売れない問題 解決の公式(理央周)の書評

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売れない問題 解決の公式
理央周
日本経済新聞出版

本書の要約

Product、Target、Communication頭文字をとった「PTCモデル」とPDCAサイクルを組み合わせることで、顧客理解が進み、売上がアップします。「売れる仕組み」は「何を=差異化されたプロダクト」「誰に=的確なターゲット設定」「どうやって=顧客とのコミュニケーション」の戦略を立てただけではなく、計画を確実に実践しましょう。

PTCモデルとPDCAサイクルを組み合わせよう!

売れないときこそ基本に戻って「何が間違っているのか?」を検証することが大切です。 時代がどう変化しようとも、商売の本質として不変なのは、「顧客のニーズを自社の製品で解決すること」です。それによって「顧客を動かす」ことを目指します。(理央周

景気が減退する中で、多くの企業の売上が上がらなくなっています。仲間の理央周氏が、この解決策を本書でわかりやすく解説してくれました。売れない問題は「①どうやって、②誰に、③何を」から解剖していくと原因が見えてきます。

マーケッターはHow(メディアやSNSなどの施策)の部分から、売上アップを図ろうとしますが、著者はWhat、Who、Howの順番で考えるべきだと指摘します。

・What 何を=プロダクト(Product)
差異化・独自化できる製品やサービスに特化すること

・Who 誰に=ターゲット(Target)
売り物が響くターゲット層を明確に決めること

・How どうやって=顧客コミュニケーションの戦略(Communication)
売り物の本質を売り先に「伝え」顧客を「動かす」こと

Product、Target、Communication頭文字をとった「PTCモデル」とPDCAサイクルを組み合わせることで、顧客理解が進み、売上がアップします。私は企業の社外取締役やアドバイザーをしていますが、売上アップをはかるために、経営陣やマーケターに顧客起点で考えることを伝えています。 

顧客起点でマーケティングを捉えるとはどういうことなのでしょうか?売り物の本質を売り先にしっかりと「伝え」、顧客にアクションを起こしてもらうのです。 あなたの製品に響く人たちを定義してから、その人たちに「どうやって」買ってもらうのかを考えます。WhatとWhoを定義しなければ、正しい施策も考えられないのです

マーケティング活動の中心は、戦略を立案し、確実に実行することです。
●自社がビジネスをすべき市場の動きや消費者、顧客層の変化/情報を集める
●情報などの分析により、気づきを洗い出す

計画(Plan)を立てる前段階で、ゴールと目標値(KGI)を明快に定めた上で、計画を立てることが成果につながるカギになります。 フォアキャストから具体的な数字を設定し、それとのギャップを埋めることを考えます。チームでそれを共有し、すぐにアクションを起こしていくようにします。

PDCAにおける計画を立案する際に、現在の立ち位置から市場がこうなるとフォアキャストして、そのときの「こうありたい将来」を設定し、そこからバックキャストして、いつまでに、誰が、何を、どのようにすべきかというステップで立案します。

当初に立てた計画=戦略は、あくまで「仮説」ですから、計画通りにものごとは運んでいなくても、気にしないようにしましょう。「結果が出なくて当たり前」と考え、次の仮説を考え、行動するうちに施策の精度が高まっていきます。起こった事象を適切に検証し、改善すれば結果が出せるのかを考えることを行うことが重要なのです。

施策を検証する際にはHowの部分からスタートします。「①どうやって、②誰に、③何を」の順で検証、改善ポイントを考案することです。

カスタマージャニーがなぜ重要なのか?

常に顧客の利便性を考え、顧客の期待以上のものを生み出さなければ、なかなか買ってはいただけません。このような顧客の心の中にある本音(インサイトと呼びます)を見つけることができれば、大きな差異化ポイントになります。

顧客の課題を見つけることが難しくなっています。顧客の潜在的なニーズを探し出し、その解決策を同時行うプロダクトマーケットフィツト(PMF)が重要になっています。ベンチャー企業は永遠のベータ版という考えで、絶えずプロダクトを改善し、キャズム理論に則って顧客を変化させています。この考えを真似し、マーケティングを変化させていくのです。

顧客に発見・購入してもらうこと、その顧客体験を高めることで、リピーターや熱狂的なファンが生まれます。カスタマージャーニーを設計し、彼らとの関係を築くことがマーケターの仕事なのです。

ファンはブランドへの行動と態度という2種類の「ロイヤルティ=忠誠心」を持っています。
①行動のロイヤルティ・・・リピートしてくれる。
②態度のロイヤルティ・・・いいクチコミ・レビューをしてくれる。
ファンを増やし、彼らの力を借りることで、新たな顧客に見つけてもらえるようになり、マーケティングコストの低減がはかれます。成長している企業は顧客だけでなく、PRを活用しメディアもファンにしています。

①顧客がニーズに気づき購買・契約するまでの行動と心理を想定する。
②その各フェイズで抱えているであろう課題や不満、あきらめや妥協を分析する。
③自社が何ができるのか?
の視点でカスタマージャーニーを作ります。顧客のペルソナごとにカスタマージャーニーを作ることで、コミュニケーションの手法が変わります。自社の提供価値をそれぞれのペルソナごとに考え、コミュニケーションをデザインします。

その際、顧客のペインワードを考え、その解決策を提示することを私はクライアントに求めています。ペインワードを明確にし、PR(記事露出)とGoogleのアルゴリズムを活用しながらマーケティングを設計するのです。

メディアの役割が変化し、情報入手の方法が多様化する中で、コミュニケーションの設計にも工夫が求められています。いくつかのコンタクトポイントで自社の情報に接してもらうために、カスタマージャーニを精緻化しましょう。

ペインワードを提示したメディアでの露出→ペインワードでのSEO→LPO(ランディングページの最適化)→EFO(エントリーフォーム最適化)で購入率をアップさせるのです。SEOやLPOだけでなく、エントリーフォームの改善にも取り組みましょう。

「売れない問題」を解決するためには、以下の3つの力を組み合わせること=マーケティングを行うことが重要です。
①現状を打破し新しい発想を生む力
②顧客の本音を知る顧客力
③組織メンバーが一定の成果を出せる仕組み力
「売れる仕組み」は「何を=差異化されたプロダクト」「誰に=的確なターゲット設定」「どうやって=顧客とのコミュニケーション」の戦略を立てただけではなく、計画を確実に実践しましょう。マーケターだけでなく、チームで仕組みに取り組んで、はじめて成果につながります。

競走が激化し、顧客のニーズが大きく変わる中で、結果を出すことが難しくなっています。組織全体で問題意識を共有して、目指すべき方向をすり合わせ、力を結集しましょう。結果、顧客体験を高められるようになり、売上アップが実現します。詳細な事例がPTCモデルの効果を実証しています。ぜひ、ご一読ください。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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