成功する人ほどよく寝ている 最強の睡眠に変える食習慣(前野博之)の書評

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成功する人ほどよく寝ている 最強の睡眠に変える食習慣
前野博之

本書の要約

日本人の睡眠不足が、企業の生産性を下げています。栄養をベースに睡眠を改善すると、睡眠だけでなく日頃から悩んでいる体調不良を改善できます。質の高い睡眠はメンタルにも良い影響を及ぼします。やる気を維持できたり、集中力をアップでき、社員の生産性を高めてくれるのです。

アメリカの企業で睡眠改善の取り組みが行われている理由

睡眠に関する最新の研究によると、理想の睡眠時間(7~8時間)と比較し、わずか1時間短いだけの6時間睡眠だった場合でも、集中力と免疫力が大幅に低下し、心臓に大きな負担がかかり、肥満になりやすく、2型糖尿病やうつ病などの発症リスクが大幅に上がるということがわかってきた。(前野博之)

睡眠不足に悩む日本人は多いと思います。実際、睡眠時間に関するOECD(経済協力開発機構)の2020年の調査を見ると、日本人の睡眠時間は加盟国の最下位になっています。2018年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の平均睡眠時間を調べた結果、7時間以上の睡眠をとっている日本人の割合は、わずか27.4%で、7割以上の日本人が睡眠不足の状態で生活していることが明らかになりました。

米国立睡眠財団(NSF)は、6時間以下の睡眠が、仕事に対する燃え尽き症候群のリスクを高めると警告しています。そのような状態では、いくら労働時間を延ばしても生産性が上がるとは到底考えられません。日本人の生産性が低い原因の一つが睡眠不足になると著者の前野博之氏(栄養睡眠カウンセラー協会 代表理事)は指摘します。

睡眠時間を削り続けた結果、現在では、日本の睡眠負債による社会的損失額が年間15兆円にまで膨らんでいます。(ランド研究所ヨーロッパ2016年レポート)

サティア・ナデラ(マイクロソフトCEO)、ジェフ・ベゾス(アマゾンCEO)エリック・シュミット(グーグル元CEO)などの成功した経営者の睡眠時間は8時間以上になっています。

成功者がよい睡眠を求めるのには理由があります。質の高い睡眠によって、私たちは以下の効果を得られます。
・免疫力が上がる
・メンタルが整う(やる気の持続)
・集中力・記憶力が高まる
・技能の習得
・認知症リスクを下げる
・体を修復・再生させる成長ホルモンは睡眠中に出る

P&Gやゴールドマン・サックス社員向けに無料の睡眠衛生講座を開催しています。ナイキ、グーグルは、朝型や夜型といった自分のクロノタイプに合わせて勤務時間を設定することで、社員のパフォーマンスを高めています。エトナでは、睡眠追跡装置の記録を基準に、多く寝た社員にボーナスを支給していると言います。

レム睡眠がクリエイティブ力や人間関係に良い影響を及ぼす!

睡眠を改善するには栄養素がポイントになる。摂取した栄養素を活かすには睡眠の質を高めることが必須。

メラトニン不足、副腎疲労症候群、低血糖症の原因については、生活習慣だけでなく、栄養の不足が大いに関係しています。栄養をベースに睡眠を改善すると、睡眠だけでなく日頃から悩んでいる体調不良も同時に改善できるようになります。

タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、食物繊維のバランスをしっかり取ることが重要です。現代人は外食が多くなり、食事の質やバランスが崩れています。砂糖やグルテンの取りすぎが身体に不調をきたしています。午後の睡魔は糖質制限で撃退できます。

牛丼には角砂糖36個分の糖質が含まれています。昼食に牛丼を食べれば、一気に眠くなるのは当たり前です。血糖値の急上昇・急降下を引き起こしやすいランチを控えることで、午後の生産性を高められます。

睡眠不足になると常に楽なほうをチョイスし、創造的な解決策はほとんど思いつかない。睡眠時間が足りないと生産性が落ち、生産性が落ちると長時間働くはめになり残業が増える、残業が増えると寝るのが遅くなり睡眠時間が減る……これをくり返し睡眠負債がたまっていく。

睡眠の改善は生産性のアップに直結します。睡眠不足の被験者は、自分が寝不足のときに簡単な業務を選んでしまいます。寝不足の状態は、自分の能力を客観的に評価する能力も下がってしまいます。逆に、睡眠不足の被験者に十分な睡眠をとってもらうと、複雑なプロジェクトを選ぶようになることがわかっています。

ワシントン大学のクリストファー・バーンズ博士は、睡眠時間が6時間以下の社員は、6時間以上睡眠をとった従業員に比べ、自分のミスを他人のせいにしたり、他人の手柄を横取りする傾向が強くなり、また、レシートをごまかして返金を要求する詐欺を働いたり、噓をついて誤魔化す傾向が強くなることを発見しました。  

睡眠不足の社員は倫理観が下がり、会社の評判を下げることを平気で行うリスクがあります。寝不足の従業員がいると、グループの生産性にも影響を及ぼします。企業全体で睡眠不足の従業員が多くいれば、企業のパフォーマンスが低下してしまうのです。

脳が活発に働いているレム睡眠によって、クリエイティブ力をアップできます。

創造性を生み出すためにレム睡眠で見る夢は欠かせない。合理的・論理的思考を司る前頭前皮質を静まり返らせて、支離滅裂な発想の中で、既成概念にとらわれずに経験や記憶を自由に組み合わせ、画期的なアイデアを生み出す。

レム睡眠は脳の情動回路に調整を加え、相手の顔の表情や相手の気持ちを読み取り、良好な人間関係を築き上げる力も向上させます。レム睡眠とノンレム睡眠のバランスを取ることで、私たちは人間関係をよくし、チームのパフォーマンスもアップできるのです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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