イノベーション道場 極限まで思考し、人を巻き込む極意
高岡浩三
幻冬舎
本書の要約
イノベーションを起こすためには、NRPS法が効果的です。①顧客は誰なのか?②新しい現実とは?(New Reality )③そこで顧客が抱えている問題は?(Problem)④解決策(Solution)を出していきます。顧客に寄り添い、新しい現実から問題を発見・解決するようにしましょう。
イノベーションとは何か?
イノベーションは「顧客の諦めている問題」を解決することです。(高岡浩三)
ケイアンドカンパニー代表取締役/元ネスレ日本代表取締役社長兼CEOの高岡浩三氏が、自らの経験を踏まえ、イノベーションの起こし方を解説したのが、本書イノベーション道場 極限まで思考し、人を巻き込む極意です。
高岡氏は、イノベーションとは「顧客の諦めている問題を解決することだ」と定義します。「顧客の諦めている問題」は以下の3つに分類できます。
・聞かれても答えられない問題
・頭に浮かんでこない問題
・こんな問題は解決できるはずがないと諦めている問題
この顧客の諦めている問題は、当の顧客本人は問題として認識していません。だから顧客の口から出てくることは一切ないのです。表面化していない顧客の諦めている問題をあぶり出し、絶対に解決しなければならない問題として捉え、解決に導くことからイノベーションは生まれます。
イノベーションは技術革新のみならず、営業でも、人事や経理などのバックオフィスでも、視点と考え方ひとつであらゆる分野に生み出せるものです。 イノベーションは技術者や有能なビジネスパーソンだけが担うものではなく、年齢、性別、職種、役職などの制限もなく、誰もが生み出せる可能性が平等に存在するものであるはずです。
イノベーションは誰でも生み出せますが、諦めてしまった人たちが集まる場所からは生まれません。複雑で変化の激しい困難な時代においては、企業や個人を取り巻く問題も、より困難で複雑になっていきます。そうした問題を解決するためには、今までの常識を捨て、新たな道を模索しなければなりません。
イノベーションを起こすためのNRPS法とは何か?
イノベーションを起こすために明日からすぐにできることは、顧客にとっての新しい現実を考え、それに由来して顧客に起こっている問題について考える時間を、とにかく増やすことです。
顧客が諦めている問題は、市場調査を行ってもなかなか見つけられません。イノベーションを起こしたければ、市場調査に頼るのではなく、 新しい現実から考える癖を身につけるべきです。 まずは、顧客に興味を持ち、顧客の問題を発見することからスタートしましょう。
イノベーションを起こすためには、NRPS(New Reality Problem Solution)法が効果的です。
①顧客は誰なのか?
②新しい現実とは?(New Reality )
③そこで顧客が抱えている問題は?(Problem)
④解決策(Solution)を出していきます。
イノベーションの発想法であるNRPS法には、ダイバーシティ思考がどうしても必要です。多様性が担保されると、当たり前が薄れていくからです。当たり前を排除し、その理由を調べていく過程で、イノベーションにつながる発想が生まれるのではないかと考えています。 新しい現実は必ず新しい顧客の問題を連れてきます。そこに新しいビジネスチャンスが生まれ、イノベーションのチャンスが訪れます。
顧客の諦めている問題にアプローチするには、徹底的に顧客に寄り添い、観察し、話を聞く必要があります。イノベーションによって顧客の諦めている問題を解決しても、時が経てばまた新しい現実が新しい問題を連れてきます。そのため、絶えず顧客に寄り添い、彼らとの対話を繰り返さなければなりません。
イノベーションを起こすためには、何が新しい現実で、何が顧客の諦めている問題なのか?これをひたすら見極めることが重要です。そのためには、問題から考えず、新しい現実から考える癖を身につけるようにすべきです。
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