勝ち組になりたければ、消費者とのつながりを再構築すべきだと言います。

DtoC企業は潜在ニーズ、顕在ニーズ、企業の提供価値の3つの要素を満たすプロダクトを出すことで、生活者とのつながりを生み出しています。

ワービー・パーカーグロッシアーなどのアメリカのDtoCブランドの先駆者は、社会的課題(潜在ニーズ)をコンテンツ化し、顧客との関係を生み出しています。彼らは自らに〈人格〉を作り出すことで、顧客と直接コミュニケーションできるようになり、顧客を自社のファンにしています。

ワービー・パーカーは従来のメガネ店と異なる手法で顧客にアプローチし、支持を得ました。
■自社でデザイン・製造し、WEBを使って消費者にダイレク販売
■「HOME TRY-ON」という、好きなアイテムを最大5つまで無料で5日間試せるサービス。
■購入を通して、社会貢献できるようになる。(Buy aPair, Give a Pair 一つ買って、一つあげよう)
■デザインに注力し、ライフスタイル企業としてのブランドを構築している
■ショールーミングを採用している。

企業が〈人格〉を明らかにすることが、ブランド構築作業の第一歩となります。ワービー・パーカーはスタイリッシュなメガネをダイレクトには販売することで、競合との差別化に成功します。メガネを自宅で試せると言う顧客体験を新たにデザインすることで、メガネの購入体験を変えてしまったのです。

デザインや価格だけでなく、彼らは社会貢献もビジネスモデルに組み込んでいます。ワービー・パーカーでメガネを購入すれば、途上国の人たちにメガネをプレゼントできるようにしたのです。結果、世界をより良くしたい顧客や社員、パートナーが、このブランドに集まるようになったのです。

DtoC企業は顧客とダイレクトにつながるために、WEBや店舗を積極的に活用しています。DtoC企業は利用者との誠実で真摯なかかわり方を模索し、タッチポイントでの顧客体験を高める努力を続けています。彼らはビジョン・ミッション、バリューを明らかにし、それをコンテンツとして顧客に発信し、共感を得ています。

DtoC企業のシンボリックな顧客体験

DtoC企業はシンボリックな顧客体験を生み出し、それを上手に伝えるようにしています。ワービー・パーカーは生活者のメガネ選び体験に徹底的にこだわり、WEB販売を基軸にしながら、リアル店舗でのショールーミングを行い、顧客の買い物体験に寄り添っています。顧客体験を高めるためのコミュニケーションをデザインし、ブログやPRを通じて、顧客にダイレクトに自社の人格を届ける努力を行っています。

ニューヨーク発のコスメブランド、グロッシアーは自らコミュニティを生み出し、顧客とのつながりを強化しています。 創業者のエミリー・ワイス氏は『ヴォーグ』のスタイリストでしたが、自身が運営するブログが好評となり、様々な意見が生活者から集まるようになりました。

ブログを運営する中でワイス氏は、生活者のペインを発見し、グロッシアーを立ち上げます。彼女はコンテンツを発信することで、コミュニティを作り、そこから新たなブランドを立ち上げることに成功します。

着想を得るまでの段階で、すでにグロッシアーは消費者との直接的なコミュニティを形成しており、ユーザーの要望に応えるような形で起業しています。つまりグロッシアーは、起業した時点ですでにファンを抱えていたとも考えられます。  

グロッシアーは顧客を巻き込んだ商品開発とPRを行うことで、顧客との関係を強化します。 商品の開発にはファンである顧客の意見を取り入れ、顧客のための商品を生み出しています。同社の商品は全て自然成分で作られているにも関わらず、発色がよく、質感も高くなっています。化粧持ちもよく、他の化粧品との相性も考えらています。顧客の化粧品に対するペインを取り除く商品を開発することで同社は成功します。ブランドとの連帯感から顧客は、自身もグロッシアーの一員であるという意識を持ち、ブランド愛から自発的に商品をPRしてくれるようになったのです。

ブランドと頻繁にやりとりのある顧客を、オフィシャルにPRアンバサダーとして任命し、SNSでの発信を委託します。WEBサイトにはTeam Picksというコーナーがあり、顧客が写真や名前やコメント付きで商品をレコメンドしています。こうした活動すべてが、ファンと一緒にブランドを立ち上げた設立の経緯と一貫しており、顧客ニーズから起業に至ったグロッシアーの強みになっています  

DtoC企業は従来のように商品の機能をフックとするだけでなく、商品の購入や利用にまつわる体験も含めて価値を提供しています。顧客はDtoC企業がペインをなくすための様々な取り組みに共感し、自らブランドを広めるサポートを行うようになるのです。

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