戦略を、実行できる組織、できない組織。
クリス・マチェズニー,ショーン・コヴィー,ジム・ヒューリング
キングベアー出版
本書の要約
戦略を実行するためには、以下の4つの規律(4Dx)が効果を発揮します。第1の規律:最重要目標にフォーカス 第2の規律:結果を左右する先行指標に基づいて行動する 第3の規律:行動を促すスコアボードをつける
第4の規律:アカウンタビリティのリズムを生み出す。4つのDxが組織のパフォーマンスを高めてくれるのです。
実行の4つの規律(4Dx)を定着させよう!
結果を出すためにリーダーが影響を与えられるものは、基本的には二つである。戦略(あるいは計画)、そしてその戦略を実行する組織の能力だ。(クリス・マチェズニー,ショーン・コヴィー,ジム・ヒューリング)
戦略と組織が作れたとしても、実際に行動に移すことのハードルは高く、多くのリーダーがこの問題に悩んでいます。本書戦略を、実行できる組織、できない組織。には、その解決策が書かれています。著者の3人はフランクリン・コヴィー社4Dxというソルーションの開発や運用に長年携わり、多くの企業で結果を出しています。実行の4つの規律(4Dx)を定着させることで、組織は短期間で生まれ変われます。
ジム・スチュアートは「過去に達成したことのない目標を達成しようとするなら、過去にやっていないことをしなければならない」と指摘します。そのためには、従業員の思考と行動を変えなければなりません。多くの会社では様々なタスクが積み上がり、日常業務が重要なタスクの邪魔をします。この「竜巻」によって、チームを前進させる重要なポイントから目が離れてしまうのです。
様々なタスクという竜巻に影響を受けずに、社員に確実に結果を出させたければ、この4Dxを活用すべきです。
実行の4つの規律(4Dx)
第1の規律:最重要目標にフォーカス
第2の規律:結果を左右する先行指標に基づいて行動する
第3の規律:行動を促すスコアボードをつける
第4の規律:アカウンタビリティのリズムを生み出す
第1の規律:最重要目標にフォーカスする
チームがより多くのことを達成するために、リーダーはより少ないことにフォーカスするのである。何もかもを一度に大幅に改善しようとしても、どだい無理なのである。
人間は遺伝子的に一度に一つのことしか完璧にできません。多くのリーダーは、一度にたくさんのことができると考えていますが、実際にはマルチタスクはハードルが高いため、いくつかのタスクを捨てる必要があります。最重要目標には最大限の努力を注がなければ、結果を出すことはできません。
第1の規律を導入するときは、本当に重要な目標を1つ(多くて2つ)を選びます。この最重要目標(Wildly Important Goal:WIG)を何よりも重要な目標であることをチームにはっきりと示すことで、メンバーの働き方が変わります。
竜巻の要求の他に目標が2つ、多くて3つまでなら、チームはそれらにフォーカスできますが、しかし目標が4つ以上10個以下だと、せいぜい1つか2つしか達成できません。日常業務の竜巻に11個以上、はては20個の目標が加わったら、焦点は消えてなくなります。目標が多いことで、メンバーは集中できずに、生産性を下げてしまうのです。
WIGは、日々循環的に発生する大切な業務の他に、確実に達成しなければならない目標である。成功するためには、レーダーに映る最重要目標とそれ以外の重要な目標とを区別する難しい選択を厭わずに行わなければならない。そうして集中力を高め、WIGに取り組んではじめて、約束どおりの最高の結果を出せる。
最重要目標(WIG)・・・すべてを一変させることのできる目標。WIGは戦略的な大転換点であるから、相当なエネルギーを注ぐ決意が必要になります。エネルギーの20%をWIGのためだけに使い、竜巻の中では使わないことにすべきです。
最も重要な目標であるなら、達成できたのかどうかわかることが絶対条件になります。「いつまでにXからYにする」の形式で目標を設定することで、社員が同じ目標を達成しようとします。
ジョン・F・ケネディ大統領が「10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」という声明を出しましたが、「X」は「地球から」「Y」は「月へ行き帰還する」「……までに」は「1966年12月31日までに」というふうに具体的に示したことで、人類は月へ到達できたのです。
「何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい」とスティーブ・ジョブズは言いましたが、第1の規律で求められるのは、最も重要な目標を定める自制心なのです。
先行指標を大事にすべき理由
第2の規律:先行指標に基づいて行動する
目標達成に直結する活動もあれば、いくら頑張っても効果のない活動もあります。目標に到達したいなら、インパクトの強い活動を特定し、それを実行する必要があります。
売上高、利益、マーケットシェア、顧客満足度などの遅行指標が出てきたら、もはや手の施しようはありません。それは過去の出来事で先行指標を目標にしなければ、意味がないのです。先行指標は基本的に、遅行指標を成功に導く新たな活動を測定してくれます。
適切な先行指標には、2つの基本的な特徴があります。
①目標達成を予測できること
②メンバーが影響を及ぼせることである。
ダイエットの場合の遅行指標は減らしたい体重になります。先行指標は具体的な力ロリー摂取量、1週間の運動時間となり、これらの指標に従って行動すれば、体重計が来週どうなるか(遅行指標)を予測がきます。そして、力ロリー摂取量も運動量もあなた自身がコントロールでき、未来の体重に影響を及ぼせます。
先行指標に基づいた行動が戦略実行の秘訣であることは、実はあまり知られていない。ほとんどのリーダーは遅行指標を追いかけるあまり、先行指標を重視するこの規律に拒否反応を起こす。経験豊かなリーダーでさえそうである。誤解しないでほしい。遅行指標は、あなたが最後に達成しなければならない最も重要な指標である。
先行指標は遅行指標に先駆けるものであり、遅行指標へと導いてくれます。重要な先行指標が決まれば、それらは目標を達成するためのテコの作用点となり、レバレッジをかけられます。
第3の規律:行動を促すスコアボードをつける
気持ちの入っている人は最高のパフォーマンスを発揮します。チームのスコアを知り、勝っているのか負けているかがわかれば、自然と気持ちは入るようになります。
第4の規律:アカウンタビリティのリズムを生み出す
第1から第3の規律までは、試合に勝つ態勢を整えるプロセスであり、第4の規律を適用してようやく、結果を出せるようになります。
第4の規律は、アカウンタビリティ(報告責任)の原則に基づいている。お互いに報告する責任を負い、その責任を一貫して果たさなければ、目標は竜巻に吹き飛ばされてしまう。アカウンタビリティのリズムとは、最重要目標に取り組むチームが定期的に、かつ頻繁にミーティングをもつことを意味する。
メンバーは、竜巻の中でどのような結果を出しているかを短い時間で報告しあうことで、WIGへの意識を取り戻しながら、進捗の確認ができます。定期的なミーティングを欠かさないことで、竜巻の影響を防げます。
戦略を実行するための原則は、言い換えればフォーカス、レバレッジ、エンゲージメント、アカウンタビリティの4つのDxになります。リーダーはこの4つのDxの全てをメンバーと共有し、彼らに思考と行動を変えてもらうことで目標を達成できるようになります。
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