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電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書 あなたの商品がもっと売れるマーケティングリサーチ術
著者:阿佐見綾香
出版社:PHP研究所
本書の要約
企業がパーパスとビジョンを明らかにし、発信することでマーケティングが生まれ変わります。3C(顧客・競合・自社)を意識し、「調べ方」を変えることでヒット商品を生み出せるようになります。自社の本質的な課題を明確にし、自社のパーパスからマーケティングを再構築することで、自社を応援してくれるファンを集められるようになります。
ヒット商品をつくりたければ、まずは調べ方にフォーカスしよう!
いつもの仕事にヒットをつくる「調べ方」を取り入れるだけで、
これだけ変化が感じられるようになります。その結果、「ヒット」 にたどり着く確率は格段に上がるのです。(阿佐見綾香)
著者の阿佐見綾香氏は、電通のマーケティング部門で戦略プランナー職を10年以上続けています。その彼女のノウハウがこの一冊に凝縮されています。私も広告会社出身なので、マーケティング戦略を上司から相当叩き込まれました。昭和の時代の教育システムは厳しく、彼らの頭脳を盗むことが若い頃の私の日常でした。プレゼン前日に書いた企画書を目の前で破られるなど、ある種のパワハラを受けながら、戦略について学んだ日々が懐かしいです。
もし、本書が35年前に出版されていたら、私のバイブルになっていたはずです。ヒットをつくる「調べ方」をわかりやすく解説するだけでなく、企画書作成のためのすぐに使えるオリジナルツールやテンプレートがDL可能です。私が10年近く、上司や書籍、セミナーで学んだノウハウがこの一冊に凝縮されているので、ROIが高い書籍だと思います。(2,950円という価格設定は決して高くありません。)
特に「マトリクス」での整理を武器にしている私は、「LAND分析」や「チャンスポートフォリオ」の紹介に共感を覚えました。調べ方を変え、ヒット商品の戦略からマーケティングを見直すことで、結果を素早く出せるようになります。
私が社外取締役やアドバイザーをしている会社は、B2Bの企業が多いのですが、本書のケーススタディは若い女性向けのB2C商品が多く、斬新なアイデアから刺激を受けました。自分にはない世界を持つ人の思考や体験から多くのことを学べるという意味でも、私にとって学びの多い一冊になりました。
本書から得られるメリットは以下の5つになります。
①ヒットをつくるのに必要な「調べ方」を使えるようになり、
マーケティングの基本は3Cとパーパスにあり!
マーケティングの基本は3C分析(顧客・競合・自社分析)にあり、それらを丁寧に調べ、何が課題になっているのかを把握することから始めましょう。
マーケティングとは商品と顧客の定義から始まりますが、多くの売れない商品は「ターゲット」「セールスポイント」がズレていると著者は指摘します。このズレを3C分析によって解消していきますが、その際、著者のマーケティングのフレームワークを実践することで、結果を出せるようになります。
インクルーシブ・マーケティングによって、量産化可能で、特定の属性の人にターゲツトを限定せず、すべての人が使いたくなるアイデアにあふれた商品・サービスを生み出すことです。
最近の私はMTP(壮大な野望)というパーパスと六方よしを戦略の基本にしていますが、浅見氏もインクルーシブ・マーケティングを取り入れることで、それを実現しています。「売り手よし、買い手よし、世間よし、作り手よし、地球よし、未来よし」六方よしでマーケティングを捉え直し、登場人物全員をハッピーにするプランによって、ビジネスがうまく行くようになります。
個別対応施工ではなく、多様な意見をマーケティングに取り入れることで、商品の可能性が広がります、Win-Winの発想でマーケティングを再定義することが、ダイバシティな時代のマーケターには欠かせません
ニューヨークではベジタリアンに対応できないレストランは、団体予約を取りにくくなってきていると言います。現代のレストランは、食事の質を向上させるだけなく、国籍、年代、性別、宗教など異なる文化を持つ人を楽しませる空間を作る必要があるのです。
顧客だけでなく、商品を支えてくれる登場人物にフォーカスし、彼らの話をヒントにすると新しいアイデアが生まれてきます。広告会社にいた10年以上前に、私はインフルエンサーを活用することで、結果を出せるようになりました。情報発信に必要なネタは、生活空間のあらゆる場所に隠れていますから、それを丁寧に探しましょう。ネットの情報だけでなく、顧客や社員パートナーの声を聞くことで、ヒットさせるためのヒントが見つかります。
顧客や競合だけでなく、自社分析も重要です。成長が止まっているなら、自社の価値を棚卸し、再定義していく必要があります。
自社はどんな理由で、何に取り組むべきなのでしょうか。その問いに答えるためには、まず自社や商品・サービスの「原点」を見つめ直して、その本質的価値を発見し、その本質的価値から「何にチャレンジするべきか」を見極める必要があるのです。
定量・定性調査などを行い、本質的な課題を明確にし、自社のパーパスからマーケティングを再構築しましょう。
自社の本質価値と存在意義を再定義し、発信することで、応援者やファンが引き寄せられてきます。本書のスノーピークや湖池屋のケーススタディからパーパスの重要性を再認識できました。自社の理想の未来から逆算し、現実とのギャップを埋める戦略を策定することが、経営者とマーケターに求められています。
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