画期的なアイディアという病。新規事業の実践論 (麻生要一) の書評

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新規事業の実践論
麻生要一
ニュースピックス

本書の要約

経営者たちは、画期的なアイディアを否定することが多くあります。しかし、こうしたアイディアを否定してしまうと、会社が将来的に成長するチャンスを失うことになります。経営者は、アイディアを育成するための環境を整えることが重要です。社員たちにアイディアを出しやすい雰囲気を作り、アイディアが生まれた場合には、積極的に受け入れ、評価することが必要です。

画期的なアイディアの病とはなにか?

実際に、iPhone前夜の日本において、多くの企業戦士が経営者に対して「タッチパネル式携帯電話」の提案を行い、そのほぼすべてが否決された事実は歴史的にも振り返りがなされています。iPhoneと同じかそれ以前のタイミングで、同じアイディアが幾度となく提案されていたのに、それは「画期的」と判断されず、しかしその後スティーブ・ジョブズはiPhoneを生み出し、世界を変えました。これが、「画期的なアイディアという病」の正体です。(麻生要一)

多くの経営者が画期的なアイディアを評価するのに苦労している理由は、そのアイディアがイノベーションが起こる前には存在せず、理解し説明することが難しいからです。実際、世界を変えるようなアイディアは、まだ誰も考えたことがなく、事業内容を明確にすることが難しい場合があります。

このような状況で、経営者は、画期的なアイディアを否定することが多くあります。しかし、こうしたアイディアを否定してしまうと、会社が将来的に成長するチャンスを失うことになります。

経営者は、アイディアを育成するための環境を整えることが重要です。社員たちにアイディアを出しやすい雰囲気を作り、アイディアが生まれた場合には、積極的に受け入れ、評価することが必要です。

創業期のGoogleは、「世界中の情報を整理する」という大きな目標を掲げ、検索エンジンという新しいプロダクトを開発しました。当時は、検索エンジンという概念自体がまだ一般的ではなかったため、その価値や素晴らしさを正確に理解することはできませんでした。

このように、画期的なアイディアは最初の仮説段階で説明を求めるのは間違っています。なぜなら、画期的なアイディアは、それが世界を変える前には説明することができないからです。しかし、重要なのは、その画期的なアイディアが世界を変える前において、たった一人、そのアイディアを正しく評価してくれる人が存在するということです。それが「顧客」です。

顧客は、自分たちが解決することができない課題を抱えており、その課題を解決する画期的なアイディアを必要としています。そのため、顧客だけがそのアイディアを「画期的で価値がある」と評価してくれるのです。上司、会社、同僚、チームメンバー、創業リーダーでさえも、そのアイディアの価値を正しく評価することができない場合があります。しかし、顧客の一部がそのイノベーティブなアイディアに反応した場合、そのアイディアが画期的である可能性が高いのです。

経営者は、その最初の顧客(Primary Customer)の声に耳を傾け、顧客のフィードバックを重視することが重要です。顧客のニーズや要望に合わせた画期的なアイディアを開発することが、ビジネスの成功につながります。それによって、企業は市場において競争優位性を持つことができ、顧客からの信頼やロイヤルティを獲得することができます。(Primary Customerに関しては先日のブログをご参照ください)

起業家はまずPrimary  Customerを見つけよう!

新規事業を始める際には、Primary Customeを見つけることが成功の鍵となります。Primary Customerとは、新製品やサービスを冒険的に試してくれる、そしてその結果をフィードバックしてくれる最初のお客様のことです。

このPrimary Customerがいることで、提供する側は製品やサービスを改善し、より多くのお客様を獲得することができます。 しかし、Primary Customerを見つけることは簡単ではありません。顧客獲得のためには市場調査を行い、自社の製品やサービスが解決できる問題やニーズを探す必要があります。そして、そのニーズに合わせて製品やサービスを作り上げ、Primary Customerを見つけるための戦略を立てることが大切です。

新しい製品やサービスを立ち上げる際、Primary Customerを獲得することは成功に必要不可欠ですが、その前に乗り越えなければならない壁があります。それは、Primary Customer以外の顧客が必ず否定的な反応を示すという事実です。 「高い」「使わない」「意味がわからない」など、顧客が否定的な反応を示す理由は様々ですが、共通しているのは、自分たちのニーズや問題を解決する製品やサービスでないと感じるからです。

つまり、その商品やサービスが彼らにとって価値がないと感じているため、反応が否定的になるのです。 Primary Customer以外の顧客が否定的な反応を示すことは避けられないことです。

キャズムを超え、次の成功につながるためには、顧客の反応を理解し、解決する必要があります。つまり、自社の商品やサービスが、Primary Customerのニーズや問題を解決することに集中し、その反応を受けて改善する必要があります。 

イノベーターを獲得するためには、彼らのニーズや問題を解決する製品やサービスを提供し、彼らのフィードバックを真摯に受け止め、改善していくことが必要です。そして、Primary Customerや2nd Customerの口コミによって、初期の顧客を獲得することができるようになります。

Primary Customerを見つけたら、彼らと積極的にコミュニケーションをとり、彼らのニーズや要望に対して迅速かつ効果的に対応することが必要です。彼らから得られるフィードバックを真摯に受け止め、改善点を見つけ、製品やサービスを改善することが成功へのカギです。

新しいアイディアを模索することも、経営者にとって非常に重要です。常に現状に満足することなく、新しいアイディアを探し求めることで、会社の成長を促すことができます。しかしながら、画期的なアイディアを評価することは簡単ではありません。 アイディアを評価するためには、将来的なビジョンを持つことが大切です。

また、経営者がパーパスやビジョンを持つことで、将来の可能性を見通すことができ、画期的なアイディアを評価する際にも役立ちます。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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