できる人の人生のルール
リチャード・テンプラー
ディスカヴァー・トゥエンティワン

できる人の人生のルール (リチャード・テンプラー)の要約
リチャード・テンプラーの『できる人の人生のルール』は、幸福を長い時間軸で捉える視点と、若いうちの挑戦や失敗の価値を教えてくれます。失敗は行動の証であり、未来の糧となる経験です。完璧を求めるより、学びを重ねて柔軟に前進する姿勢こそが、豊かで自分らしい人生へとつながっていきます。
幸せになるための時間術とは?
幸せは習慣であり、気分を変えることもできる。考え方の問題だ。思考パターンを変えることができれば、その変化を続けていけば”明るい自分”がいつもの自分になる。(リチャード・テンプラー)
私たちはどうすれば、豊かで幸せな人生を送ることができるのでしょうか。そのヒントを与えてくれるのが、世界的ベストセラー作家リチャード・テンプラーです。彼が示すのは、時代の流れに左右されない、人生をよりよく生きるための普遍的な行動原則です。(リチャード・テンプラーの関連記事)
テンプラーのできる人の人生のルール(原題:The Rules of Life)』は、世界中で読み継がれている一冊で、読む度に多くの学びを得られます。今回、新版がリリースされたので再読しました。
本書では、個人の成功だけでなく、パートナーや家族、そして社会との関係まで、人生のあらゆる側面における行動指針が具体的なルールとして紹介されています。読者はそれらのルールを、日々の生活にすぐ取り入れることができます。
本書の大きな特徴は、106のルールが一つひとつ短いエッセイとして編まれている点にあります。肩肘張らずにページをめくれる軽やかさがありながら、どの章にも行動へとつながる示唆が込められており、「変わりたい」と願う人にとっては、日常の中で何度も読み返したくなる構成になっています。
著者のテンプラーは、人生を上手に生きている人たちを長年観察し、彼らに共通する思考パターンや習慣を丁寧に言語化していきました。
本書で語られるのは、単なるビジネスや成功術ではありません。自分自身との向き合い方、パートナーとの関係の築き方、家族や友人とのつながり方、そして社会の中でどう生きていくかといった――まさに人生全体を貫く「ルール」が提示されているのです。
毎日を一所懸命に生きながら、大切な人々と良好な関係を育み、ほんの少しでも世界に良い影響を与えようと努力する─そうした生き方こそが、テンプラーにとっての幸せであり、人生の成功だと定義されています。
「幸せは習慣である」というテンプラーの言葉は、私たちに希望を与えてくれます。劇的な変化を求める自己啓発本とは異なり、本書が提案するのは、小さな考え方や行動の積み重ねによる変化です。日常の中でほんの小さな習慣を日々続けることで、人生は少しずつ豊かに変わっていくのです。
テンプラーはルールを、「自分自身」「パートナー」「家族・友人」「社会」「世界」という5つのカテゴリーに分け、それぞれの場面でどう考え、どう振る舞うべきかを具体的に示しています。たとえば、自分に関するルールでは「過去にこだわらないこと」や「済んだことを受け入れる姿勢」が紹介されています。
パートナーとの関係では「自分から先に謝る」や「相手が自分らしくいられる場所をつくる」といったルールが挙げられています。家族や友人に対しては「返ってこなくてもいいと思えるときだけお金を貸す」といった考え方が紹介されており、社会や世界との関わりでは「ポジティブな人と付き合う」「親切にして損することはない」「問題の一部ではなく、解決の一部になる」といった視点が語られています。
いちばん大切なのは、目の前の状況だけで幸福度を判断せず「長い目で見る」ことだ。 「今、私は幸せか?」ではなく「私の人生は幸せか?」と考える。または「私の人生に幸せを感じられる要素はあるだろうか?」という質問でもいい。ここ2、3年をふりかえり、人生全体について考える。そして、これから向かう先に目を向ける。 そうすれば、たとえ今日一日が悪いことばかりでも、長い目で見ればそんなに悪くないと気づくことができる。ただ幸せな人生に一日だけ悪い日があったというだけだ。
テンプラーは、人生の幸福を“点”ではなく“線”で捉えるべきだと語ります。 一時の感情や出来事に心を奪われるのではなく、もっと長い時間軸で自分の人生を見つめる。 その視点こそが、感情に振り回されず、豊かに生きるための土台になると彼は教えてくれます。
幸福とは、その場の気分ではなく、人生全体に対する納得感です。 たとえ今日がどれだけつらくても、それが人生のすべてではありません。 一日ごとの出来事に心を揺さぶられるのではなく、少し引いて、自分の人生全体を俯瞰してみる。 それだけで、気持ちは驚くほど落ち着きを取り戻します。
人生は、日々の小さな選択と行動の積み重ねで形づくられていきます。 過去の出来事に「良かった」「悪かった」とラベルを貼るよりも、そこから何を学べたかに目を向ける。 「いい経験になった」と受け止められたとき、未来への扉は自然と開かれていきます。
派手な結果を追い求めるよりも、目の前の一歩を丁寧に踏みしめること。 その積み重ねが、豊かな人生を築く確かな土台となってくれるのです。 今この瞬間がつらくても、それは人生のごく一部。やがて通り過ぎる時間だと考えることで、自分のマインドをポジティブに変えられます。
若い時にたくさん失敗しよう!
たくさん失敗しておけば、未経験の失敗の数は減っていくからだ。人生の早い段階でたくさん失敗しておけば、年を取ってから手痛い失敗を経験しなくてすむのである。 だから、失敗をしても嘆くことはない。できるだけたくさん失敗をやらかしておけば、その後の人生が順調になるのだから。
誰にでも失敗はあります。しかし、その失敗を「いつ経験するか」によって、人生の質は大きく変わってきます。 テンプラーは、人生における失敗を非常に実践的に捉えています。彼は「人は完璧にはなれないという事実を受け入れることが大切だ」と語ります。失敗を避けようとするよりも、うまく向き合うことのほうが、ずっと賢明なのです。
特に若いうちの失敗には、大きな意味があります。人生の初期段階で多くの失敗を経験しておけば、年齢を重ねたあとで大きなミスを避けることができます。若いうちは、失敗しても致命的になることは少なく、リカバリーもしやすい時期です。
一方で、責任や影響力が大きくなる年齢になってからの失敗は、代償も大きくなります。だからこそ、早いうちに失敗しておくことが、自分自身への投資になるのです。 そして、失敗の背景には、挑戦や冒険があります。新しいことに踏み出そうとする人ほど、失敗に出会う確率も高くなります。けれど、それは悪いことではありません。むしろ、未知の世界に自ら飛び込んでいけるかどうかが、人生の豊かさを左右するのです。
冒険心を持ち、人生を心から楽しもうとする人ほど、まだ誰も踏み入れたことのない領域にチャレンジする機会が増えます。新しい環境、新しい出会い、新しいアイデアに触れ、自分を更新し続ける。その過程で、当然のように失敗も増えていきます。でも、それは「挑戦している証」であり、「生きている実感の表れ」なのです。
実際、私自身も現在62歳になりますが、若い頃に重ねた失敗の細かな中身は、ほとんど記憶に残っていません。一方で、勇気を振り絞って挑戦したことや、未知の領域に飛び込んだ経験は、何十年が経った今でも驚くほど鮮明に思い出せます。そして、その積み重ねが、今の自分を支える確かな自信になっていると感じています。結果がどうだったかよりも、「挑戦した」という事実そのものが、人生に長く残り続けるのです。
失敗とは、行動した証とも言い換えられます。何かに真剣に取り組み、自分の限界に挑戦したからこそ生まれる結果です。失敗が多いということは、それだけ多くのチャレンジをしてきた証でもあります。だからこそ、若いうちに積極的に冒険し、たくさん失敗することには大きな価値があります。もちろん、失敗すれば悔しさや後悔を感じることもあるでしょう。
テンプラーは、「失敗しても悩みすぎず、堂々としていればいい」と言います。大切なのは、失敗の原因を見つめ、同じことを繰り返さないよう心に誓うことです。それだけで、すでに前進は始まっています。 過去の失敗にとらわれ、後悔や怒りを引きずる限り、前に進むことはできません。
私たちには「忘れる」という選択肢があります。そして、「いい学びになった」と捉えることができれば、過去の経験は次のステージへの橋渡しとなります。
失敗を重ねることで、人は強くなります。恥ずかしい思いも、痛みも、すべてが人生の糧になります。むしろ、失敗を恐れて行動を控えてしまうことのほうが、ずっと大きな損失です。行動の先にしか、学びは存在しません。
成功者に共通しているのは、この「失敗との向き合い方」です。彼らは失敗を避けるのではなく、受け入れ、そこから学び、次へと活かしていきます。完璧を目指すのではなく、完璧ではない自分を許しながら、柔軟に進んでいく。そうした姿勢が、結果として周囲から信頼される人間を育てていきます。
テンプラーは語ります。「賢さとは、失敗をしないことではない。失敗をしても落ち着いて受け止め、次に進めることだ」と。まさにその通りです。完璧さではなく、回復力や持続力こそが、これからのAI時代に必要なスキルです。
だからこそ、若いうちはできるだけ多くの失敗を経験しておくべきなのです。失敗とは、未来の自分を守るための練習であり、自分がどれだけチャレンジしてきたかを示す証でもあります。
積極的に行動し、多くの経験を重ね、そのなかから学びを得ていくこと。それが、豊かで柔軟な人生を築くための確かな土台になります。 失敗を恐れず、成長のチャンスとして受け入れる。その姿勢が、結果として「自分らしく生きる力」へとつながっていくのです。

















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