7 POWERS――最強企業を生む7つの戦略(ハミルトン・ヘルマー)の書評

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7 POWERS――最強企業を生む7つの戦略
ハミルトン・ヘルマー
ダイヤモンド社

本書の要約

「規模の経済」「ネットワーク経済」「カウンター・ポジショニング」 「乗換コスト」「ブランディング」「競合なきリソース」「プロセス・パワー」の7つのパワーを得ることで、企業は類まれな成功を手に入れられます。7つのパワーを得るためには、創業者が周囲を動かし、自ら行動し続けることが重要になります。

ビジネスを持続的に成功させる7つのパワーとは?

戦略は「重点市場における継続的なパワー獲得への道」という高いハードルを越えなければならない。(ハミルトン・ヘルマー)

ハミルトン・ヘルマーは、初期のネットフリックスにも投資したカリスマコンサルタントです。スタンフォード大学経済学部教授でもあるヘルマーは、ビジネスを持続的に成功させる7つのパワーを徹底分析し、それを本書で明らかにします。

パワーはビジネスの「聖杯」であり、それを手に入れることは困難ですが、その見返りは大きくなります。インテルやネットフリックスは、7つのパワーを手に入れることで、超優良企業に進化します。

【第1のパワー】規模の経済・・・事業規模の拡大を活かす戦略。コスト削減というベネフィットと市場占有率の拡大を阻むコストというバリアを獲得できる。

【第2のパワー】ネットワーク経済・・・利用者増大による便益増大。「ネットワーク経済」が一旦確立されてしまえば、それを追い抜くことは非常に難しい。多数のユーザーを抱えることで、価格を高く設定可能。後発企業には参入障壁というバリアが存在する。

【第3のパワー】カウンター・ポジショニング・・・他者が模倣できないポジショニング。優位性によって利益を上げること、マーケットシェアを一気に高めることができる。

【第4のパワー】乗換コスト・・・他社へ乗り換えられないための防御策。乗り換えコストがあるために顧客に高めの値付けが可能になる。ライバルが勝利するためには、乗換コストの負担と乗り換えを成功させるためのリスクコントロールや不確実性への不安を減らす提案力や実績が欠かせない。導入コストを上回るメリットの提示も必要になる。

【第5のパワー】ブランディング・・・長期にわたる顧客からの信頼。ブランドに対する蓄積されたイメージは、商品の客観的な価値とは別に、好意的な感情を引き出す。 ブランド品は期待を裏切らないだろうと思わせることで、顧客は安心感を得られる。強いブランドは長期間にわたる積み重ねがあって初めて創り出せるため、新興勢力にとってはバリアになる。

【第6のパワー】競合なきリソース・・・特許や人脈など独自の資産。圧倒的な優秀な人材がそれぞれを補完し、強力なチームを形成する。

【第7のパワー】プロセス・パワー・・・組織内で着実に共有されてきた見えないプロセス。「プロセス・パワー」を備えた会社は、作業工程を改善する習性が組織内部にいる個々人に根づいているため、製品の属性を改善したり、コストを引き下げたりすることが可能となっている。

7パワーズの一つか二つを武装できれば、たとえ競合相手が最善を尽くしたとしても、あなたが手掛けるビジネスは永遠のキャッシュフロー製造機と化し、理想的なポジションを獲得できる。逆に、パワーを一つも持てなければ、あなたの事業はリスクに晒される。それだけだ。

ネットフリックスのCEOのリード・ヘイスティングズは著者との交流を通じて、DVDビジネスからストリーミングと優コンテンツ制作会社にシフトすることに成功します。彼はパワーの本質を理解し、古くなったDVDビジネスからタイミングよく脱却し、徐々にストリーミング事業に参入し、やがてはオリジナルコンテンツを制作するようになります。結果、ネットフリックスのパワーは増強し、圧倒的なポジションを獲得します。本書の後半では、ネットフリックスの成長プロセスがパワーという視点から説明されています。

ネットフリックスがストリーミング事業での優位性にたどり着けたのは、行動がビジネスの第一原則であるのと同様に、行動こそが戦略の第一原則だということを実証しています。頭のなかで戦略計画を思い描くだけでなく、戦略を実行に移すことが重要なのです。

7つのパワーの共通点は何か?

「ネットワーク」に加わる顧客が増えるほどに、それぞれの顧客へのサービスの価値が高まる。そこで、最大の顧客を抱えられるかどうかが、「ネットワーク経済」の死活問題となる。ポイントは可能な限り早く拡大するということだ。「ネットワーク経済」が確立されてしまえば、それを追い抜くことは非常に難しい。

ネットワーク経済において、ナンバー1カンパニーは、Winner Takes Allを実現できます。一つの企業がある程度の差をつけて業界リーダーになってしまえば、その時点でほかの企業の敗北が決まります。検索の王者グーグルも
グーグルプラスはフェイスブックの前では負け組になりました。

また、ネットワークの特性として一定の閉鎖性を伴うようになりあす。フェイスブックとリンクトインの双方が成功できたのは、この閉鎖性で説明可能です。フェイスブックは個人のつながりのネットワークであり、職業人としてのものではありません。ネットワーク効果の及ぶ境界が2社の線引きしているのです。

パワーを増強するうえで、初期の段階で規模を拡大することが重要であることは間違いありません。誰が最速で規模を拡大できるかは、誰が早い段階で製品を最適化できるかにかかっています。

第3のパワーであるカウンター・ポジショニングは、7つのパワーの中で特に重要だと著者は指摘します。著書はケースとしてパッシブ運用のパイオニアであるバンガードの優位性を明らかにします。

1、卓越した異端的とも言える事業モデルを開発した新興企業。
2、業界で圧倒的な地位を確立した既存企業に挑戦し結果を出せる魅力ある事業モデル。
3、既存企業では考えられないほどの継続的な顧客の獲得。

力を持っている業界のリーダーは、新興勢力に反応しなかったり、対応した場合でもタイミングを逃しています。

挑戦者の勝利は決して、偶然の産物ではない。それは戦略に基づく勝利で、しかも新興企業が企業独自の価値を大量に創出し、同時に既存企業の価値を著しく減少させることに成功している。これこそが第3のパワー、「カウンター・ポジショニング」である。

挑戦者が既存企業の顧客に侵食するにつれ、既存企業が持つ2つのアドバンテージを奪っていくことになります。①既存企業の従来型事業の縮小
②挑戦者の成長が妨げられない

新たなシナリオが進行するにつれ、リスク調整後に予想される副次的損失の規模は小さくなり、どこかのタイミングで既存企業のCEOは、副次的損失が思ったほど大きくはなく、新規事業への投資が妥当だということに気づきますが、その時には時すでに遅しで、自社の事業は新興勢力にディスラプトされています。

これら7つのパワーには発明という共通点があります。

どのパワーも最初は「発明」から始まっているのだ。製品、プロセス、事業モデル、もしくはブランドなど、どんな発明でも構わない。パワーを創出することは、「『私もそうする』ではそうなれない」という類のものなのだ。発明の根本に存在するのは、行動、創造、リスクといったものだ。事業価値は血の通っていない分析からは生まれない。情熱、熱中、熟達、こうした力が発明を生む。

7つのパワーを得るためには、創業者が周囲を動かし、自ら行動し続けることが重要になります。計画立案がパワーを創出することは滅多にありません。

パワーが存在していない段階では、計画に頼ることはできません。創業者には価値連鎖のどこかに経済的利益を生む新しい何かを創出すること=発明が求められているのです。

スティーブ・ジョブズが「めちゃくちゃすごい製品」だけを創ることをモットーにしていましたが、これは考え抜かれた戦略だったのです。発明はパワーへの扉を開くだけでなく、戦略の基本方程式のもう一方の側にある市場規模も拡大させてくれるのです。

7つのパワーは出発、離陸、安定というステージで分類できます。
出発・・・「カウンター・ポジショニング」「競合なきリソース」
離陸・・・「規模の経済」「ネットワーク経済」「乗換コスト」
安定・・・「プロセス・パワー」「ブランディング」

著者は、「重要市場のなかにあって、持続可能なパワーへとたどり着く道」を戦略だと定義し、成功のために成し遂げるべきもだと述べています。新規事業において7つのパワーをこのステップで得ていくことで、成長企業を生み出せるのです。経営者は本書のアドバイスに従い、実践することで成功を手に入れられます。


この記事を書いた人

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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