難しい相手もなぜか本音を話し始めるたった2つの法則 入門・油田掘メソッド
牛窪万里子
日経BP
本書の要約
油田堀メソッドは、相手の隠れた本音を引き出しながら、相手の「無意識」を意識化するメソッドです。ビジネスのシーンでこれを使うことで、相手の暗黙知を形式知に変えられます。ビジネスにこの油田堀メソッドを取り入れることで、相手からも喜ばれるようになります。
コミュニケーションが上手くいくようになる油田堀メソッドとは?
油田掘メソッドは時に、人の感情を掘り起こし、「本当はこういう気持ちだったんだ』と気付かせてくれることがあります。(牛窪万里子)
毎月、雑誌の連載でベンチャースタートアップの起業家をインタビューしていますが、6年間これを続けるうちに、相手の本音を引き出せるようになりました。子供時代のこと、両親のことを聞きながら、共感を示すこと、相手の言葉を拾う質問を繰り返すうちに、初対面の相手とも関係をつくれることに気づきました。私の質問から、頭が整理できた、新たなヒントが見つかったと相手が言ってくれることもあります。社外役員や顧問をしている会社の経営者と壁打ちする際にも、このテクニックが役立ちます。
インタビュー歴27年 元NHKアナウンサー 牛窪万里子氏の難しい相手もなぜか本音を話し始めるたった2つの法則 入門・油田掘メソッドを読んでいて、著者も私と同じことをしていることに気づきました。
必ず「相手の答えに含まれていたキーワード」を繰り返すこと(油田掘メソッド)によって、相手との関係を築けるようになります。この油田掘メソッドはやり方を覚えれば、誰でもできるのです。油田掘では、「オウム返し」を適切に行えばよいのですから、会話が苦手な人でもすぐに実践できます。
油田掘メソッドは、相手の使った言葉をそのまま繰り返すので、普通に質問するのと比べれば、拒否反応を起こされにくいテクニックです。デリケートなトピックであっても、「相手から出てきた言葉を使って質問する」「勝手な言葉を付け加えない」という油田掘のセオリーを、いつもより丁寧に実践することで、相手を傷つけずに本音や価値観に迫れる余地が生まれます。
会話の中で気まずい雰囲気になったら、すぐに話題を変えるようにしましょう。著者は相手の「表情」「しぐさ」「視線」を慎重に観察(キャリブレーション)することで、相手の状況を判断できると言います。明確な「拒否」のサインを見つけたら、話題を切り替えると決めた上で、油田堀テクニックを活用し、相手の本音を引き出すようにします。
全く関心を持てない相手や苦手の相手と会話をする際にも油田堀は使えます。「なぜ、自分はこの人に関心がないのだろう」「なぜ、この人が嫌いなんだろう」と疑問を持つ習慣を持つこと、「興味がないこと」に興味を持つという発想を持つことで、相手に質問したいことが頭に浮かぶようになります。
LABプロファイルと油田堀を組み合わせる!
言動による行動分析(Labプロファイル) を油田堀と組み合わせることで、コミュニケーションが上手くいくようになります。LAB=言葉(Language)と(and)行動(Behaviour)の頭文字をとったもので、言葉と行動の関係性を分析したものです。
Labプロファイルは14のカテゴリー(12の質問)と37のパターンを使い、相手のパターンを把握するスキルです。人によって使う言葉の傾向が違いますが、質問を重ねるうちにその人の特性がわかり、相手のタイプ分けが可能になります。
・「判断基準」の2パターン(外的基準と内的基準)
外的基準・・・ 外の情報に基準がある。
内的基準・・・自分の中に基準がある。
・「思考の方向性」2パターン(目的志向と問題回避)
目的志向・・・目的や目標に向かって動く
問題回避・・・問題を見つけ、回避することに向かって動く
・「知覚チャンネル」4パターン(視覚・聴覚・読解・体感覚)
・「選択理由」2パターン(プロセス・オプション)
プロセス・・・正しい手続きを重視する人
オプション・・・新たな選択肢も検討できる人
相手が使う言葉によって、相手に響くことがわかります。例えば、「聞けばわかる」という人は聴覚型ですし、「見ればわかる」という人は視覚型です。視覚型の人には表やグラフを活用することが効果的です。聴覚型の人には資料やデータを見せるだけではなく、会話を通じて納得してもらうようにします。
日ごろから、仕事やプライベートで関わる人の使う言葉に耳を傾け、身の回りの人に響きやすい影響言語を把握しておくと、コミュニケーションの質が高まり、相手に自分の意見を受け入れてもらえるようになります。
油田掘メソッドを行う際も、相手の発したキーワードを拾うだけでなく、相手に響きやすい他の影響言語を組み合わせて使うことで、さらに相手の心を開かせることができるようになるのです。
油田堀メソッドは、相手の隠れた本音を引き出しながら、相手の「無意識」を意識化するメソッドです。ビジネスのシーンでこれを使うことで、相手の暗黙知を形式知に変えられます。ビジネスにこの油田堀メソッドを取り入れることで、相手からも喜ばれるようになります。
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