メンタル脳 (アンデシュ・ハンセン, マッツ・ヴェンブラード)の書評

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メンタル脳
アンデシュ・ハンセン, マッツ・ヴェンブラード
新潮社

メンタル脳 (アンデシュ・ハンセン, マッツ・ヴェンブラード)の要約

私たちの脳は、危険に対して強く反応する傾向がありますが、この仕組みを理解することで、心と脳の健康を守ることが可能です。心の平穏を保つには、深呼吸やマインドフルネスの実践が有効です。また、ストレスを減らすには、定期的な運動、瞑想、そして質の良い睡眠を心がけることが重要です。

私たちの脳の仕組みを理解しよう!

脳には他の何よりも重要な任務があり、それは「あなたを生かしておくこと」です。(アンデシュ・ハンセン)

現代社会は物質的に豊かになったにもかかわらず、多くの人がストレスに悩まされています。本来はより快適な生活が送れるはずなのに、なぜか私たちは不安やメンタルヘルスの問題に直面しています。特に、コロナウイルスの流行以降、うつ病をはじめとする精神的な不調を訴える人が増えているとされています

メンタル脳は、このような疑問に対して、脳科学的な見地から答えを導いてくれます。著者のアンデシュ・ハンセン氏は、精神科医としての専門知識を持ちながら、分かりやすく解説しています。

私たちの脳は、進化の過程で狩猟採集の生活に適応してきました。サバンナでの生活は厳しいものであり、危険がいたるところに潜んでいました。そのため、私たちの脳は危険や何かが起きる可能性に対して敏感に反応するようになったのです。 しかし、現代社会では狩猟採集の生活とは異なる状況が多くあります。

私たちは安全な環境で生活しており、日常的に危険に直面することはほとんどありません。それにも関わらず、私たちの脳は昔のままの世界にいるかのように感じてしまうのです。

脳はあらゆる危険を遠ざけようとします。私たちを守り、安全な状態にいさせたいのです。どうやってそれをするかというと「感情」を使います。しかしそこでハッピーな感情や心地良い感情は使いません。恐怖や不安を使うのです。

良い気持ちは長持ちせずに、不安な気持ちにさせることで、脳は私たちを生き延びさせようとしているのです。

この脳の勘違いがメンタルの問題を引き起こすこともあります。例えば、ストレスや不安感が強くなることや、過剰な反応をしてしまうことがあります。これは、脳が昔の危険な状況に対して適切な反応をしていると勘違いしているためです。

感情は、私たちが生き延びるために脳が使用する道具です。これは生存に有利な行動を奨励するため、例えば友人との交流や好きな食べ物の香りなど、良いことが起こると気持ちの良い感情が生まれます。しかし、何よりも人間は危険を避けることを最優先として生き延びてきました。

心の健康を保つためには、呼吸を整えたり、マインドフルネスなども有効です。ストレスを軽減するためには、適度な運動や瞑想、良質な睡眠などを取り入れることが大切です。これらの方法は脳の状態を安定させ、過剰な反応を抑える効果があります。

ストレスに負けずに脳を強化する方法

強い不安を感じるのは非常につらいことです。最悪の場合、不安に人生を乗っ取られてしまつこともあります。ですが多くの場合、不安を客観的に見るようにすると楽になり、不安にもまともな説明があることに気づきます。脳にしてみれば、不安は「危ないかもしれない」と警告する手段なのです。

脳にしてみれば、不安は「危ないかもしれない」と警告する手段なのです。不安は自然な防御メカニズムで、人類の歴史を通じて私たちを危険から守ってきました。ですから不安を感じるということは人間として正常に機能している証拠でもあるのです。不安を感じるのがおかしいということはありません。

私たちは常に幸福を感じているわけではありません。それは、サバンナでの生存においては、常に幸福感に浸っていると死につながりかねないからです。私たちの脳には「火災報知器」とも言える扁桃体があり、これが不安を引き起こします。

ストレスは、身体が「闘争か逃走か」の状態に入るプロセスであり、「不安」もこのストレス反応を活性化させます。不安は、防御メカニズムの一つとして機能します。このことを理解すれば、不安を過度に恐れることなく対処できるはずです。

しかし、時に不安は過剰になり、日常生活に支障をきたすことがあります。このような場合、不安障害(不安神経症・強迫性障害)と診断されることがあります。不安障害は、不安や恐怖の感情が普段の状態とは異なって過剰に付きまとってしまい、日常生活に影響を与える状態です。

不安障害の症状は、睡眠障害や集中力の低下、イライラや緊張感の増加など、うつ病とも重なる部分があります。しかし、不安障害の特徴は、不安感が継続し続けることです。不安感が日常生活を支配し、自分自身や周囲の人々との関係にも悪影響を及ぼすことがあります。

つらい思い出がよみがえるのは、同じような危険から守ろうとして、私たちの脳が過去の体験を思い出すからです。安全な環境でこれらのつらい思い出を表現することにより、その影響を軽減することができます。不快な記憶も、それらを封じ込めるのではなく、繰り返し思い出すことで変化させることが可能です。

私たちの体は、運動するために設計されており、身体を動かすことは脳に健康的な信号を送り、私たちが感じる感情に大きく影響します。運動は、うつ病や不安症から守る効果があります。

さらに、社会的なグループに属することは、歴史を通じて人間にとって最も効果的な防衛手段の一つであり、私たちは自己の地位を維持しようと、他人と自分を比較し続けます。グループからの排除は深刻な恐怖であり、私たちの脳はそれを避けるために、脳は私たちにさまざまな行動を命じます。

孤独は健康にとって大敵です。 現代では、スマートフォンを通じて世界中の危険やネガティブなニュースが絶え間なく流れ込んできます。このような情報から受ける影響には特に注意が必要です。

ネガティブな情報を避け、スマートフォンやSNSの使用を控えることが重要です。こうすることで、精神的な健康を守り、よりポジティブな生活を送ることができます。

幸せになる秘訣は、一緒にいて快適で、信用できる人たちに囲まれることです。信頼できる友人や家族との関係は、私たちの幸福感に大きな影響を与えます。彼らとの絆を深めることは、幸せに向かう一歩です。

また、幸せになるためには、夢中になれることを見つけることも重要です。自分自身が意味を感じられる活動や趣味を見つけるだけでなく、他の人に対しても意味を感じられるようなことに取り組むことも大切です。他人の役に立つことや社会貢献活動に参加することで、私たちは自己成長や喜びを感じることができます。

以上の2つの要素を繰り返し行うことが、幸せになるための秘訣です。信頼できる人たちに囲まれながら、自分自身が意味を感じられることに夢中になることが、幸福な日々を過ごすための鍵となります。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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