デザイン思考2.0 人生と仕事を変える「発想術」(松本勝) の書評

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デザイン思考2.0 人生と仕事を変える「発想術」
松本勝
小学館

本書の要約

ダイバーシティとインクルージョンのある組織をつくることで、イノベーションが起こりやすくなります。チームに心理的安全性があることで、互いのアイデアがインクルージョンされ、顧客の課題を解決するサービスやプロダクトが生まれてくるのです。経営者は新結合が生まれる社内文化や環境(ダイバーシティ&インクルージョン)を整えることを意識すべきです。

イノベーションにおいて、潜在ニーズが重要な理由

イノベーションは新結合によって起こりますが、顕在ニーズ、潜在ニーズどちらのニーズをベースにしても新たな組み合わせを作ることができます。イノベーションを起こすには、まずは顧客ニーズを見つけなければなりません。顕在ニーズであれば、顧客に簡単なアンケートやヒアリングを行うだけで見つかるでしょう。一方、潜在ニーズの場合は、顧客に対してインタビューを行ったり行動観察をしたうえで、「顧客が本当に求めているものは何だろう?」と問いを立て、顧客自身も気づいていない隠れたニーズを特定する必要があります。(松本勝)

イノベーションは要素と要素の組み合わせ(新結合)によって生まれるとヨーゼフ・シュンペーターは指摘しました。さまざまな商品が開発されている現代においては、顧客が気づいていない潜在ニーズを特定し、顧客のペインを解決することが重要になっています。

潜在ニーズを見つけることはとても難しく、顧客に寄り添い、共感することからそれが可能になります。その際、デザイン思考を活用することで、顧客の潜在ニーズを発見できるようになります。デザイン思考の以下の5つのステップを繰り返すことで、イノベーションを起こせるようになります。

1、共感
2、問題定義
3、創造
4、プロトタイプ
5、テスト

VISITS Technologies代表取締役の松本勝氏は「良いアイデア」が最低限満たすべき条件を4つあげています。
①ターゲットとなる顧客のニーズを捉えていること
②その顧客ニーズはまだ他の方法で実現できていない(または、一部は実現できていても顧客は充分に満足していない)こと
③提示するソリューションが顧客のニーズを満たすのに有効であること
④提示するソリューションが技術的に実現可能であること
顧客に伴奏し、彼らのニーズを満たすことで、顧客の行動を変えられます。プロダクトアウトではなく、マーケットインの発想で、顧客の潜在ニーズを掘り下げることが重要です。

イノベーションを起こす新たなソリューションの創出には、以下の4つのパターンがあります。
①顕在ニーズ×既存シーズ
②顕在ニーズ×新規シーズ
③潜在ニーズ×既存シーズ
④潜在ニーズ×新規シーズ
シーズドリブン(技術)だけでなく、顧客の隠れたペインを発見することを意識しましょう。顧客の潜在ニーズにアプローチし、適切なサービスやプロダクトを提供できれば、顧客は行動を変容してくれます。デザイン思考のルールに沿って、プロトタイプを見せながら、顧客からのフィードバックを受けることからスタートしましょう。

ダイバーシティとインクルージョンのある組織をつくろう!

顧客ニーズを発見するためには、顧客に「共感」し、彼らの立場になった時の「心の動き」にフォーカスする必要があります。特に、潜在ニーズを発見しようとした場合には、顧客自身も自分のニーズを言語化できないので、彼らの行動を入念に観察したり、インタビューを繰り返すことで、「顧客が本当に求めているもの(=潜在ニーズ)」を見つけ出さなければなりません。デザイン思考のステップが「共感」から始まるのはこのためです。

著者は顧客に寄り添う時には、Sympathy(共鳴)ではなく、Empathy(感情移入)を意識すべきだと言います。顧客に感情移入して「自分ごとのように感じる」ことで、よいサービスやプロダクトが生まれてきます。

デザイン思考では、「自分のことのように感じる」ことで、顧客の潜在ニーズを発見できます。マス型の発想ではなく、顧客を1人の人間として捉えることで、本当のペインが見つかるようになります。顧客と対話をする時には、人の本源的欲求にフォーカスしましょう。誰もが持つ本源的欲求から思考することで、人の気持の動かし方を理解できます。

人間の本源的欲求を起点にニーズ探索を始めることにより、ニーズの発見速度を上げることができますし、スケールの大きなビジネスを作れるようになります。

GAFAは以下の本源的欲求を解決することで、飛躍的な成長を遂げたのです。
メタ・・・他者から認められたい
グーグル・・・情報を知りたい
アマゾン・・・面倒くさいことをしたくない
アップル・・・ユニークな存在でありたい

人々の共感する「提供価値」は時代やテクノロジーの進歩とともに変化するため、サービスの作り手は常に「自分たちの作るモノやサービスのどんな提供価値に人々は共感するのか」を見定めなければなりません。

顧客の欲求レベルが高まる中、複数の提供価値を組み合わせることが企業には求められています。

人々が共感する提供価値を自社のサービスやプロダクトに上手く組み込むことができれば、顧客はそれを積極的に使ってくれるようになります。人々が共感する提供価値を見いだし、その提供価値の統合を行うことで、顧客体験を高めることができるのです。

提供価値の統合を行うためには、多様な価値観を持つ人が集まり、意見を出し合うことが効果的です。ダイバーシティとインクルージョンのある組織をつくることで、イノベーションを起こしやすくなります。チームに心理的安全性があることで、互いのアイデアがインクルージョンされ、顧客の課題を解決するサービスやプロダクトが生まれてくるのです。

チームメンバーの様々な価値観が統合され、新たな価値が生まれることでイノベーションが起こります。経営者は新結合が生まれる社内文化や環境(ダイバーシティ&インクルージョン)を整えることを意識すべきです。


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