積読こそが完全な読書術である(永田希)の書評

books on black wooden shelf

積読こそが完全な読書術である
永田希
イースト・プレス

本書の要約

積読は正しいと言うマインドセットが、自分を強化してくれます。自分の積読環境を増大させると同時に、様々なカテゴリーの書籍を積読することで、自分の世界を拡大できます。情報過多でファスト思考を強いられる中、ビオトープ的な積読環境を構築することで、自己を肯定する機会を増やせるようになります。

情報過多の時代には、積読が効果的?

書物に限定されない、あらゆるものが消費されることを待ち望み、消費されるべく勝手に積み重なっていく、そんな世界をわたしたちは生きているのです。(永田希)

インターネットが普及する中で、情報が爆発し、私たちは人類史上もっとも情報を溜め込んでいます。多くのメディア情報が干渉されることなく、氾濫し、蓄積されています。人々は「情報の濁流」という世界で暮らし、情報が日々更新される中、積読を余儀なくされています。

逆説的に言えば、情報が溢れかえる中だからこそ、私たちは積読によって、読みたい本を読めるのです。情報の濁流という大きな積読環境のなかに、自律的な積読環境(ビオトープ)を生み出し、それを運営することで良書と出会えるようになります。読書の前にまず積読によって書籍を選択し、自分ならではのビオトープを堪能すべきです。

私のKindleは、日々更新され、新たな本が古い本とともに並んでいます。古い本の上に新しい本は積み重なり、時間と共に新たな世界を築いています。

読みたい本を読む前に、別の読みたい本が現れ、その本を読んでいるとまた読みたい本が現れる。

今日はこの本を読もうと決めているのにも関わらず、アマゾンで新しい書籍を購入し、他の本を読むことで、後ろめたさを感じています。時々、kindleの書棚を遡ると、買ったことすら忘れいている本が何冊も存在し、頭を混乱させることも多々あります。しかし、そのビオトープがあるから、他の情報に流されずに読書をエンジョイできるのです。

積読が自己肯定感を高めてくれる理由

なお積読を勧めるわたしとしては、読みたいのならば読めばいいけれど、そもそも読まずに積んでもいい、なんなら積んだだけで読んだと言ってもいい、というスタンスです。
書物を読めば読むほど、自分の知識の足りなさを自覚できます。著者が引用したり、レコメンドする書籍を読みたくなり、積読する書籍が増加していきます。積読を増やすこととは、自分の興味関心領域が広がていることと同義なのです。そして、積読環境を日々更新することで、自分をアップデートできます。
 
読書や情報を通じて、面白い本を見つけたら、積読リストを更新し、その都度優先順位を決めるようにします。リストの中から読みたい本を決めればよいですし、選んだ本がつまらなければ、他の書籍と入れ替えればよいのです。
 
自分なりの方向性を持ってビオトープ的な積読環境を構築することで、自分の世界を広げられます。私は積読した本から、読みたい本を選び、読了するたびにこのブログに記事をアップしていますが、積読というリストがあるからこそ、読書を続けられるのかもしれません。このリストを充実できなければ、ブログというアウトプットもこれほど続かなかったはずです。そういう意味では、積読とブログによって、私は自分の自己肯定感を高められています。
 

その時々の興味関心によって、私は書籍を選択していますが、積読のリストを確認し、入れ替えることで、自分を日々アップデートしています。ビオトープ的積読環境を入れ替えることで、自分を成長させられると考えられれば、積読のリストを充実させることに意味を見出せます。

ビオトープ的な積読環境の構築こそがスロー思考であると考え、自分のための文化資本を蓄積することによって、情報の濁流にかき消されない「自己の輪郭」を作る必要があるのではないでしょうか

自分の積読環境を増大させると同時に、様々なカテゴリーの書籍を積読することで、自分の世界を拡大できます。情報過多でファスト思考を強いられる中、ビオトープ的な積読環境を構築することで、自己を肯定する機会を増やせるようになります。積読は正しいと言うマインドセットが、自分を強化してくれるのです。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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