THE POWER OF REGRET 振り返るからこそ、前に進める 「後悔」には力がある(ダニエル・ピンク)の書評

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THE POWER OF REGRET 振り返るからこそ、前に進める 「後悔」には力がある
ダニエル・ピンク
かんき出版

THE POWER OF REGRET(ダニエル・ピンク)の要約

ポジティブな感情とネガティブな感情のバランスを取ることが大切です。後悔を含むネガティブな感情も私たちの人生において重要な要素であると言えます。ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情も適切に扱うことが、成長と自己実現のためには必要です。後悔を適切に処理できれば、人生をよりよくできるのです。

ポジティブな感情とネガティブな感情のバランスをとろう!

後悔は、人間を人間たらしめるものである。後悔は、人間をよりよい人間にするものである。(ダニエル・ピンク)

久々にダニエル・ピンクの新作が出ました。今回のテーマは「後悔(REGRET)」です。ダニエル・ピンクは、後悔という感情に対する新しい解釈を提案しています。彼は、多くの人が持つ「後悔はない」という人生哲学が実は非現実的で危険だと指摘しています。ピンクによれば、後悔は単なるネガティブな感情ではなく、私たちを成長させ、前進させる重要な力であると主張しています。

失敗から学ぶことで、同じ間違いを繰り返さず、より良い人間になるきっかけになります。後悔を肯定的に捉えることで、過去の選択から学び、自己成長につなげることができます。これは、自己啓発や目標達成の動機付けにも繋がります。

一方で、ポジティブな感情の重要性も忘れてはなりません。楽観的な思考や、喜び、感謝、希望などの感情は、私たちの心理的な幸福感を高め、肉体の健康にも良い影響を与えます。明るい面に焦点を当てることは、暗闇の中での光明となり得ます。

私たちには、ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情も大切な役割を果たします。これらの感情の適切なバランスが必要で、それが欠けると学習や成長が阻害され、自己実現が難しくなることがあります。

例えば、恐怖は危険から逃れるために、嫌悪感は有害なものから身を守るために、怒りは脅威に対して警戒するために重要です。これらの感情が過剰になると問題ですが、不足しても同様に問題が生じます。ネガティブな感情が不足すると、危険に対して適切に反応できず、自己保護が難しくなることがあります。

ポジティブな感情とネガティブな感情のバランスが重要であるため、後悔を含むネガティブな感情も私たちの人生において重要な要素であると言えます。ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情も適切に扱うことが、成長と自己実現のためには必要です。後悔を適切に処理できれば、人生をよりよくできるのです。

後悔がもたらす3つの恩恵

研究によると、後悔の感情に適切に対処すれば、3つの大きな恩恵が得られることが分かっています。その3つの恩恵とは、
1、意思決定の質が改善すること、
2、課題に対するパフォーマンスが向上すること、
3、人生の充実感が高まることです。

まず、後悔の感情に適切に対処することで、意思決定の質が改善します。後悔は、過去の選択に対して不満や後悔の念を抱く感情ですが、この感情を適切に処理することで、将来の意思決定に生かすことができます。後悔の原因や背景を分析し、反省することで、同じ過ちを繰り返さずにより良い選択ができるようになります。

次に、後悔の感情に適切に対処することで、課題に対するパフォーマンスが向上します。後悔は、自身の行動や選択に対して不満や後悔の念を抱く感情ですが、この感情をポジティブに捉え、学びの機会と捉えることができれば、自身の成長やスキルの向上につなげることができます。

後悔から得た教訓を活かし、次回の課題や挑戦に取り組む際により一層の努力をすることができます。課題に粘り強く取り組むことで、結果をよりよくできるのです。「もし~~していれば……」と考えることで、自分の思考と行動を変えられるようになります。

ノースウェスタン大学の研究チームが、国立衛生研究所(NIH)の助成金に応募した若手科学者たちの15年間のデータを分析しました。この中で、助成金の審査でギリギリ合格した人とわずかに不合格だった人を比較したところ、助成金を受けられなかった科学者の方が長期的に見て優れた成果を上げることが明らかになったのです。

彼らは、より多くの論文を発表し、その論文もより高い引用率を記録していました。この結果は、失敗が将来的な成功に繋がる燃料となることを示唆しています。

最後に、後悔の感情に適切に対処することで、人生の充実感が高まります。後悔は、過去の選択や行動に対して不満や後悔の念を抱く感情ですが、この感情を受け入れ、成長の一環と捉えることで、自己成長や自己肯定感を高めることができます。後悔から得た教訓を生かし、自身の人生においてより良い選択や行動をすることで、充実感や満足感を得ることができます。

4つの主要な後悔

著者によると、人は次の4つの主要な後悔を抱くと言います。
・基盤に関する後悔
・勇気に関わる後悔
・道徳に関する後悔
・つながりに関する後悔

・基盤に関する後悔 (Foundation Regrets)
これは長期的な安定や健康など、生活の基盤を形成する要素に関する後悔です。例えば、健康に悪影響を及ぼす生活習慣を続けてしまった結果、後になってその影響に苦しむことなどが含まれます。

基盤に関する後悔は、「遅延価値割引」という心理的な傾向に起因することがあります。これは目の前の報酬を選択し、長期的な結果を軽視する人間の傾向を指します。結果、健康や財産形成といった長期的な価値を後回しにし、短期的な満足や快楽を追求することで、将来的な後悔につながることがあります。

・勇気に関わる後悔 (Boldness Regrets)
この種類の後悔は、行動を起こす勇気がなかったために逃したチャンスや機会に関するものです。たとえば、新しいキャリアへの転職をためらったり、大切な人に感情を伝えられなかったりすることがこれに当たります。

行動したことの結果は、具体的で限定的だ。それに対し、行動しなかったことの結果は、漠然としていて非限定的なものにならざるをえない。行動しなかったという経験は、私たちの皮膚の内側に後悔の種子を埋め込むことにより、終わりのない推測を生むのだ。

勇気に関わる後悔は、人間が成長したいという深い欲求に根差しています。私たちは自分の人間としての幅を広げたり、より豊かな世界を体験したり、平凡ではない独特な経験をしたいと願っています。このようなニーズは、新しい挑戦に対する勇気を必要とする場面で顕著になります。 ここから導かれる教訓は、実に明確です。それは、自己主張をすることの大切さです。私たちは自分の意見を表明し、自己表現を通じて自分自身を成長させる必要があります。勇気を持って自己主張を行うことで、成長の機会を掴み、後悔を減らすことができます。

・道徳に関する後悔 (Moral Regrets)
 道徳的な失敗や倫理的な誤りによって生じる後悔です。家族や配偶者など人を傷つける行為や不正行為を後悔することがこれに該当します。

・つながりに関する後悔 (Connection Regrets)
人間関係やコミュニティとのつながりに関する後悔です。大切な人との関係を維持しなかったり、友情を大事にしなかったりしたことに対する後悔がこのカテゴリーに入ります。

人とのつながりに関する後悔は、関係が壊れたり、成就しなかったりしたことから生じます。特に、相手が亡くなるなどして、もはや修復の機会がない「扉が閉ざされた後悔」は、何もできないという無力感から苦しみを引き起こします。一方で、「扉が開かれている後悔」では、関係を修復するための大きな努力が必要とされるため、苦悩することがあります。

私たちが直面するこの問題は、基本的には単純です。人生に満足感をもたらすのは充実した人間関係ですが、その関係が壊れると、修復するのに気まずさが伴います。関係修復の試みが失敗するかもしれない、または相手がさらに傷つくかもしれないという不安があります。

しかし、実際には、自分の居心地の悪さを過大評価し、相手の喜びを過小評価していることが多いのです。 この問題の解決策は、単純です。気まずさを捨て、行動を起こすことが大切です。扉が閉ざされた後悔から学ぶべき教訓は、次の機会にはより良い行動を取ることです。扉がまだ開いている後悔の場合、すぐに行動を起こすことが重要です。

大切な人間関係が崩れたら、電話をかけたり、会いに行ったり、自分の思いを伝えたりすることで、気まずさを乗り越えて関係を修復するべきです。


 

 

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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