なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?
理央周
日本実業出版
本書の要約
仕事で成果を出すためには、サボる時間(何をしてもいい自由な時間=サボる時間)が欠かせません。自分の価値を高めるためのサボる時間が、あなたに幸せを運んできてくれます。日々、成長し、他者に価値を提供し続けることで、感謝されるようになり、間違いなく幸福度がアップします。
成果を出す秘訣は「サボる」にあり!
仕事で大切なのは、「成果(あなたの価値)」を生み出すことです。その最大の秘訣は、「サボる時間」を確保することにあります。こういうと、「忙しくて、サボれないのです」とよく言われるのですが、そうではありません。「忙しくてサボれない」のではなく、「サボる時間がないから忙しい」のです。(理央周)
経営コンサルタントの理央周氏は、仕事で成果を出したければ、「サボる」時間をつくるとよいと言います。多くの人はサボることをネガティブに捉えていますが、サボるの定義をポジティブに変えることで一気に生産性が高まります。
普段何をしているかがわからないのに、成果を出す人がいます。彼らの共通点が実は、サボることなのです。「何をしてもいい自由な時間=サボる時間」をつくるほど、成果がおもしろいように生み出せるようになるのです。
最短の時間で最大のパフォーマンスを出すタイパ術を身につけることで、自分のやりたいことに時間を使えるようになり、夢やビジョンが実現します。仕事と遊びの垣根をなくすこと、課題に対するアンテナを立てて、何からでも誰からでもヒントをもらえるようにすることで、アイデア出しに困らなくなります。
仕事は価値を提供する「価業」と「作業」に分かれますが、価業に時間を使えるようにします。アポ日程を入れすぎるとミーティングばかりに時間を取られ、価値提供のためのインプットやアウトプットに時間を使えなくなります。
私は経営アドバイザーとしてIPOを目指すベンチャーやスタートアップを支援していますが、彼らの課題を解決するためのインプットを欠かさぬようにしています。書籍を読む、コンサルタントや士業と情報共有する、ベンチャーのピッチを聞くための時間を確保することを意識し、スケジュールを組み立てます。ルーティンな打ち合わせばかりになると、インプットの時間を確保できなくなり、自分の成長を止めてしまいます。
私は朝時間を読書とブログの時間と決め、インプットとアウトプットの時間にしています。本でインプットしたことをブログでアウトプットすることは自分のためにもなりますが、読者や著者にも喜んでもらえます。書評ブログを書くことで、さまざまなご縁が生まれ、未来の新たなビジネスが生まれるきっかけにもなります。
また、週のうちに1日はインプットの日にし、自分の価値を高めるための時間にしています。カレンダーを埋めることではなく、価業のための時間(サボる時間)を確保することで、仕事をワクワクなものに変えられます。
幸せになるためのサボる時間術
仕事の速い人は、1日の時間を効率的に使います。ランチを食べたあとの午後に1度作業効率が落ちることを前提に考え、コンディションのよい午前中の時間を「価業」にあてているのです。
私は複数の企業のアドバイザーをしていますが、経営者とのミーティングの際に価値を提供できなければ、彼らに貢献できません。経営者の課題を解決するためのアイデアを絶えず考える必要があります。
私は早朝にその日予定されているミーティングをイメージし、シミュレーションを行うようにしています。経営者からの質問を想定しながら、そのための答えを考えることで、ミーティングがうまくいくようになりました。普通の人が寝ている4時台に起き、前日の振り返り、読書やニュースのチェックに時間を使ったあとにこのシミュレーションを行うことで、結果を出せるようになりました。
タイパの高い人は周りの人の力を借りることがうまく、社内だけでなく社外のネットワークを活用します。
知恵を借りるためには、「周りの人たちそれぞれの得意技」を知る必要があります。あなたの仕事の価業について、「資料づくりなら○○さん、プレゼンならロロさん」などと、「これは、この人が得意だ」を整理しておきましょう。引き出しに情報を入れておいて、必要なときにいつでも取り出せるようにしておくイメージです。いうまでもなく、引き出しは多いほうが、発想や仕事の幅も広がります。
私は独立してから、優秀な外部ブレーンを持つことを意識しています。経営者やその道のプロであるコンサルタントや士業の方とのネットワークを強化することで、課題解決のスピードと質がアップしました。課題が複雑になればなるほど、自分ひとりでは解決できないのですから、「外部脳」を持つことがおすすめです。
他者の視点を取り入れることで、アイデア出しの幅が広がります。他業種、職種、年齢が違った人とのコミュニケーションを取ることで、自分の殻を破れます。多様な人との関係を構築し、維持するためにもサボる時間を使うことは有効です。
完成度の高い資料をつくることはとても難しいため、途中で相手からのフィードバックをもらうことはビジネスで結果をだすために必要なスキルです。
資料での修正指示をなくすための秘訣は、完成度67%のたたき台、いわゆるドラフトを、修正可能な日数を計算したうえで見せることです。67%のドラフトとは、「いい加減な資料」「分量が67%」ということではなく、「上司が骨格を把握できる状態の資料」だということです。
まずは67%のドラフトを見せて、方向性に大きなズレがないかを確認することで、仕事をスムーズに進めることができるようになります。
できるビジネスパーソンは資料をギリギリのタイミングで見せるのではなく、修正可能な時間を残しています。質の高い仕事をすることで、上司やクライアントとの信頼関係を構築しているのです。
仕事とプライベートを両立させるためには、プライベートの予定を先に確保すべきです。パフォーマンスをアップさせるためには、プライベートの充実と健康が欠かせません。仕事だけではなく、人生を楽しむことで、仕事に対するモチベーションが高まります。
他者から感謝されることで幸せになれると著者は述べていますが、私もこの考えを支持します。感謝される人になるためには、自分の価値を明らかにし、それを磨くことが重要です。日々、成長し、価値を提供し続けることで、幸福度は間違いなくアップします。サボる時間を必ず確保し、自己投資のために時間を使いましょう。
本書の101の仕事術を実践することで、仕事と人生に対するマインドセットも変えられます。生産性を高めることで、人とのつながりを強化したり、本当にやりたいことに時間を使えるようになります。
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