MAKE NO SMALL PLANS(メイク ノー スモール プランズ)―人生を変える新しいチャンスの見つけ方
エリオット ビズノー, ブレット リーヴ, ジェフ ローゼンタール, ジェレミー シュワルツ
東洋経済新報社
本書の要約
著者の4人が示した「MAKE NO SMALL PLANS」というスローガンは、小さな目標を超えて大胆な夢や野心を持つことの重要性を強調しています。彼らは大胆なアイデアを実現するために粘り強く行動を続けました。そしてその結果、彼らは素晴らしいコミュニティである「サミット」を築き上げることに成功したのです。
4人の夢見る若者が立ち上げたサミット・シリーズ
偉大なビジネス、偉大な製品、偉大な理想とされるものの大半は、最初はまったくばかげていて、実現不可能だと見なされていたんだ。(エリオット・ビズノー, ブレット・リーヴ, ジェフ・ローゼンタール, ジェレミー・シュワルツ)
エリオット・ビズノー、ブレット・リーヴ、ジェフ・ローゼンタール、そしてジェレミー・シュワルツという若き4人が偶然出会うことで、サミット・シリーズのエキサイティングなストーリーがスタートします。無名のエリオットが縁のない同世代の起業家たちをスキー場に無料招待し、交流したことから、サミット・シリーズというコンセプトが生まれたのです。
①エリオット・ビズノー・・・人づきあいが下手な22歳の若者で、子どもの頃と同じ寝室で過ごし、ウイスコンシン大学を中退し、父親が運営するネットのニュースレターで広告枠を売る仕事に従事。
②ブレット・リーヴ・・・住宅バブルが崩壊した頃に不動産会社に勤め、歩合制で働く若者。
③ジェフ・ローゼンタール・・・百貨店チェーンのメイシーズの社員であることに不満を抱き、マンハッタンのハイウェイの進入路の下にある狭いアパートで起業を目指す。
④ジェレミー・シュワルツ・・・SF小説から名前をつけたパンクロック・バンドでプレーし、全米を回りながら1日8ドルで暮らすミュージシャン。彼が髪の毛を切り、プロジェクトに参加するシーンがとても印象的です。
その後、彼らは成功したと勘違いし、無料のイベントを有料に変更し、参加者の要望も聞かずに自分勝手なイベントを企画するというヘマをおかすことで、このコミュニティはいきなり危機を迎えます。
「神秘(ミステリー)が歴史(ヒストリー)を作る」ということだ。
しかし、彼らは持ち前の行動力とPR力で、ホワイトハウスで行われるオバマ大統領とツイッターのエヴァン・ウイリアムズやザッポスのトニー・シェイなどの起業家たちとのイベントを短時間で成功させてしまうのです。イベントがエキサイティングで参加したくなるように見せる彼らのストーリーテリングの戦略は、スタートアップにはとても参考になると思います。
彼らは、起業家コミュニティの重要性に気付き、世界中の起業家たちが集まる場所を作ることを決意しました。その際、トニー・シェイのアドバイスをもとにコミュニティの参加資格を明確にしました。
1.自分たちが招待したい人たちは、世界で画期的なことをしているか?
2.その人たちは心優しく、成長を心から願う開かれた心の持ち主である。
彼らは、サミット・シリーズを立ち上げるための資金を集め、ネットワークを築きました。そして、彼らは世界中からこの参加資格を有する優秀な起業家たちを集めることに成功します。
アイディアは、それにふさわしい言葉で言い表して初めて具体化される。僕たちが参加者として来てほしいと思うようなとても優れた人たちは、そう簡単に集められるわけじゃない。だから、そういう人たちを招くときに大事なのは、サミット・シリーズを明確かつ簡潔に定義し、なるほどと思わせることだ。自分の使命をはっきり説明できれば、ほかの人たちから信用が得られるし、自分自身の信念も確かめられる。 僕たちが新たに作った参加基準を見ると、どれだけ資産があるかは問わないということがわかるはずだ。
サミット・シリーズは、ただの会議やイベントを超えて、新しい世代の思考と行動の場として注目されています。このコミュニティが特に印象的なのは、若者のエネルギーと情熱が具現化されている点です。
サミット・シリーズは、若くて野心的な人々が集まり、困難な状況の中でも新たなアイデアやビジネスモデルを生み出しています。これは非常に重要な点で、新世代が自分たちの考えを形にする場として機能しています。
また、このイベントは、単に講演やパネルディスカッションだけでなく、参加者同士の価値観やアイデアが交錯する場でもあります。異なる分野や国籍の人々が一堂に会し、互いに刺激を与え合います。
コンセプトの言語化が成功を左右する!
僕たちは億万長者じゃない。特許も持ってない。天才でも著名人でもない。エリオット、ジェフ、ブレット、ジェレミーというただの友人4人の集まりだ。発明家や投資家、会社経営者になるべくしてなる人がいる。僕たちは、そんな影響力の強い人たちを集めて、起業家、クリエーター、モノ作りの人たちのコミュニティを築きたいと日頃から強く願っていた。
4人が作ろうとしていたのは、業界や学問の分野を超えてイノベーターが集まるコミュニティでした。サミット・シリーズは、「思いやりと柔軟な考えを持っていて、仕事の成功に関係なく僕たちが友人になりたいと思う人たちの集まり」というコンセプトを明らかにすることで、大きなパワーを持ったのです。
忍耐強く自分たちのコミュニティを人々に伝えることで、徐々にサミット・シリーズが評価され始めました。国連のエリザベス・ゴアの発案のチャリティー・オークションの開催が、起業家たちにダブルボトムライン(収益を上げ、社会貢献)の重要性を気づかせたのです。
多くの人々がサミット・シリーズの魅力に取り込まれていきました。元大統領のビル・クリントンとのチャリティイベントを成功させることで、風向きが変わり、多くの有名人がこのコミュニティを応援してくれるようになったのです。その際、4人は多様性とコンテンツや体験を意識するようになりました。
・ワービー・パーカーの創業者ニール・ブルーメンソールとデヴィッド・ギルモア
・クルーズ船を貸し切ったイベント「サミット・アット・シー」の登壇者リチャード・ブランソン
・TEDのクリス・アンダーソン
・Pay Palの創業者のピーター・ティール
・グアテマラの投資家マティアス・デ・テザノス
・週4時間だけ働くの著者のティム・フェリス
私たちが忘れていけないは、これらの有名人もサミット・シリーズの「クリエーター」として参加している点です。
サミット・シリーズは、専門家や関係者を招いてテーマに基づいたディスカッションやワークショップを提供するだけでなく、その後も継続的にメンバーを支援し、社会的影響を生むよう努力しています。
彼らのビジョンは、単に会話をする場を提供することではなく、具体的な行動と変革を促すことです。 これにより、議論やアイデアが単なる「考え」で終わらず、実際の社会に影響を与える行動へと繋がります。世の中をよくするための、アイデアと行動とその継続がサミット・シリーズのモットーになったのです。
サミット・シリーズの魅力は、4人の創業者だけでなく、コミュニティ全体で成り立っているところです。参加する各メンバーが持つ独自のサミット・シリーズは単なる一回限りのイベントではなく、コミュニティなのです。
創業者の4人は、セッションやワークショップが終わった後もそのメンバーを持続的にサポートする環境を作り上げました。サミットで形成されたパートナーシップや友情は、社会に実際の影響を与える協力的なプロジェクトにつながる可能性があります。参加するメンバーがそれぞれが持つ個性や能力を最大限に活かし、お互いに刺激し合いながら、一緒に成長していると言います。これにより、新しいアイデアやプロジェクトが次々と生まれ、コミュニティ全体の価値を向上させているのです。
MAKE NO SMALL PLANSがコミュニティを成長させる原動力
僕たちはリスクをとることに決めて、そのリスクを何度も何度もとり続けてきた。繰り返しカジノでテーブルの真ん中にありったけのチップを出してきたようなものだ。数え切れないほど負けはしたものの、トータルでは勝ちが上回った。
4人は「MAKE NO SMALL PLANS(メイク ノー スモール プランズ)」というキャッチフレーズを掲げました。これは彼らが追求する大胆な目標や夢を表しています。彼らは自分たちの限界を超え、大きなプランを持つことを信じていました。
大胆なアイディアは、新たなルールや新たなアイデンティティを生み出す可能性を秘めています。彼らは新しいアイディアに対して前向きな姿勢を持ち、自分自身や他の人々のアイデンティティを尊重することで、より多様で包括的なコミュニティを築いていったのです。
サミット・シリーズは単なる一回限りのイベントではありません。それはコミュニティです。創業者である4人は、セッションやワークショップが終わった後もそのメンバーを持続的にサポートする環境を作り上げました。
サミットで形成されたパートナーシップや友情は、社会に実際の影響を与える協力的なプロジェクトにつながる可能性があります。 多様性の力 サミットの主要な強みの一つは、招待されるスピーカーや参加者が多様であるという点です。
この広い視野が、多角的な洞察と経験の豊かな対話を生み出し、それが全体として更に豊かで多面的な対話を生むのです。それぞれが持つ個々の強みと能力が最大限に活かされ、相互の成長と尊重が促される環境が整っています。
このような大胆な目標は、新しい文化や価値観を形成する力も持っています。サミット・シリーズのようなイベントは、ダイバシティやインクルジョーンを促進する素晴らしい場でもあります。ここで出会った人々が、互いに刺激を受け、新たなアイデアやビジネス、プロジェクトを生み出すことで、社会全体が豊かになるのです。
僕たちのアイディアは大胆だから、誰かに盗まれる心配はない。いつも思うけれど、起業家は盗まれるのを心配してアイディアを打ち明けないことで、多くのものを失っている。自分と同じことを考える人間なんていないし、ましてアイディアを盗んで金儲けしようなどと企むわけがない。盗もうとしたところで、自分たちよりうまくやれるわけがない。アイディアそのものには価値がない。本当の価値は努力と実行力によって後からついてくるものだ。
サミットが成し遂げたことは、単なるイベント以上のものです。それは、夢を追い求めるすべての人々にとっての、新しい可能性とチャンスが詰まったリアルなプラットフォーム(山の山頂=サミット)だったのです。
そして、それは私たち一人一人が取るべきアプローチでもあります。 私たちも、小さな成功に甘んじず、常に大胆なプランを持って前進することで、自分自身や周囲の人々、そして社会全体を高めていけるのです。
この姿勢こそが、真に価値あるものを生み出す原動力となります。そして、それが多くの人々に希望とインスピレーションを与えるキーファクターとなるでしょう。 私たちも”MAKE NO SMALL PLANS”の精神を持ち、大胆な行動を起こすことで、自分たちの人生における夢や目標を現実にすることができるのです。そして、そのプロセス自体が新たな価値や意義を生む、素晴らしい冒険となることでしょう。
彼らは何度も失敗を繰り返しますが、決して諦めることなく、大胆に考え、行動することで、サミットを成長させたのです。”MAKE NO SMALL PLANS”というエキサイティングな彼らのストーリーをぜひ楽しんでください。今年、私が読んだ本で、最も面白かった一冊でした。特にスタートアップやベンチャーの経営者にはおすすめです。
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