ビジネスコーチング大全(橋場剛)の書評

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ビジネスコーチング大全
橋場剛
日経BP

本書の要約

ビジネスコーチングは、人の思考と行動の質を高めることにより、その人のパフォーマンスを最大限に高めるだけでなく、その人の多様な魅力・想い・能力の発揮を支援し、その人らしく生きる支えとなり得るアプローチなのです。リーダや社員が主体的に動けるようになることで、組織は持続的に成長できるようになります。

コミュニケーション能力がビジネスコーチングにとって重要な理由

多くの企業・組織が、当たり前のように「自律型人材」の育成に取り組み始めた。「自律型人材の育成」は、決してそれ自体が目的ではない。「自律」の先には、「主体性」の発揮があり、いま世界に求められているのは、変化を主体的に起こせる人材だ。(橋場剛)

アメリカの有力企業の経営者は、エグゼクティブ・コーチを雇い、日々、自分の課題を修正しながら、会社の成長を目指します。本書でも紹介されている1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教えを読むとリーダーがコミュニケーションを変えることで、組織が劇的に変化することを実感できます。部下を信頼し、敬意を払い、彼らを支援することがリーダーの重要な役割なのです。(1兆ドルコーチの関連記事

日本でビジネス・コーチとして活躍する著者の橋場剛氏は、成功するためには、「行動変容・実践」と「習慣化・定着化」が欠かせないと著者は指摘します。「成功」を手にした人たちは、例外なくこの2つの点を意識的に「仕組み化」させることに成功していると言います。

私たちは一人ではなかなか変化することを選択できません。放っておくと過去の思考や行動にとらわれてしまい、変化を先延ばしにします。ビジネスコーチを雇うことで、その障壁を除去できます。

ビジネスコーチングは、人の思考と行動の質を高めることにより、その人のパフォーマンスを最大限に高めるだけでなく、その人の多様な魅力・想い・能力の発揮を支援し、その人らしく生きる支えとなり得るアプローチなのです。コーチの質問によって気づきを得たクライアントは、徐々に行動を変容させ、成功体験を重ねるうちに、主体的に動けるようになります。

ビジネスコーチングは、大きくOS(オペレーティングシステム)部分とアプリケーション部分に分けられます。■OS部分→コミュニケーションスキル 「観察」「承認」「傾聴」「質問」といったコミュニケーションスキルを高めることで、相手との信頼関係が生まれ、クライアントの行動変容が起こるようになります。

■アプリケーション部分→フレームワークなどを使いこなせるビジネススキル。フィードバックやフィードフォワード。

コミュニケーションスキルは、時間の経過とともに更新(アップデート)が必要となります。OS部分が最新の状態に保たれていないと、どんなに優れたアプリケーション(立派な経営理論など)を持っていたとしても、効果が得られません。チームを強くするためには、他人への共感がポイントになり、仲間への愛が欠かせないのです。

OSの質を決定する3×3の質(関係の質・思考の質・行動の質)

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱した「組織の成功循環」モデルによって、「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」の重要性が認識されるようになりました。

関係の質 → 信頼の質、共感の質、対話の質
思考の質 → 柔軟性の質、課題の質、判断・意思決定の質
行動の質 → 主体性の質、スピードの質、連携の質

OSの質を決定するのは「関係の質」「思考の質」「行動の質」で、仲間との関係をよくすることが、コミュニケーションを変え、思考と行動の質に変化をもたらしてくれます。

ビジネスコーチングは以下の3つのフェーズで行われます。
フェーズ1: 思考を変える(=気づく)
フェーズ2: 行動を変える(=実践する・行動変容する)
フェーズ3: 成果につなげる(=継続する・定着を図る)

私は10年以上前に、毎週ビジネスコーチングを受けていましたが、以下の4つのシンプルな質問で自分の思考と行動を変えることができました。
Q1 うまくいったことは何か?
Q2 うまくいかなかったことは何か?
Q3 うまくいかなかった原因は何か?
Q4 次の一手は何か?

このキラークエスションのおかげで、自分の行動を振り返ることができ、行動の質を高めることができました。言い換えると、コーチからこの4つの質問に継続的に答えることで、私は自分を変えることに成功したのです。

新しいことを学ぶよりも、いますでに取り組んでいることを減らしたり、やめたりしたほうが、よりよい成果や生産性向上につながる場合がある。特に忙しいエグゼクティブに対しては、何をすべきか、よりも、何をやめるか、という問いは効果的である。

このブログでもやらないことリストを書くことを推奨していますが、限られた時間を重要事項に当てるために、自分の時間を見直しましょう。

また、自分が変えたいことを「日課の質問」に変換し、定期的に振り返り、内省することで行動が変化します。
ステップ① 自身が「変えたいと思う行動」を決める
ステップ② 「変えたいと思う行動」を「日課の質問(クローズド形式)」にする
ステップ③ 「日課の質問」について毎日チェックし、記録をつける

私は毎朝、この質問を繰り返すことで、自分の嫌な部分を改善できるようになりました。自分との内省の時間を習慣化することで、毎朝を特別な時間に変えられます。朝時間の質を高めることで、スタートダッシュを切れるようになります。

日々、自律を研ぎ澄ませていくことによって、主体的にチャレンジすることが可能となり、結果、自分の人生を素晴らしいものに変えられます。ビジネスコーチングによって、私の関係、思考、行動の質が変わり、結果を出せるようになったのです。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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