60歳からはやりたい放題 (和田秀樹)の書評

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60歳からはやりたい放題
和田秀樹
扶桑社

本書の要約

老後の脳の衰えを防ぎたければ、前頭葉を活性化すべきです。「新しい体験」が増えるほど、前頭葉を使う機会が増えていきます。できるだけ日々に変化をつけ、新しいことを大切にすべきです。自分にできることを全力で楽しむ姿勢を持ち続けることが、60代以降の人生を幸せに生きるための秘訣なのです。

幸せな老後を送る方法とは?

60代からは「やりたい放題」に生きることこそが、若々しさを保ち、頭の回転も鈍らせないための秘訣だからです。(和田秀樹)

私はまもなく60歳になるのですが、やりたい放題にというタイトルに惹かれ、本書を読み始めました。昔に比べ元気な高齢者が増えています。実際、私の周りに先輩方はみな元気ですが、その方々にはビジョンの実現という共通点があります。明日に希望を持つことで、彼らは日々ポジティブな時間を過ごしています。

一方、メディアでは高齢者の不安が喧伝されています。日本人の多くは老後に不安を抱きますが、その一因は、日本人が、世界でも有数の不安が強い人々だからだと著者は指摘します。

和田氏は1988年から「浴風会」という高齢者専門の総合病院に勤務しています。精神科医として6000人以上の高齢者と向き合ってきた結果、老いとは対処法次第で変わっていくことを見出します。老後の不安に対して正しく対処できれば、日本人の老後が豊かになるだけでなく、日本経済にもよい影響を及ぼします。

著者は健康の常識に疑問を投げかけます。人間ドックの数値を鵜呑みにするのではなく、正しい情報を信じるべきです。高齢者の肥満に対する考え方も改めたほうがよさそうです。最新の調査によると少し小太り体形(BMIの数値が25前後)の人のほうが、痩せ型の人よりも6〜8年長生きすることが明らかになっています。「瘦せなければ」と食事を我慢をするよりも、少し余裕をもって好きなものを食べたほうが長生きできるのです。

体の老化に加えて恐ろしいのが、「心の老化」です。「もう高齢だから」と自分に我慢を強いて、様々なチャレンジをやめてしまうと、感情の動きが失われます。すると、脳は老化の一途を辿り、外見も老け込み、人によってはうつ病になってしまうことがあります。  

老後の対処法を考えておくだけで、不安を緩和できるのですから、60代になったらその準備をしておくべきです。老後を幸せに生きる知識を蓄えておくことで、未来の不安を減らせ、楽しい時間を過ごせるようになります。

高齢になればなるほど、「粗食であるほうが健康的に生きられる」という常識も疑ったほうがよさそうです。低カロリーの食事に変えることで、肥満は抑えられるますが、低栄養、低脂肪の食事を続けていると、早く老けこんでしまいます。脳と体の健康を保ちたければ、食べたいときに好きなものを食べたほうがよいのです。

新しいことにチャレンジし、前頭葉を鍛えよう!

前頭葉が衰えることで、感情のコントロールや意欲、創造性が低下するだけではなく、新しい情報や考え方に対する柔軟性が失われていく傾向もあります。年齢を重ねると、つい保守的な行動をとりがちになります。

前頭葉は加齢によって縮むと諦めるのではなく、生活習慣を見直していくことで、機能の低下を遅らせることが可能だと著者は言います。老後も若いときのように生きることで、60歳以降も人生をエンジョイできます。

60代以降は、脳と体の両方を使い続けるべきです。60代から脳と体を使い続けた人と使わずに放置していた人とでは、10年、20年経過した際の差が大きく開きます。今後高齢者が増える中で、健康格差が生まれるはずです。

過度の節制により、食事への興味が失われてしまうと、肉体的にも精神的にもつらくなり、気持ちが欝々としたり、心の病気になってしまいます。おいしいものを食べて、幸せな気持ちになるだけで、前頭葉には良い刺激になり、鬱になることを防げます。食事での我慢を続けるとストレスがたまり、免疫機能を低下させてしまいます。

免疫機能が高い人は、病気やストレスなどにも強く、より健康に生きられます。そのためには、できるだけストレスをなくして「思いっきり人生を楽しむこと」が一番です。

ストレスが多い人ほど、 免疫力が下がってしまうもの。嫌なことはなるべくやらず、楽しいことを優先する。それを、60代以降の人生の指針にするべきでしょう。日本人は「節制や我慢が美徳」と考える人が多く、過剰なまでに自分の欲や娯楽を制限してしまう傾向があります。若い頃はたしかにそれがプラスに働くケースもあるかもしれませんが、60代以降はマイナスになることがほとんどです。

老後に我慢は禁物で、我慢しすぎない生き方を心がけましょう。

日本人の多くは前頭葉を1割も使っていないと言われています。この前頭葉を活発化させるためには、ルーティン作業をせず、常に新しいことにチャレンジすることがポイントになります。
・行きつけの店以外に行く。
・いつもとは違う著者の本を読む。
・毎日、違う人と会う。
・散歩のときには普段は使わない道を通ってみる。

「新しい体験」が増えるほど、前頭葉を使う機会が増えていきます。できるだけ日々に変化をつけ、新しいことを大切にすべきです。自分にできることを全力で楽しむ姿勢を持ち続けることが、60代以降の人生を幸せに生きるための秘訣だという著者の考えに共感を覚えました。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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