書くことで不安を減る?「すぐやる」超習慣の書評

person writing on brown wooden table near white ceramic mug

世界最先端の研究が導き出した、「すぐやる」超習慣
堀田秀吾
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

世界最先端の研究が導き出した、「すぐやる」超習慣の要約

書くことが不安を減らす効果があることが、世界の研究から示されています。不安や心配を紙に書き出すことで、脳が整理され、問題解決に役立ちます。また、書くことでワーキングメモリが改善され、感情のコントロールがしやすくなり、パフォーマンスが向上するのです。

書くことで不安が減らせる理由

書き出すというアクションは、私たちが思っている以上に、脳によい効果をもたらします。(堀田秀吾)

不安や心配が強すぎて立ち止まってしまう人もいるかもしれません。その不安をどう扱えば良いのか分からないこともあるでしょう。そんな時、不安や心配を紙に書き出してみるのが良いと明治大学教授の堀田秀吾氏は言います。単純に見えますが、この書くという行動が、脳に良い影響を与えるのです。

紙に自分の思いを書き出す行為は、心のもやもやを整理し、不安や心配事をより客観的に捉える手段となります。過去の辛い経験やトラウマが心に影を落としている場合でも、その経験を文字にしてみることで、自分の感情や思考をクリアに整理することが可能になります。

具体的に不安を紙に書き出すことで、その問題に対する深い理解を得ることができ、解決への道筋が見えやすくなります。 このシンプルながらも力強い行為は、脳にとっても有益であり、思考や感情の整理に役立ちます。日々のストレスや不安を管理するために、紙に書き出すことは一つの効果的なアプローチです。

実際、私も毎朝、日記を書く習慣を身につけたことで、その有効性を身をもって感じています。この習慣により、心の中の混乱を軽減し、考えを整理することができるようになりました。このクリアな思考が、日々の課題に対して積極的に取り組み、実際に成果を出す力につながっています。

シカゴ大学のラミレスとベイロックは、大学生を対象にプレッシャーのかかるテストの実験を行いました。テストは難易度が高く、成績に応じて報酬があり、受験中の様子はビデオ撮影されるというストレスフルな条件でした。学生たちは3つのグループに分けられ、テスト前にはそれぞれ異なる行動を取りました。
①何もせず静かに待つ
②テストに関する自分の感情や考えを書き出す
③関係ないことを書き出す。

結果、感情や考えを書き出したグループの正答率が4%向上したのに対し、他の2グループは7%低下しました。これは、感情や考えを書き出すことがプレッシャー下でのパフォーマンス向上に効果的であることを示しています。

書くことで脳のワーキングメリーが改善する!

今感じている不安や心配事をノートなどに書き出すというアクションは、言うなれば不安の整理&断捨離ということ。

仕事で立ち止まってしまった時は、失敗の原因、最大の障害、期限などを書き出してみると良いです。これをデスクに貼り、日々のルーティンにすることで、メンタルの改善と集中力向上が期待できます。

ノースカロライナ州立大学と北テキサス大学の研究によると、大学生が大学生活について、または関係ないトピックについて毎日書き続けた結果、大学生活に関する感想を書いたグループはメンタルの面で改善が見られました。さらに、別の実験では、ネガティブな体験を書いたグループが余計なことを考えなくなる効果があることが示されました。

これらの実験からは、メンタルの改善だけでなく、ワーキングメモリの顕著な向上も確認されました。ワーキングメモリは、情報を一時的に保持・処理する脳の機能であり、日常生活の様々な行動や判断に必要です。この機能は、理性を司る前頭葉を含む大脳新皮質と深く関連しており、人間の合理的思考能力と密接に結びついています。

ワーキングメモリが改善すると、感情のコントロールがしやすくなり、冷静な判断が可能になります。その結果、作業や動作のパフォーマンスが向上するため、日記を書くことを日常のルーティンに加えることで、心も脳も整理され、効率的な生活を送ることができるようになります。

不安を書き出す行為は、実際には脳の分析機能を活用する作業です。特に、この過程では前頭葉と呼ばれる大脳新皮質の一部が活発に機能します。

複雑な思考や情報が頭の中を占めると、合理的で効率的な判断が難しくなり、それによってやる気も出にくくなります。 不安なことを書き出すのは、脳のデスクトップ上にある余計なファイルをゴミ箱に移すようなアクションです。また、不安を書き出すというのは、考えて分析する作業です。

分析するとき、脳は大脳新皮質の中でも特に前頭葉がよく働くのですが、「不安を書き出す=前頭葉を働かせること」で不安を抑えるということにも一役買っていると考えられています。

書き出すことによってワーキングメモリ、つまり短期的な情報の保持・処理能力が整理されるため、よりクリアな思考と効率的な判断が可能になります。このプロセスは、脳の中で情報を整理し、感情のコントロールを助けることで、全体としてのメンタルの健康にも寄与すると考えられています。

不安や重たい思考を紙に書き出す行為は、脳のリフレッシュと冷静さ、合理性を取り戻すのに役立ちます。気分が沈んだり、不安が頭をもたげた時、ただ心配するのではなく、その瞬間の感情や不安の原因を明確にし、紙に書き出してみることが推奨されます。

このすぐにできるシンプルな行動は、心のもやもやを整理し、自分の内面をより深く理解する手段となり、心理的な負担を軽減させる効果があります。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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