天才はしつこい 突き抜けた成果を生み出す80の思考 ( ロッド・ジャドキンス)の書評

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天才はしつこい 突き抜けた成果を生み出す80の思考
ロッド・ジャドキンス
CCCメディアハウス

天才はしつこい(ロッド・ジャドキンス)の要約

本書は読者が創造力を引き出し、優れた仕事を生み出すために、天才たちの思考法を紹介しています。私たちはサルバトーレ・ダリやビル・ゲイツなどの巨人の肩に乗ることで、時間を有効に使いながら成長できます。彼らの成長マインドセットを学び、思考や行動を変えることで、成功に近づく手助けをしてくれます。

作品を売るためのサルバトーレ・ダリのゲリラ・マーケティング

おなじみの古いやり方を長く続ければ続けるほど、凡庸な型に深くはまり込んでしまいかねない。他力本願ではいけない。あなたしだいなのだ。(ロッド・ジャドキンス)

セントラル・セントマーティンズ講師のロッド・ジャドキンスは、「クリエイティブ」の処方箋―行き詰まったときこそ効く発想のアイデア86の著者として知られています。彼は長年にわたり、様々な業界のリーダーたちにアドバイスを提供してきました。(ロッド・ジャドキンスの関連記事)

天才はしつこい 突き抜けた成果を生み出す80の思考の冒頭で、今まで通りのやり方では変化を起こせないと指摘します。自分自身が変化の主体となり、新たな道を切り開く必要がありますが、その際、天才たち=巨人の肩に乗ることを考え、彼らの思考や行動を真似ることで、貴重な時間をクリエイティブな時間に使えるようになります。

著者はイーロン・マスクやスティーブ・ジョブズ、ラリー・ペイジなどの思考法を80の観点から紹介しています。本書は、成功への道筋を単なる才能や運ではなく、特定の思考パターンと行動様式の結果として捉えています。著者は、これらの思考法を通じて、読者が自身のポテンシャルを最大限に引き出し、ビジネスシーンで輝かしい成果を上げられるよう導きます。

20世紀の偉大な芸術家サルバトーレ・ダリは、その芸術作品だけでなく、独自のマーケティング手法でも知られています。ダリは従来の宣伝方法を捨て、ゲリラ的な戦略を採用しました。この斬新なアプローチは、後のアーティストたちにも大きな影響を与えることになります。

ダリの戦略の核心は、時間配分の妙にありました。彼は自身の時間の99%を作品制作に充て、わずか1%を宣伝活動に割り当てました。しかし、この1%の時間を最大限に活用し、確実にインパクトを与えるよう工夫しました。従来の頻繁な露出や広告ではなく、少ない機会を最大限に生かすことに注力したのです。

内向的だったダリは内気な性格を克服して、自身の奇抜な外見や行動を通じて、メディアの注目を集めることに成功します。彼の独特な口ひげや、突飛な発言、予測不可能な行動は、常にメディアの関心を引き付けました。これにより、限られた宣伝時間でも、最大限の効果を得ることができたのです。そのために彼は毎日、自分の思いを伝えたる日記を書いたり、優秀なマネジャーやエージェントを雇い、作品を売る努力を続けたと言います。

ダリの先駆的なアプローチは、後のアーティストたちに大きな影響を与えました。アンディ・ウォーホルはポップアートの世界で自身をブランド化し、ジェフ・クーンズは商業主義とアートの融合を図りました。また、ダミアン・ハーストは物議を醸す作品で注目を集めるなど、多くのアーティストがダリの足跡を追いかけました。

ダリのゲリラマーケティング戦略は、芸術の世界を超えて、様々な職業や分野にも適用できることが認識されるようになりました。

効率的な時間配分、インパクトのある宣伝活動、独自性の強調といった要素は、現代のビジネス界でも重要視されています。 多くの企業や個人が、限られたリソースの中で最大限の効果を得るためにダリの戦略を参考にしています。

例えば、質の高いコンテンツ制作に時間を費やし、戦略的に選んだ少数の機会で強力なインパクトを与えるという手法は、多くのスタートアップ企業やベンチャー企業が採用しています。アーティストや起業家は良い作品やプロダクトを作るだけでなく、人に見つけてもらわなければ意味がないのです。

天才たちの並外れた行動力としつこさとは?

クリエイティブなプロジェクトを立ち上げるには勇気がいる。いくつも失敗をするかもしれない、というより、普通は失敗する。のめり込んだ分だけ、感情の浮き沈みも激しくなる。感情面の山と谷を味わわずにやりがいのある仕事を完遂することなどできない。

本書のタイトルにもある通り、「しつこさ」が成功の鍵として強調されています。 天才たちは困難に直面しても諦めずに粘り強く取り組み、最終的に突破口を開いています。著者は成功につながる天才たちの80の具体的な思考法を提示しており、これらは日々のビジネスシーンで実践可能な具体的なアプローチとなっています。

スティーブン・スピルバーグはジョーズの撮影の際に何度も壁を乗り越え、ピンチをチャンスに変えていきました。逆境を乗り越えることで、強くなれ、強固な意志を育めるようになります。

カール・ラガーフェルドは、並外れた情熱と執念を持つファッションデザイナーとして広く知られています。彼の熱意は周囲の人々を巻き込み、ブランド全体を変革する力を持っていました。この影響力は、特に2つの有名ブランドで顕著な成果として現れました。

まず、ラガーフェルドはイタリアの老舗ブランドであるフェンディを、世界的に認知される高級ブランドへと成長させることに成功しました。彼の革新的なデザインと戦略的なビジョンにより、フェンディは国際市場で大きな飛躍を遂げ、グローバルなラグジュアリーブランドとしての地位を確立しました。

フェンディでの成功の後、ラガーフェルドは次なる挑戦としてシャネルの復活に取り組みました。当時のシャネルは、かつての輝きを失いつつあり、ブランドの再生が急務とされていました。

しかし、ラガーフェルドの創造的な才能と休むことなき努力により、シャネルは見事に復活を遂げました。彼の指揮のもと、シャネルは再びファッション界をリードするブランドとしての地位を取り戻し、現代的な魅力と伝統的な優雅さを兼ね備えたブランドとして生まれ変わりました。

ラガーフェルドの成功は、単に個人の才能だけでなく、彼の情熱が組織全体に伝染し、ブランド全体を活性化させる力を持っていたことにあります。彼の姿勢は、周囲の人々を奮起させ、ブランドのDNAを尊重しながらも、常に革新を追求する文化を醸成しました。

ラガーフェルドの創造性の源泉は、特定のものに対する並外れた情熱と収集癖にあったと言えるでしょう。 ラガーフェルドは、時代やコンセプト、テクノロジーに強く惹かれる傾向がありました。

その一例として、iPodに魅了され、100台以上も収集したというエピソードが挙げられます。この行動は、単なる趣味の域を超え、アイデアの源泉として機能していたのです。 彼の知的好奇心は、30万冊を超える蔵書を所有していた書斎にも表れています。この書斎は、移動式はしごやらせん階段を備えた複雑な構造を持っており、まるで知識の迷宮のようでした。

ラガーフェルドにとって、蔵書や写真コレクションは単なる所有物ではなく、創造のエネルギー源でした。彼は、何かを「好き」というだけでは不十分で、熱狂的に消費し、吸収する必要があると考えていたのです。この姿勢は、彼の成功哲学を表しています。つまり、積み上げた成果が自分自身を形作り、優れた作品を生み出すことで、さらに成長できるという考え方です。

ラガーフェルドの生き方は、私たちに重要な選択を突きつけます。能力を発揮せずに平穏な日々を過ごすか、それとも潜在能力を最大限に引き出すために自己を駆り立て続けるか。彼は明らかに後者を選択し、その結果、ファッション界に革新をもたらしました。

選択肢はふたつだ。能力を発揮しないまま平穏な日々を送るか、潜在能力を解き放てるようになるまで自分を駆り立てる努力の日々を送るか。

この姿勢は、ビル・ゲイツのような他の成功者にも共通しています。ゲイツは仕事への情熱のあまり、帰宅する時間さえ惜しんで仕事場の床で寝起きしたと言われています。このような逸話は、成功者たちの並外れたパッションを示しています。

天才たちは多くの人がくつろいでいる時間にも、真に成功を目指す人々は自らの限界に挑戦し、仕事を成し遂げようとしているのです。この姿勢こそが、凡人と傑出した才能の持ち主を分ける決定的な要因なのかもしれません。

ミケランジェロは、重要でないことに時間を浪費しないという原則を徹底して守りました。彼の日々は創作活動に捧げられ、社交や娯楽に費やす時間はほとんどありませんでした。この姿勢は、システィーナ礼拝堂の天井画や「ダビデ像」などの不朽の名作を生み出す原動力となったのです。

彼の成功の鍵は、単なる努力以上の執念深さにありました。ミケランジェロは、完璧を追求するあまり、時に食事や睡眠さえも忘れて制作に没頭したといいます。この執念が、彼の作品に息づく生命感と迫力を生み出したのです。

さらに、ミケランジェロにとって芸術は単なる仕事ではなく、生きる喜びそのものでした。彼は絵画や彫刻を通じて自己表現を行い、創作の過程に至福を見出していました。この「好きなことを仕事にする」という姿勢が、長年にわたる創作活動を支えたのでしょう。

重要でないことには時間を使わない。執念なしには、時間を最大限に有効活用することはできない。やっていていちばん楽しいことを仕事にしたほうがいい。努力する人は成功をつかむが、執念深い人はもっと大きな成功をつかむ。

ミケランジェロの生き方は、時間の使い方における重要な教訓を私たちに示しています。重要なことに集中し、そこに全身全霊を注ぐこと。そして、その過程自体に喜びを見出すこと。これらの要素が揃ったとき、人は凡庸を超えた偉業を成し遂げることができるのです。

天才たちの時間の使い方を学ぶことで、我々も自身の人生をより豊かで実りあるものにできるかもしれません。重要なことに焦点を当て、そこに情熱を注ぐ。そして、その過程を楽しむ。これこそが、限られた時間を最大限に活用する秘訣なのです。

仕事に執念を持つことはワーカホリックとは異なるのです。心から興味を持つことを見つけ、それに情熱を燃やすことで、自分や仕事に信頼を置けるようになります。

天才たちは拒絶をバネにする!

拒絶されるのは、つらい。誰もがその痛みを味わったことがあるはずだ。反論を浴びて諦める人もいるが、成功する人は、立ち直ってさらに強くなる術をどうにかして見つけ出す。拒絶を受けた後の反応が大切であり、搔き起こされた強い感情を自分のために活用すれば、拒絶は最高の教師にもなる。マイナス評価を適切に受け止め、プラスの成果へと変えていこう。

拒絶されることは確かに辛い経験です。多くの人がその痛みを味わったことがあるはずです。かつての私も拒絶されて落ち込んでいましたが、天才たちの思考を知ることで、自分を強くできました。

成功する人々は拒絶を乗り越え、さらに強くなる方法を見出します。 伝説のギタリストのナイル・ロジャースの経験は、拒絶への対応が重要であることを示す素晴らしい例だと言えます。彼は有名なナイトクラブ〈スタジオ54〉で拒絶されましたが、その経験を創造的なエネルギーに変えました。

ロジャースは自宅に戻り、その拒絶の言葉をもとに曲を作りました。最終的に「Le Freak」として知られるこの曲は大ヒットとなり、彼のキャリアを大きく前進させました。彼がこの挑戦をしなければ、私もナイル・ロジャースと出会っていなかったのです。今から40年以上前の大学時代にシックの音楽を楽しめたのも、彼の行動力のおかげだったのです。

このロジャースの体験から、拒絶は学びの機会となり得ることがわかります。否定的な経験を前向きなものに変える力が成功につながるのです。感情を創造的なエネルギーに変換することで、困難を乗り越えられます。また、諦めずに挑戦し続けることが、新たな扉を開く可能性があります。

拒絶された時の反応が、その後の人生を大きく左右することがあります。マイナスの経験をプラスの成果に変える能力は、成功への重要な要素となるのです。天才と呼ばれる人々は、拒絶に屈することなく、それを糧にさらなる高みを目指します。私たちも同様に、拒絶を恐れず、それを成長の機会として捉えることが大切です。 このように、拒絶からの学びが人を強くし、嫌な出来事に前向きに対処する姿勢が、立ち直る力を育み、最終的に成功をつかむことにつながるのです。

エアロスミスのスティーヴン・タイラーが考案した「Dare to Suck(あえて酷いのを)」というゲームがあります。週に一度、バンドメンバーが集まり、できる限り酷いアイデアを出し合うのです。一見無駄に思えるこの試みですが、実は傑作を生み出す源となっています。

なぜこのアプローチが効果的なのでしょうか。タイラーの狙いは、メンバーの心理的抑制を取り除くことにあります。最悪のアイデアを出すことで、「これ以上酷くはなりえない」という安心感が生まれ、自由な発想が促されるのです。

この「あえて酷く」の精神は、ビジネスや教育の場でも応用できます。講師やコンサルタントとして活動する際、まず参加者に「人前で恥をかくことへの恐怖」を克服してもらうことから始めます。これにより、創造性を阻む心理的障壁を取り除くことができるのです。

ビジネス界でも、ジェームズ・ダイソン、イーロン・マスク、リチャード・ブランソンといった革新的起業家たちは、既存の価値観に囚われない姿勢で成功を収めています。彼らは大衆受けや洗練さよりも、自身のビジョンを追求することで、新たな価値を創造してきたのです。

私たちは他者からの評価を気にしすぎず、自由な発想を大切にすることで、真の創造性が開花するのです。 このアプローチは、私たちの日常生活にも応用できます。完璧を求めるのではなく、時には「下手くそ」であることを恐れないことで、新たな発見や成長の機会が生まれるかもしれません。大切なのは、自分自身の価値観を信じ、固定観念に囚われない勇気を持つことです。

本書を読めば、「天才」は生まれつきの才能ではなく、継続的な努力と正しい思考法によって育成されることが理解できます。この成長マインドセットを見習うことで、私たちは常識にとらわれない生き方ができるようになります。

さらに、創造的思考を刺激する方法も多く紹介されており、新しいアイデアや革新的なソリューションを生み出す助けになります。ビジネス環境が急速に変化する現代において、このイノベーションを促進する能力は極めて重要です。

加えて、時間管理や集中力向上のテクニックも含まれており、これらを実践することで個人の生産性が大幅に向上する可能性があります。効率的な仕事の進め方を身につけることで、より多くの成果を上げつつ、ワークライフバランスの改善にもつながるはずです。

本書の特筆すべき点は、その多角的な視点にあります。問題解決、創造性、リーダーシップ、時間管理など、ビジネスの様々な側面をカバーしているため、読者は自分の弱点を補強し、強みをさらに伸ばすヒントを得ることができます。また、各思考法には具体的な実践方法が付随しており、読者がすぐに行動に移せるよう工夫されています。

本書は、ビジネスの成功を目指す人々にとって、貴重な思考のツールボックスとなる一冊です。80もの思考法を提示することで、読者は自分に合ったアプローチを見つけ、実践することができます。

本書の真髄は、天才とは生まれながらのものではなく、正しい思考と行動の積み重ねによって作られるという点にあります。このしつこさを身につけることが、自分の人生を変える一歩になるはずです。天才たちのしつこさを自分に移植する作業を本書から始めましょう。

最強Appleフレームワーク


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