世界の一流は「休日」に何をしているのか
越川慎司
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
世界の一流は「休日」に何をしているのか(越川慎司)の要約
海外のビジネスエリートは、休日を「何もしない日」ではなく、「エネルギーを蓄える日」として再定義することで、豊かな人生をエンジョイしています。そして、この習慣こそが、グローバルに活躍するビジネスパーソンたちの「見えない競争力」となっています。休日の過ごし方を変えることで、私たちの人生は充実するのです。
正しい休み方改革とは?
しっかりと休んでいても、疲れが取れないとか、集中力が続かないというのは、「働き方」の問題だけでなく、「休み方」にも原因があります。(越川慎司)
元マイクロソフト役員の越川慎司氏が、同社で働いていたときに実感したのが、世界中のエグゼクティブたちが休日の過ごし方を楽しんでいる姿だったと言います。彼らの休日の活用法には、共通の特徴があったのです。マイクロソフトエリート社員は休日に心身のエネルギーをチャージすることで、自己効力感を高めているのです。
一方、日本のビジネスパーソンの多くは、休日を「休息」の時間と捉え、心身を休めることに重点を置いています。しかし、休み明けになっても疲労感は残り、ストレスも解消されていないと感じている方が少なくありません。
著者が特に注目したのは、世界水準のエグゼクティブたちの休日の過ごし方です。彼らは休日を「何もしない時間」ではなく、「積極的にエネルギーをチャージする時間」(休養)と「知的エネルギーを蓄える時間」(教養)として活用していました。
著者の経験では、これは「休養」と「教養」という2つの要素に分けられます。 越川氏がマイクロソフトで一緒に働いたエリートたちは、スポーツや趣味を通じて、自己再生とエネルギー補給を同時に実現していました。著者が彼らから学んだのは、休日を仕事で成果を上げるための「原動力」として位置づける考え方です。
彼らは休日を満喫しつつ、次の仕事へのエネルギーを蓄えていたのです。 越川氏は、この休日の過ごし方に大きなヒントがあると考えています。私たちも彼らのような「正しい休み方改革」を実践すべきだというのが著者の主張になります。
日本のビジネスパーソンも、休日を「ただ休む時間」から「積極的な自己投資の機会」へと転換することで、より充実した仕事人生を送れるはずです。 著者の提案は、まず自分なりの楽しみ方を見つけることです。スポーツや趣味活動を通じて体を動かし、新しい経験や学びを得ることで、心身ともにリフレッシュできます。
疲れを感じているならば、しっかりと休んで疲れを取り除くことが大切ですが、もっと大事なのは、疲れたから休むのではなく、疲れる前に休む……というライフスタイルを手に入れることです。私はこれを、体力と気力を使い果たさない「温存戦略」と呼んでいます。
著者が提唱する「温存戦略」とは、体力と気力を使い果たさないための予防的なアプローチです。この戦略の本質は、疲労が限界に達してから回復を図るのではなく、常に一定の余力を保持しながら働くという考え方にあります。
この温存戦略を実現するためには、平日の仕事の生産性を向上させることが不可欠です。短時間で効率的に成果を上げる働き方を実践することで、不必要な残業や過度な負荷を避けることができます。具体的には、優先順位の明確化、効率的なタスク管理、集中力を高める環境づくりなどが重要となってきます。
また、温存戦略の実践には、日々の小さな休息の積み重ねも重要です。昼休みの有効活用、短い休憩時間の確保、週末の適切な過ごし方など、日常的な休息の取り方を見直すことで、疲労の蓄積を防ぐことができます。
さらに、この戦略は単なる疲労管理以上の効果をもたらします。常に余力を持って仕事に取り組むことで、創造性が高まり、より質の高いアウトプットを生み出すことが可能となります。緊急の事態や予期せぬ課題に対しても、柔軟に対応する余裕が生まれます。
企業の持続的な成長において、働き方改革は重要な一歩ですが、真に成功している企業はその先を見据えています。特に注目すべきは、休み方、稼ぎ方、学び方という3つの改革を統合的に推進している点です。
まず、休み方改革は、単なる労働時間の短縮以上の意味を持っています。従業員の心身の健康を重視し、質の高い休息時間を確保することで、創造性と生産性の向上を目指しています。具体的には、有給休暇の取得促進だけでなく、休暇中の過ごし方にまで踏み込んだサポートを行う企業が増えています。
次に、稼ぎ方改革は、効率化によって生み出された時間の有効活用に焦点を当てています。従来の業務の効率化だけでなく、新規事業の開発や新たな市場への参入など、企業の成長機会を積極的に追求しています。この改革により、企業は持続的な収益源の創出と、市場環境の変化への適応力を強化しています。
そして、学び方改革は、未来に向けた人材育成を重視しています。テクノロジーの進化やビジネス環境の変化に対応するため、従業員の継続的な学習機会を確保することが不可欠となっています。オンライン学習プラットフォームの活用や、社内外の研修プログラムの充実化など、様々な学習機会を提供しています。
これら3つの改革は、互いに密接に関連しています。質の高い休息があってこそ、効果的な学習が可能となり、新たな事業展開にも挑戦できるのです。また、学習を通じて得られた知識やスキルは、より効率的な働き方や新たな収益機会の創出につながっています。
特筆すべきは、これらの改革が単なるコスト削減や効率化ではなく、企業の長期的な競争力強化を目指している点です。従業員の well-being(ウェルビーイング)を重視しながら、組織全体の成長を促進する包括的なアプローチとなっています。 成功している企業の経験から、これらの改革を進める上で重要なのは、トップマネジメントの強いコミットメントです。
経営層が明確なビジョンを示し、具体的な施策を実行することで、組織全体の変革が可能となっています。 さらに、これらの改革は、若手人材の採用や定着にも良い影響を与えています。新世代の働き手は、ワークライフバランスや自己成長の機会を重視する傾向があり、これらの改革に積極的な企業は、優秀な人材の獲得において優位性を発揮できます。働き改革によって、企業の成長と社員の幸せを両立させることができるのです。
世界を代表するビジネスリーダーは休日に読書を習慣にしている!
「働きがいとか、生きがいというのは、仕事をしているときではなく、休みのときに感じるものかもしれない」と考えるようになったのです。
マイクロソフトのリーダーたちをはじめとする世界的なビジネスリーダーたちは、休日を単なる休息の時間として過ごすだけではなく、身体、心、そして脳を包括的にリフレッシュさせる機会として捉えています。このアプローチは、彼らが次の1週間をエネルギッシュに迎えるための「チャージ」の時間として、休日を非常に重要なものと位置づけていることを示しています。
特筆すべきは、これらのリーダーたちが休日の過ごし方を「苦行」としてではなく、楽しみながら効果的にエネルギーを補充するプロセスとして取り組んでいる点です。多くの人にとって、仕事の成功に向けた準備と聞くと、堅苦しさやプレッシャーを連想しがちですが、彼らのアプローチはそれとは一線を画しています。
むしろ、休日を活用してスポーツや趣味などの活動に取り組み、心身を活性化させているのです。 例えば、スポーツを通じて身体を動かすことは、単なる体力の向上にとどまらず、心地よい疲労感や達成感をもたらし、ストレスの解消にも寄与します。
また、趣味や創造的な活動を通じて心をリフレッシュさせるだけでなく、時には新しい視点やアイデアが得られることもあります。こうした活動は、脳を刺激し、次なる挑戦への意欲を引き出す重要な要素となっています。 このような休日の過ごし方は、従来の「休日は休むためだけの時間」という考え方を大きく変えるものであり、彼らは休日をより積極的かつ創造的に活用しています。
その結果として得られるのは、単なる疲労回復以上の効果です。休日を楽しむことで次週へのモチベーションを高めると同時に、高いパフォーマンスを持続するためのエネルギーを蓄えているのです。 さらに、こうした休日の過ごし方は、長期的な視点での持続可能な成果をもたらします。楽しみながらエネルギーを補充することで、無理なく継続的に実践できる点が大きな特徴です。
また、休日を創造的に過ごすことで、日常の仕事にも新しい風を吹き込みます。新たな体験やアイデアが、革新性や柔軟性をもたらし、仕事の質的向上につながっているのです。
一方、読書や芸術鑑賞といった知的活動も、ビジネスリーダーたちの特徴的な習慣として挙げられます。これらの活動は、単なる娯楽にとどまらず、彼らの知的好奇心や創造性を刺激する重要な役割を果たしています。
例えば、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、毎週1冊のペースで幅広い分野の書籍を読んでいます。その読書量は驚くべきものであり、技術革新から社会問題に至るまで、多岐にわたる分野での洞察力を支えています。
同じく、テスラCEOのイーロン・マスクは、SF小説や哲学書、歴史書に親しむことで、未来のビジョンを描くインスピレーションを得ています。
また、メタのマーク・ザッカーバーグは異文化や歴史への理解を深める読書に重点を置き、グローバルな視点を養うことに努めています。
さらに、伝説の投資家ウォーレン・バフェットは、読書を通じて得た知識を直接的に投資判断に生かしており、一日の大半を読書に費やすことも珍しくありません。 これらのリーダーたちの共通点は、読書や芸術鑑賞を知的成長のための投資と捉えている点です。単なる情報収集にとどまらず、人文科学や芸術など幅広い分野の知識を吸収し、それを革新的なアイデアや独自の視点を生み出す原動力としています。
急速に変化する現代社会において、こうした深みのある知的活動は、単なるビジネススキル以上に重要な価値を持っているのです。 休日の過ごし方においても、知的活動においても、彼らが実践するスタイルは、創造性と持続可能性を重視した新しい働き方のモデルとして多くの示唆を与えてくれます。その柔軟で前向きな姿勢こそが、世界をリードする成功の秘訣なのかもしれません。
著者が経験してきたように、休日を戦略的に活用することで、仕事と生活の質を同時に高められると確信しています。 これからのビジネスパーソンに、著者からお伝えしたいのは、休日をより創造的に過ごすということです。それは決して堅苦しいものである必要はありません。むしろ、越川が学んできたグローバルスタンダードとは、楽しみながら自己成長につなげることなのです。
土曜日を「チャレンジデー」、日曜日を「リフレッシュデー」
世界の一流ビジネスパーソンは、土曜と日曜を戦略的に使い分けることによって、充実した休 日を過ごす工夫をしています。 日本のビジネスパーソンは、土曜と日曜を「仕事がない2日間の休み」と考えて、「連続した休息のための休暇」として過ごす傾向がありますが、世界の]流は、土曜と日曜を「別々の独立した休日」と考えています。
ビジネスリーダーたちは、週末の過ごし方に明確な意図を持っています。土曜日を「チャレンジデー」として、新たな挑戦を楽しむ日と位置づける一方で、日曜日を「リフレッシュデー」と考え、心身の回復と整えに集中する日としています。
土曜日には、普段の生活ではなかなか取り組めない未知の体験に挑戦することを重視しています。例えば、興味を持っているワークショップやセミナーへの参加、新しい趣味への挑戦、あるいは新たな人間関係を築くための社交的な活動など、幅広い選択肢があります。この日を特別な時間として捉え、日常から一歩踏み出すことで、自分自身の成長や新たな発見を得ることを目指しています。
さらに、家族や友人と一緒に過ごすことで絆を深めるとともに、彼らの視点や意見から学びを得る機会ともなっています。 こうした土曜日の「チャレンジデー」では、単に楽しむだけではなく、未知の世界に飛び込む冒険心が鍵となります。この挑戦を通じて得られる達成感や新鮮なインスピレーションは、次の週への大きな原動力となり、仕事や生活へのポジティブな影響をもたらします。
特に新たな経験は、自分の可能性を広げる重要なきっかけとなり、現代のリーダーたちにとって欠かせない習慣となっています。 日曜日は一転して「リフレッシュデー」として、自分をリセットする時間に充てられます。この日は、運動やヨガ、瞑想など、身体と心を整えるための活動が中心となります。
特に瞑想や深呼吸といった静的な時間は、心を落ち着かせ、集中力を取り戻す効果があります。また、前述の読書を通じて知識を広げたり、自然の中で散策することでリラックスするなど、心地よい時間の使い方が特徴的です。これらの活動は、ただ体力を回復するだけでなく、精神的な安定感を養い、新たな週への準備を整える役割を果たします。
このように、週末を「チャレンジデー」と「リフレッシュデー」に分けて過ごすことで、それぞれの目的が明確になり、相乗的な効果が生まれます。土曜日に得た新しい経験や刺激を、日曜日のリフレッシュの中でゆっくりと内省し、エネルギーとして蓄えることで、次の週をより良い形でスタートする準備が整います。これらの習慣は、単なる疲労回復以上の効果をもたらし、リーダーたちが長期的に高いパフォーマンスを維持する要因の一つといえます。
こうした週末の過ごし方には、「楽しみながら成長し、リフレッシュする」というリーダーたちならではの姿勢が表れています。彼らの生活スタイルは、仕事とプライベートの両方で成果を上げるためのヒントに満ちており、多くの人にとっても新しいライフスタイルのモデルになるはずです。
海外のビジネスエリートのように、休日を「何もしない日」ではなく、「エネルギーを蓄える日」として再定義することで、私たちの仕事人生はより豊かなものとなっていきます。そして、この習慣こそが、グローバルに活躍するビジネスパーソンたちの「見えない競争力」となっているのです。
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