Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」
亀井聡彦, 鈴木雄大, 赤澤直樹
かんき出版
本書の要約
ブロックチェーン、そしてその技術を利用したWeb3の社会は、一つの大きなパラダイムシフトとなり、人々の意識と行動を変えていくはずです。DAOを活用することで、個人個人がやりたいことをできるようになるのです。今後、多くの若者が魅力的なDAO運営することで、世の中はより良くなっていくはずです。
Web3におけるDAOの役割
Web3という大変革の背景にあるのが暗号資産だ。 そして、もう一つ背景にあるのがDAOだ。(亀井聡彦, 鈴木雄大, 赤澤直樹)
多くの若いイノベーターたちがインターネットの世界を変えようとしています。GAFAの台頭で中央集権的になってしまったインターネットをコミュニティに取り戻そうとしています。その動きがWeb3で、その中心にあるのがDAOというコミュニティになります。
ブロックチェーンが起点になったWeb3では、ユーザーのデータはインターネット上にあり、そのコントロールもユーザー自身が握っています。 Web3は「自己主権型Web」とも言わています。
DAO(Decentralized Autonomous Organization)は「分散型自律組織」のことで、ブロックチェーン上で世界中の人々が協力して管理・運営される組織のことです。ブロックチェーンの登場によって、企業やその他組織が行っていたデータの処理を、インターネット上でできるようになりました。
SNSによって、2010年代は個人がエンパワーメント(能力の引き上げ)されました。 しかし、そこにはマイナス面もあり、一部のインフルエンサーが力を持つようになりました。個人間のインフルエンサー競争は、弱肉強食の世界となり、多くの人は参加することよりROMすることを優先しました。
Web3による、個人のエンパワーメントの行き着く先は、弱肉強食の世界でも、資本主義のマネーゲームと格差型のピラミッド社会ではない。 テクノロジーによるさらなる効率化とそれを導く人間とコミュニティによって、Wevは人類が目指すべき、「徳のある社会」を達成させていくのである。
一方、DAOには中央管理者がいません。参加者同士で管理するため透明性も高く、誰もがソースを閲覧できる 誰でも組織に参加できるのです。トップダウン方式の企業経営とは異なり、DAOにおいては、組織を統率するリーダーは存在せず、コミュニティーのメンバーで意思決定を行います。
DAOがもたらす未来とは?
Web3に向き合う中で重要なことは、シェアリングエコノミーなどからオーナーシップ型のエコノミーへと価値観の変化が起きている点だ。Web3のオーナーシップエコノミーでは、オーナーがサービスの提供者であり、ユーザーである。また、提供されるサービスそのものにおけるオーナーシップ、会社で言えば株主のような役割をも、ユーザーが主導できるようになる。
Web3の社会では、GAFAなどのプラットフォーマーや運営企業の意向に左右されないようになります。Web3型では、多くのユーザーを顧客するのではなく、より愛情を持ってそのビジネス、サービスを応援しながら利用してくれるオーナーが重要になると著者たちは指摘します。
オーナーの価値は「数」ではなく、その「質」のほうが重要になのです。Web3やNFTにおいて、DAO(コミュニティ)が最も重要になるのです。
DAOの意思決定に関わるためには「ガバナンストークン」を保有する必要があります。トークンの保有者はDAOの組織運営に対する提案をしたり、意思決定に関わる投票に参加できるようになります。資本家によって独占されてしまったものを、DAOによってもう一度、人々の元に取り戻そうとする動きがWeb3なのです。
ブロックチェーン、そしてその技術を利用したWeb3の社会は、一つの大きなパラダイムシフトとなり、人々の意識と行動を変えていくはずです。DAOを活用することで、個人個人がやりたいことをできるようになるのです。今後、多くの若者が魅力的なDAO運営することで、世の中はより良くなっていくはずです。
Web3が普及することで、中央集権が当たり前だったインターネットの世界が、分散型にシフトしているのです。誰もが主役になれる時代が近づいています。
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