古賀史健氏の取材・執筆・推敲――書く人の教科書の書評


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取材・執筆・推敲――書く人の教科書
著者:古賀史健
出版社:ダイヤモンド社

本書の要約

著者はライターを取材者と定義します。取材者であるかぎりライターは、書いていない時間のすべてを「読むこと=取材」に費やさなければなりません。対象を観察し、取材者との対話を重ね、コンテンツという「返事」を生み出す努力を続けるべきです。

ライターに必要な3つの価値

ライターの仕事は、おもしろい。おそらく自分は、この先ずっとライターの仕事を続け、ライターを名乗り続ける。ライターはそれだけ奥が深い仕事だし、社会的にもおおきな価値を持つ仕事だ。みずからを卑下し、自嘲するように「雑文家」などと呼ぶ必要はないし、誰かに呼ばせてもいけない。

私は毎月、MacFanという雑誌に連載を書き続けていますが、入稿した文章を編集者の力を借り、読みやすい文章に仕上げてもらっています。本を出版するときにも、何人もの編集者のサポートを受けてきました。

しかし、このブログを書くときには、編集者に頼れません。自分が編集者となり、つくる人(クリエイター)にならなければなりません。読者を喜ばせるコンテンツを届けるためには、自分を信じ、独力で自分の力を引き出す必要があります。

著者の古賀氏は数々のベストセラーを生み出してきた優秀なライターですが、ライターは自らを編集者と位置づけ、仕事にエンターテインの要素を盛り込む必要があると言います。

編集者とは「誰が、なにを、どう語るか」を編集する人間だ。一方、原稿そのものを編集していくのは作家であり、ライターである。なんの編集もなされないままに書かれた文章は、必要な情報は網羅されていてもエンターテインに欠けている。われわれライターは編集という武器を手に入れ、「書く人」から「つくる人」へと変わらなければならない。

そのために、ライターは以下の3つの価値を手に入れなければなりません。
①情載の希少性
②課題の鏡面性
コンテンツは、なんらかの意味で読者を映す鏡のような存在でなければなりません。鏡面性を持たない曇ったコンテンツは他人ごとであり、読者は感情移入してくれません。
③ 構造の頑強性
コンテンツをつくることは、建造物を建てる作業によく似ています。論理の柱が危うい建物では、まっとうなコンテンツにはなりませんから、構造をしっかりと組み立てましょう。

ライターがよい文章を書きたければ、誰が、何を、どう語るかを作るだけでなく、情報の希少性、課題の鏡面性、課題の頑強性を意識する必要があります。

ライターは取材者である!

取材なしでは、なにひとつとして価値あるものを生み出せない人間がライターなのだ。

「書く」とことは、「取材・執筆・推敲」の3つで成り立っています。ライターの仕事は読者に代わって、取材することから始まります。私は月に何度か、ベンチャー・スタートアップ経営者の取材をしますが、その際、読者が何を知りたいかを考え、たくさんの質問をぶつけます。

ライターとしてだけでなく、経営者視点、投資家視点で取材するので、経営者からは面白い人だと認識されるようになりました。自分の仮説と相手の答えを確認しながら、経営者の成功の秘密を探っていきます。その際、意識しているのが、過去の失敗体験です。失敗をどう乗り越えてきたかを炙り出すことで、読者の共感を得られることに気づきました。

取材者は、一冊の本を読むように「人」を読み、そのことばを読む必要があります。取材者であるかぎりライターは、書いていない時間のすべてを「読むこと=取材」に費やさなければなりません。対象を観察し、取材者との対話を重ね、コンテンツという「返事」を生み出す努力を続けるべきです。

よき書き手であるためにはまず、よき読者であらねばならない。この順番が入れ替わることはぜったいにないと、断言しておこう。

「観察ー推論ー仮説」の習慣を身につけることで、ライターはよいコンテンツを生み出せるようになります。 そのために読書を習慣化しましょう。多彩な本を読み、著者との対話を重ね、観察眼を養い、推論、仮説のレベルを高めていくのです。

私はこのブログを書くために、日々、読書を重ね、著者との対話を繰り返すことで、自分を面白くできました。書くためには、取材が欠かせないという著者のメッセージを読書に活用することで、自分の価値を高められます。また、身の回りの対象を丁寧に観察し、疑問を持つことで、よいコンテンツをつくれるようになります。

著者は書いた後の「推敲」が重要だと述べています。書き手としてだけではなく、翻訳家として自分が書いた文章と向き合いましょう。

推敲の段階でライターは、「取材」から「翻訳」までの流れを、今度は「この原稿を書いた自分」に対しておこなっていくのである。推敲は、単なる読み返しでもなければ書きなおしでもない。ましてや間違い探しのように誤字脱字をチェックすることでは、まったくない。推敲とは「自分への取材と、その翻訳」なのである。

推敲する際には、自分を捨て、赤の他人として文章を徹底的に吟味することで、自分を空っぽにできます。読者の心を揺さぶる文章を書くためには、推敲が欠かせません。

推敲を重ねることで、読みやすい文章を書けるようになるだけでなく、コンテンツの構造を頑強にできるのです。独りよがりのコンテンツから抜け出すために、「取材・執筆・推敲」の3つのステップに意識を向けましょう。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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