モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方
チップ・コンリー
日経BP
本書の要約
デジタルな知能指数(DQ)を持つ若い世代のベンチャー・スタートアップでは、経営のノウハウやネットワークを持つ人材が不足しています。その穴を埋めるのが、モダンエルダーという年長者の存在です。経営の知恵や体験に秀でたモダンエルダーが、若い組織のメンターになることで、短期間で結果を出せるようになります。
モダンエルダーとは何か?
モダンエルダーは長く生きていることで多くのスキルを身につけているだけでなく、「何かを会得するためのスキル」を身につけている。そのスキルは新しいことを学ぶ時にいつでも応用できる。つまり、過去の知恵の守り人から未来の知恵の探求者になれる。(チップ・コンリー)
LIFE SHIFTでリンダ・グラットンが指摘したように、人生100年時代の働き方は激変しています。以前であれば、60歳になれば定年し、引退することが当たり前でしたが、最近では起業をしたり、若いベンチャーと働くシニアも増えています。
実際、50代後半の私も20代や30代が経営するベンチャー・スタートアップの経営支援を行なっています。自分の知恵や体験と彼らのアイデアを掛け合わせることで、化学反応が怒ることを日々実感しています。
著者のチップ・コンリーは、ブティックホテルをジョワ・ド・ヴィーヴルを創業して経営したのち、「エアビーアンドビー」の創業者のメンターとして入社します。彼は自らのことを「モダンエルダー」と呼び、デジタルな知能指数(DQ)を持つ若者とコラボすることで、結果を出しています。
DQとミドル・シニア世代のEQを掛け合わせることが当たり前になれば、職場の多様化が進みます。40代以降の人々が自らのマインドセットを変え、スキルと経験を活かすことで、ベンチャー・スタートアップの職場に欠かせない存在になれるのです。
ミドル・シニア世代の多くはリーダー教育を受け、早い段階から準備を重ねてきました。しかし、急成長するベンチャー企業のミレニアル世代には、早々に高いポジションが与えられるため、リーダーシップのスキルを早急に身につける必要があります。経験豊富なミドル・シニア世代が彼らのメンター(モダンエルダー)になることで、組織の課題を解決できるようになります。
職場に5世代が共存しお互いへの架け橋となる共通言語を見つける必要のある今の時代に、このような世代によらない考え方がますます広がっている。
モダンエルダーは若い世代のために、以下の5つの力を活用することで、人生の後半戦を豊かにできます。
1、優れた判断力
過去にさまざまなものを見たり経験したりすればするほど、次々とやってくる問題に上手く対処できるようになります。モダンエルダーは、長年培った知恵に基づいて長期的に物事を見ることができます。
2、本物の洞察
経験によって得られる大切な資産のひとつが、物事をはっきりと見通す力、つまり直感的な洞察です。モダンエルダーは、経験と知恵を通じて、根源的な課題を瞬時に見分けられます。
3、心の知能指数(EQ)
モダンエルダーとは、自分の気持ちに敏感で、忍耐強く相手の感情を読み取ることのできる人物です。彼らは自分自身の感情を理解して抑制できますし、他者の気持ちにも共感できます。
4 俯瞰的な思考力
中年になると脳が一段階後退し、記憶とスピードが衰えますが。点と点をつなげ、物事を俯瞰してその核心を掴む能力は伸び続けます。
5、奉仕の心
年を重ねれば重ねるほど、世の中での自分の立ち位置がわかるようになります。モダンエルダーは、自分の経験や物の見方を役立てて、未来の世代に前向きな影響を与えたいと考えています。年長者が奉仕の心を持つことで、組織がうまく回るようになります。
モダンエルダーになるための4つの方法
今こそ、世代間で悪口を言い合うのはもうやめて、お互いから学ぶことがあると認める時がきている。現代の職場はこれまでとはまったく違う種類のものになっている。頭の切れる30歳の社員が自分の2倍も歳を重ねた賢い年長者にテクノロジーの未来について教えることもでき るし、60歳の社員が若くして昇進した才能あるエグゼクティブに、感情やリーダーシップや一般的な人生のアドバイスを与えることもできる。
著者はモダンエルダーになるための4つの方法を明らかにしています。
変化のレッスン1、 進化する
新しい仕事が何であろうと、会社でどれだけ偉かろうと、あなたの究極の役割は新たな組織の口ールモデルになることです。若い世代をサポートするために、彼らに的確な質問を行い、課題を共に解決するようにしましょう。
①コラボレーションの橋渡しをする
② 思いやりとユーモアを忘れない
③ 焦らず、好奇心を持つ
④ 今ここに集中する ことを意識することで、若い世代とよい関係を構築できます。
変化のレッスン、2 学習する
知識を得たいなら、毎日何かを取り入れなさい。知恵を得たいなら、毎日何かを捨てなさい。(老子)
モダンエルダーは会社の役に立つ専門知識を多く持っていますが、互いに教え合う謙虚な姿勢で、同僚に提供する知識を吟味しなければなりません。 モダンエルダーは、新しい視点を取り入れ、視野を広げ、型にはまった思考から抜け出すために、他のさまざまな分野にも目を向けるべきです。
レッスン3、コラボレーション
健全なチームは個々の些細な違いがあっても、それを乗り越え、結果を出します。年齢が多様であるほど、優秀な企業は、個々の違いを強みに変え、多様で協力的な職場を作っています。 マッキンゼーの調査によると、ジェンダーの多様性がある企業は、全米の業界平均を15%上回る業績を出しています。さらに民族の多様性のある会社は、同質的な職場の会社に比べて、業績は35%も上回っています。
心の知性(EQ)とデジタル知性(DQ)との交換が、モダンエルダーと若い同僚との間の最も一般的な取引だと思うが、あなたには他にも交換できるスキルがきっとある。年長者が若い同僚に提供できるわかりやすい資産のひとつは、その業界の豊富な知識とコネクションだ。
自分の知恵、体験、ネットワークを若い世代のために活用することで、年長者が組織にパワーを与えます。
レッスン4、 相談に乗る
モダンエルダーは若い同僚の昇進を脅かしたり、競ったりする立場にはありません。そのため、同僚たちが悩みを素直に打ち開け、相談できる相手になれるのです。多くの社員の相談に乗ることで、社内の課題を見つけられるようになることで、それを経営者にフィードバックできます。
モダンエルダーの役割は以下の5つになります。
(1)自分の人脈とノウハウを前向きに共有すること。
(2)競争意識を持たず、守秘義務を守ること。
(3)親身であり、頼れる存在であること。
(4)質問を通じて本質的な気づきを促すこと。
(5)後輩が本当に求めているものを読み取る力を身につけること。
進化し、学習し、協力し、助言し、新しい環境で過去に習得したスキルを使うことで、自分の人生の可能性を広げるだけでなく、若い世代によい影響を与えることができるのです。
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