ロバートE.クインのパーパス・ドリブンの組織をつくる8つのステップの書評


Laptop photo created by rawpixel.com – www.freepik.com

パーパス・ドリブンの組織をつくる8つのステップ
著者:ロバートE.クイン、アンジャンV.セイカー
出版社:ダイヤモンド社

本書の要約

パーパス経営を導入することで、リーダー、中間管理職、現場のスタッフのやる気が変わります。彼らは自ら学び、成長することを選択し、会社をエネルギッシュに変えていきます。パーパス経営をうまく活用することで、組織全体をより強く変革できるようになるのです。

パーパスドリブンの組織を構築する8つのステップ

パーパスはただの高遭な理想ではなく、企業の財務の健全性や競争力にも実際的な影響を与えるのである。仕事の意味を見出した従業員は、活力やひたむきさを内に秘めてはいられない。従来の経済理論の自己本位性の前提に逆らって、見返りを求めずに努力する。彼らの成長は、留まることなく伸びていく。そして、より多くの仕事をより高度にこなす。このパワーをうまく活用することで、組織全体を変革することができるのだ。 (ロバートE.クイン、アンジャンV.セイカー)

パーパス経営の重要性が日本でも認識されるようになってきました。このブログでも何度かMTPパーパス経営について紹介し、パーパス経営の普及を目指しています。

従業員は報酬などの経済的理由だけで動くのではありません。仕事の意味を見出した従業員は見返りを求めるのではなく、自ら努力を重ね、よりよい結果を出そうとします。リーダーがパーパスを明らかにし、このパワーをうまく活用すれば、組織全体を変革することができます。

ミシガン大学 ロススクール・オブ・ビジネスの名誉教授のロバートE.クインとセントルイス・ワシントン大学オーリン・ビジネススクール教授のアンジャンV.セイカーは、パーパス経営を導入するフレームワークを明らかにしました。

■パーパスドリブンの組織を構築する8つのステップ
1、触発された従業員の姿を想像する
社内に一つでもポジティブな事例(標準を上回る人物、チーム、部門)が存在するなら、そうではない人々を啓発することができます。卓越した人たちを探し、その原動力となっているパーパスを調べましょう。そして、それが従業員全体に浸透した状態を想像するのです。

2、パーパスを見つけ出す
パーパスはすでに社内に存在しています。従業員が共通して抱える最も切実なニーズを感じ、理解し、彼らに感情移入することによって見つけることができます。リーダーは、従業員に議論を促すような質問をし、耳を傾け、熟考することが必要になります。

3、根拠の必要性を認識する
リーダーはパーパスを見つけ、価値観を定め、それを誠実に実践すべきです。 企業のパーパスや価値観は、物事がうまくいかない時にしばしば見つかるものなので、会社が停滞した時に自社の歴史を振り返ったり、諦めずに頑張っている社員と対話を重ねましょう。困難な時期にリーダーが何をするかによって、その企業の本質が明らかになります。

4、信頼できるメッセージを一貫性のあるメッセージに変換する
パーパスを明らかにし、それが一貫性があり、メッセージがぶれなければ、素晴らしいことが起こります。パーパスが浸透することで、文化が変わり、組織がより高いレベルで機能し始めます。プロセスの実行や維持がよりシンプルで簡単になるのです。

5、個人の学びを奨励する
パーパスを採用するリーダーは、学習と成長が強力な報酬だと気づきます。従業員たちは心から、考えたい、学びたい、成長したいと思っているのですから、彼らの学びを支援しましょう。

6、中間管理職をパーパス主導のリーダーに変える
リーダーが中間管理職にパーパスを浸透させることで、社内がエネルギッシュな雰囲気に変わります。中間管理職がパーパスを語り始め、実践することで、彼らもリーダーに生まれ変わるというメリットも得られます。

 7、従業員をパーパスに結び付ける
トップのリーダーと中間管理職が組織のパーパスを自分ごと化できたら、次は現場の従業員たちをサポートし、日常業務とどのように結び付くかを理解させていきます。この際、トップダウンの命令ではなく、従業員とともに行動する必要があります。従業員とともに動くことで、パーパスが会社の文化に浸透する可能性が高まります。従業員がパーパスに基づいて自ら動くことで、会社に活力が生まれます。

8、ポジティブ・エネジャイザーを活躍させる
どの組織にも、ふだん活用されていないチェンジエージェント(変革の促進役)候補がいます。著者たちはこうした人材を、ポジティブ・エネジャイザー(周囲に前向きなエネルギーを与える人)のネットワークと呼んでいます。楽観的な性格を持ち、成熟していて、パーパス・ドリブンなタイプの人材は、組織のあちこちに不規則に存在します。

彼らは自然に周囲を感化する力を持ち、率先して行動します。このような人材の協力が得られれば、変革のあらゆる段階で支えになります。エネジャイザーはパーパスをすぐに理解し、職場に持ち場に帰り、アイデアを広め、フィードバックや新しいアイデアを考えてくれるのです。

パーパスは経済的利益を保証するものではありませんが、ガーテンバーグらの研究によると一定の効果があることがわかりました。429社の50万人が参加し、2006~2011年の917事業年度相当を調査した結果、パーパスを明確に伝えた場合に、当座の業績(総資産利益率)と知的資産や株式収益率の向上など将来の業績の両方に、プラスのインパクトがあることが明らかになりました。

パーパス経営を導入することで、リーダー、中間管理職、現場のスタッフのやる気が変わります。彼らは自ら学び、成長することを選択し、会社をエネルギッシュに変えていきます。パーパス経営をうまく活用することで、組織全体をより強く変革することができるようになるのです。

ブロガー・ビジネスプロデューサーの徳本昌大の5冊目のiPhoneアプリ習慣術がKindle Unlimitedで読み放題です!ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
徳本昌大 Amazonページ >
 

徳本昌大をフォローする
イノベーション習慣化書評生産性向上ブログアイデアクリエイティビティマーケティングライフハック
スポンサーリンク
徳本昌大をフォローする
Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました