スタートアップ的人生(キャリア)戦略
リード・ホフマン, ベン・カスノーカ
NewsPicksパブリッシング
本書の要約
人とのつがなりを強化することで、自分の競争上の強みを伸ばせます。ABZプランニングを実践する、戦略的なセレンディピティを培う、賢くリスクをとる、情報網を活かすなど、さまざまな場面で周りの人が自分を支援してくれます。つながりの中でお互いを助け合うことで、キャリアアップをはかれるようになります。
起業家のように行動し、キャリアをアップしよう!
素晴らしい人生は、素晴らしいスタートアップと同じように、「永遠のべータ版」である。つまり、いつまでも発展途上で、常に新しい選択肢に適応しているのだ。(リード・ホフマン, ベン・カスノーカ)
創業から20年、リンクトインの会員数は8億人を突破しました。 リンクトインを共同創業者、起業家であるリード・ホフマンと起業家にして作家であるベン・カスノーカは、リンクトインの巨大なデータセットをとおし、成長著しいスタートアップの事業戦略と、順風満帆な個人の人生(キャリア)戦略は驚くほど似通っていることに気づきます。
私たちはAIやロボティクスなどのテクノロジー革命と終身雇用の崩壊により、以前とは異なるキャリアプランを採用しなければなりません。キャリアのエスカレーターに乗ることが難しくなってしまったのですから、私たちは新たな戦略を採用する必要があります。
著者の二人はその解決策として、起業家の思考と行動を真似すべきだと言います。現代のような変化の激しい時代に生き残るためには、さまざまな資産に投資し、スキルアップをはかる必要があります。私たちは人や市場とのつながりを築くことで、自分らしい人生を生きられるようになります。
「永遠のベータ版」という生き方には要するに、「いまはまだ」に応じて生きながら、たゆまぬ成長を続けていくという決意が込められているのだ。
ベンチャーは絶えず、自社の製品やサービスをアップデートし、顧客体験を高めています。個人もこの「永遠のベータ版」という考え方を取り入れ、自分を日々アップデートすべきです。
私たちは起業家のように競争上の強みを競争上の強みを身につける必要があります。 強みは「資産」、「大志」、「市場環境」の3つの歯車の噛み合わせによって決まります。 自分にとって、最適な方向を選べば、自分の持てる資産を最大限活かして市場環境にうまく適応しながら、大志を実現できるようになります。
市場環境とは「あなたが人材市場に提供するのと同じものを、どれだけの人が提供していて、需要はどれくらいあるか」ということです。 情熱だけに捉われず、キャリア資本を築くのにふさわしい、3つの歯車がうまく噛み合う場所を見つけるのです。
私たちは投資家のようにソフト資産をふやすべきです。 新しいスキルを学び、新たな人とのつながりをつくり、自分ブランドを築くことに取り組むのです。競争上の差別化につながるソフト資産の形は2種類あると著者たちは指摘します。
1、稀有であること。
たった1つのソフト資産がそれだけで大きな価値を持つので、キャリアが著しく向上します。私たちはスキルや経験など自分にしかないソフト資産こだわるべきです。
2、ソフト資産を組み合わせる。
いくつもの異なるスキル、経験、人脈を活かせば、組み合わせたときに稀有な価値が生まれます。 起業家の視点を持って自分の資産の内容を見つめれば、他者にとって価値のある独創的な組み合わせを見出せます。
人生は長いのですから、常に新しいスキル、経験から得た洞察、人間関係の組み合わせを探って、ソフト資産を新たな機会に結びつけていくべきです。絶えず、自分に投資し、環境に適応することを考え、資産を組み合わせることで、他者から選ばれる存在になれます。
ABZプランニングで自分のキャリアの可能性を広げよう!
「ABZプランニング」のメソッドで人生を切り開くことができると著者たちは指摘します。まずは、自分の強みを活かすための最優先プラン (プランA)をつくり、周りからの意見や教訓をもとに何度も改良しながら練り上げます。プランBは、目標や目的、あるいはそこにたどり着くルートが変わった場合に採用するものです。
プランZはいざというときの備え、つまり荒海に投げ出されたときのための救命ボートのようなものです。もしプランのーつが失敗したり、キャリアプランがどれも行き詰まったりして、人生の方向性を大きく変えたい場合にも、安心でき、確実で、揺るぎないプランが必要になります。それがプランZになります。
プランZがあれば、プランAやプランBに不透明さやリスクがあっても、受け入れて挑戦することができるのです。創業者たちは休みなく走り続け、市場の現実が突きつけられるたびに新しいことを試し、そこから得た教訓をもとに速やかにプランを変更します。仮説を立て、正しい行動を行ううちに、プランBが見えてきます。プランを立てるのではなく、行動をとおして学ぶうちに、本当にやるべきことが見つかります。
私は広告会社で働いていた12年前に、ソーシャルメディアやiPhoneの知識を発信することで、出版するチャンスを得ました。広告会社の未来を悲観していたため、プランA以外の道を探っていたのですが、情報発信が私の可能性を広げてくれたのです。
その後もセミナーでの講演や雑誌での連載などさまざまなプランBを試す中で、コンサルタントという天職に出会えました。自分のさまざまなスキルを掛け合わせ、クライアントの課題を解決することが私の喜びになったのです。日々、学びに投資することが私のルーティンになり、自分の幅を広げることができました。
もし、あの時、広告会社というプランAのみにこだわっていたら、私のキャリアはそこで止まっていたはずです。何かに行き詰まったら、新しい選択肢を探すことを心がけましょう。
中身を伴ったサステナブルな人間関係を培い、それを土台にして強力なプロフェッショナルなネットワークを築くことで、自分の成長を加速できます。周りの優秀な人のサポートを受けることで、成功する確率も高まります。キャリアの基盤を強化したいなら、SNSの弱い紐帯の力も活用すべきです。
人生においては自分一人が英雄だと思いたいところだが、現実には、私たちは地域、会社、さまざまな団体、家族、社会全体の一員であり、そこに属する人々から影響を受け、助けられ、ことによっては傷つけられる場合さえある。1人ひとりを切り離すわけにはいかない。成功ストーリーはすべて、主人公と周囲の人々との関係で語られるべきだ。
お互いのために何ができるかを考え、他者への貢献を考えることで、ネットワークが強化できます。弱い紐帯である2次、3次の隔たりの人たちが、あなたのビジネスの課題を解決してくれます。彼らとの関係を築くために、周りの人に紹介を依頼することを躊躇しないことが肝心です。
プロジェクト、出会い、経験、そして思いがけない幸運は、自ら積極的に「取りに行く」ことが求められます。好奇心を養い、偶然の幸運(セレンデイピテイ)を大事にすることで、新たなチャンスに出会えるようになります。そのために周りとのつながりを大切にし、機転を利かせ、偶然を引き寄せるようにします。
仕事上の機会を追求しながら、正確に状況を見極め、賢くリスクをとることを意識しましょう。賢くリスクをとる人は仮に不都合があったとしても、リスクを正当化できる十分なメリットがある場合だけ、チャンスを追い求めるという特徴があります。
キャリアについて優れた判断を下すために、自分の情報網やコミュニティから知恵を引き出すべきです。検索エンジンが教えてくれない情報や適切なアドバイスを私たちは周りの人から受けられます。いくつものコミュニティに属したり、SNSの情報網を強化することで、正しい解決策が見つかるようになります。
人とのつがなりを強化することで、自分の競争上の強みを伸ばせます。ABZプランニングを実践する、戦略的なセレンディピティを培う、賢くリスクをとる、情報網を活かすなど、さまざまな場面で周りの人が自分を支援してくれます。つながりの中でお互いを助け合うことで、キャリアアップをはかれるようになります。
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