ひとこと化――人を動かす「短く、深い言葉」のつくり方 (坂本和加)の書評

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ひとこと化――人を動かす「短く、深い言葉」のつくり方
坂本和加
ダイヤモンド社

本書の要約

ひとこと化するためには、徹底的に考える必要があります。著者は、コピーライティングの仕事は「課題解決」だと言います。そのためには、クライアントにしっかりと寄り添い、徹底的に思考することが求められます。クライアントに伴走し、「自分ごととして考えること」で初めて、課題を解決できるようになるのです。

ひとこと化のために必要なこと

普段の生活でも、ほめるポイントを見つけられることは、それだけでかなりのアドバンテージになります。 ヤバイやスゴイではなく、「どう」ヤバイ、「何が」スゴイと説明できたら、それがそのままコピーライティングの仕事に直結するくらい、とても価値があります。(坂本和加)

ほめることは、他とは異なるよさを積極的に見つけることです。コピーライターは「どうしたら、より魅力的に伝えられるか」という視点で仕事をしていますが、そのスキルを身につけることで、ポジティブに生きられるようになります。

コピーライターとして活躍する坂本和加氏は「一番言いたいこと」を、相手に深く短く伝わる言葉にすることを「ひとこと化」と呼びます。大切なことを短い言葉にすることで、相手に伝わるようになります。人の心を動かす「短く、深い言葉」を生み出すことで、相手とのよい関係を築けるようになります。

このひとこと化によって、「行くぜ、東北。」「カラダにピース。」「イット!」「WAON」などの印象に残るコピーが生まれたのです。

ひとこと化のために最初にやることは、自分と相手の「共通項」を探すことです。よい関係を築くために、まずは、相手との共通項を探すことから始めましょう。

その上で、よい商品やサービスのよいところをひたすら見つけていきます。

「同じじゃないって、いいよね」目線です。他とはちがう部分を積極的に探していきます。 同じじゃない。これだけを切り出せば、ネガティブにもなります。大切なのは、「いいよね」のほうです。

ネガティブなことでもポジティブに変換して捉えることで、自分をよい方向に変えられます。ポジティブ思考を身に着けたければ、他者や商品、サービスなどのよいところを見つけるようにすべきです。

「ほんとうに伝えたいこと、伝えるべきことはなんなのか」を深掘りし、ポジティブに捉えることで、短くインパクトのあるメッセージを開発できるようになります。

経営者がよいメッセージを開発すべき理由

言い得る「ひとこと」にするために必要なのは、思考が9割、技術が1割です。

ひとこと化するためには、徹底的に考える必要があります。著者は、コピーライティングの仕事は「課題解決」だと言います。相手の課題を言葉を通じて、解決することがコピーライターの仕事なのです。そのためには、クライアントにしっかりと寄り添い、徹底的に思考することが求められます。

クライアントに伴走し、「自分ごととして考えること」で初めて、課題を解決できるようになります。 自分のことのように相手の話を聴くことで、人は積極的に話をしてくれるようになり、たくさんの情報をもらえるようになります。

仕事ができる人とは傾聴ができる人で、さまざまなところにアンテナを立てて、情報をとっている人です。それを組み合わせることで、やがて解決策が見つかり、伝わるメッセージを発信できるようになります。

仕事のできる人には、思いやりの心という共通点があると著者は指摘します。

相手を思いやる力、つまり想像力がアップし、言葉にする力も飛躍的に伸びます。話を聴くときには「もしも自分が相手の立場だったら」を徹底して聴く。頼まれているのは自分ではない場合でも、「自分がやる」「自分だったら」と思って話を聴く。それだけでも仕事に対する姿勢そのものが変わります。

メッセージを短くすること=ひとこと化のためには、以下の5つのステップを踏む必要があります。
①課題をしっかりと見つめる、つかむ
②どうなりたいかを考える
③世の中にとっても、プラスになるかどうかを考える
④自分(または事業)と世の中(伝えたい相手)との共通項を探す
⑤言葉にして、自分や世の中に響くかどうかを想像する

自分と世の中の共通点を探ることで、自分のやるべき仕事が見つかります。自分が夢中になって時間を忘れてしまうようなことと、世の中の人が「いいね」と言ってくれることが同じなら、それは、それが自分の仕事になると著者は指摘します。

優秀な経営者ほど、人を喜ばすための言葉を持っています。自分の言葉を持っている、ということは「自分の言葉で言語化できるだけでなく、最適解にたどり着ける」ということです。

経営者が「問題の深掘り」を行い、問題の本質をつかむことで、言葉に命が灯ります。世の中の問題の根っこに迫ること、それを解決する方法をポジティブに考えていけば、「主語が自分だけでなく、みんな」という発想になります。

売り手だけではなく、対価を支払った買い手を幸せにすることはもちろんのこと、その周りの人まで笑顔にするようなメッセージを開発すべきです。経営者が「世間よし」や「未来よし」など自分の目指す世界を言語化し、発信することで、社員がその方向に主体的に動き出すことで、よい商品やサービスが生まれてきます。

顧客にパーパスやビジョンが届くようになることで、企業を応援してくれるファンが増え、やがては売上や利益がアップします。社員や顧客とよい関係をつくるために、経営者はビジョンやパーパスを積極的に語るようにすべきです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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