再読だけが創造的な読書術である 再読だけが創造的な読書術である(永田希)の書評

book on top of table and body of water

再読だけが創造的な読書術である
永田希
筑摩書房

本書の要約

再読は、書物や言葉のネットワークを再編成することであり、新しいジャンルに手を出す前に自分の知っている本を読み返すことで自分自身のネットワークを整頓することができます。そして、再読することによって、過去と現在の時間のズレによって自分の人生に向き合うことができるのです。

再読による3つのメリット

再読とは、書物と書物、言葉と言葉のネットワークを再編成すること。(永田希)

本を読むことが苦手で、読書スランプに陥ってしまう人はたくさんいます。しかし、著者はこのような抵抗感を肯定しつつ、再読を提案しています。再読とは、書物の内外で相互に結びついた情報を組み替え、自分自身が生存可能な環境を再構築することだと著者は定義します。

このアプローチは、私たちが地球の環境問題に対処するために必要な考え方やアイデアを生み出すのに役立ちます。著者は「テラフォーミング」という言葉を使って、再読のアイデアを表現しています。テラフォーミングとは、地球外の惑星を人類が入植可能にするために、環境改変を行うことを指します。

現在の科学技術では、テラフォーミングは不可能な計画とされていますが、再読を通じて、私たち自身の思考や行動を変え、未来の地球環境を守るために必要なアイデアや行動を生み出すことができるかもしれません。 再読は、私たちが抱える問題に対して新しい視点を与え、創造性や想像力を刺激することができます。

読者は、書物の中で言葉たちのネットワークを辿っていきます。そして、そのネットワークは書物どうしのネットワークとも繋がり合っています。言語は社会的なものであるため、読解するためには、その言語を使ってきた人々のネットワークを辿る必要があります。

再読は、この言葉たちのネットワークを深く理解するための手段のひとつです。初めて読んだときは見落としていた言葉や、理解しきれなかった部分を再度読み直すことで、書物のネットワークを深く理解することができます。

再読には、以下のようなメリットがあります。
①注意深く再読することにより、現状維持バイアスを打破できる。
一度読んだ本に対して、自分自身の既成概念や認識に基づいた判断をしてしまうことがあります。しかし、再読を通じて本を深く理解することで、新しい気づきや考え方を得ることができます。また、自分が過去に読んだ本でも、今の自分の気持ちや状況によって見方が変わることがあります。注意深く再読することで、自分自身の現状維持バイアスを打破し、新しい発見や気づきを得ることができます。

②繰り返し読むことにより、その度により深い何かを見せてくれる本があることを知ることができる。
再読は、同じ本を何度も読み返すことですが、その度に新たな気づきや発見があることがあります。また、初めて読んだときに気づかなかった細かい描写やニュアンスに気づくことができます。

これにより、本を深く理解し、より多くの知識や情報を得ることができます。繰り返し読むことによって、その度により深い何かを見せてくれる本があることを知ることができます。私たちは再読によって自分の変化や成長に気づけるようになります。

③新しいジャンルに興味を持ったときに、棚卸として既読の本を再読することにより、新しいジャンルを自分のネットワークにより深く結びつけることができます。

再読とは、書物や言葉のネットワークを再編成すること

良い本と出会うためには多くの本を読むことは有効であり、そのためには一冊ごとに読み捨てを厭わないことが重要です。

本を読み捨てすることは、自分に合わない本に出会う可能性を高めるために有用ですが、過剰に行うと読みすぎることで、読書疲れを引き起こします。そこで、自分に合う本に出会うためには、メタ認知が重要になってきます。メタ認知を意識することで、情報の洪水の中でも自分に合った本を見つけることができます。

また、過去に読み捨てた本を読み返すことも重要です。このような行き来を繰り返すことで、自分にとっての古典となる本や、自分に合った読書のスタイルを見つけることができます。

読書や再読を繰り返すうちに、自分の読み取れる内容が変化することにも繰り返し気づかされるようになります。読書に慣れ、再読に慣れるとは、書かれていることが変わっていないのに、読むたびに読みとられる内容が変化することを知るということ でもあるのです、かつて読んで意味不明だった部分について、前よりもわかるような気がする場合にかぎらず、以前にわかったつもりになっていた部分がわからなくなってしまう場合もあります。

読書は、学びを得るだけでなく、再読することで異なった教訓を得ることもできます。速く読んで量をこなすことも大切ですが、再読することで深い読書が可能になります。また、同じ本を何度も読むことで自分の時間を重ねることができ、読者自身を構成するネットワークにその本が組み込まれていくのです。

再読は、書物や言葉のネットワークを再編成することであり、新しいジャンルに手を出す前に自分の知っている本を読み返すことで自分自身のネットワークを整頓することができます。そして、再読することによって、過去と現在の時間のズレによって自分の人生に向き合うことができるのです。

私も再読によって、日々自分のネットワークを強化しています。脳の中で様々なつながりが生まれることで、新しいアイデアが生まれてきます。関連書の中に過去に読んだ本を再読したり、自分のブログを読み返すたびに、自分が変化できることに気づけます。

再読を通して、より深い読書体験を得ることができるので、ぜひ試してみてください。

永田希氏の関連記事積読こそが完全な読書術である

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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