書くことが癒しに繋がる?ジェームズ・ペネベイカーの研究を信じよう!

自分の気持ちを紙に書くとメンタルが改善する!(ジェームズ・ペネベイカー)


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書くことが癒しにつながる?

テキサス大学オースティン校の教授ジェームズ・ペネベイカーは夫婦の離婚の危機を書くことで乗り越えました。自分自身の体験をきっかけに、その後40年にわたって、書くという行為と感情処理の関係を研究したのです。長年の研究を通じて、彼は書くことが癒しに繋がることを発見しました。

ペネベイカーは被験者を二つのグループに分けた実験を行いました。一方は感情的に大きな影響を受けた出来事について書いてもらいました。もう片方のグループには日常的なこと(たとえば自分の靴や、通りを行き交う車など)について書いてもらったのです。一日に約20分ずつ書いてもらう事件を3日間続けました。「感情的に大きな影響を受けたことを書く」グループでは、信頼していた家族からの性的虐待、最悪の失敗、深い絆を結んでいた人との破局、病気や死による痛ましい別れなど悲惨な体験が書かれていました。10歳の時に床におもちゃを置きっぱなしにしたせいで祖母が転倒し、亡くなったことを書いた女性や突然父に別れを告げられた少年の頃の思い出を書いた男性もいました。

ペネベイカーは、この実験を通じて、感情的に負担の大きい出来事について書いた人々は、心身の健康が著しく向上したことを確認しました。幸福感が高まり、憂うつな気分や不安が和らぐ効果が認められたのです。実験から数カ月間が経過した時点でも、血圧が下がり、免疫機能が高まり、通院回数が少なくなった。また、人間関係が豊かになり、記憶力が高まり、仕事の成果が上がったのです。辛い経験を書くことでメンタルが改善することがわかったのです。

書くことが気持ちをポジティブにする!

ペネベイカーはダラスのコンピュータ会社でも実験を行いました。この会社は年齢が高いエンジニアを100人ほど解雇しましたが、その多くが50歳以上で、大学を卒業してからずっとこの会社で働いてきたベテランでした。ほかの仕事の経験もなく、放り出された社員たちは動揺し、苦しい時間を過ごしました。自分の得意分野で二度と働けないという厳しい現実が目の前に迫ることで、もがき苦しんだのです。解雇から四カ月が過ぎても、誰一人として再就職先が見つからず、ペネベイカーが呼ばれたのです。

彼の研究チームは、自分の経験について書くことは、リストラの対象になったエンジニアにも役立つという仮説を立てました。エンジニアたちは再就職の見込みが高まるなら何でもしようと意気込み、実験に参加しました。一つ目のグループは解雇された経験を書き、屈辱や疎外感、怒りといった感情としっかりと向き合いました。また、つらい経験が健康や結婚生活、家計にも影響を及ぼしていること、将来への深刻な不安についても記述しました。

二つ目のグループの人々は時間管理について書き、三つ目のグループは何も書きませんでした。書き始める前の段階では、どのグループも意欲や職探しの努力という点では差はなかったのですが、文章を書いた後、大きな変化が起こったのです。感情的な負担となる物事について自分の気持ちと向き合ったエンジニアたちは、ほんの数カ月後、対照グループよりも実に3倍もの比率で再就職していたのです。書くことは自分の経験を処理するのに役立つだけでなく、落ち込んで無気力になった状態から意味のある行動へと踏み出す力になることがわかったのです。

この研究を土台として、さらに数千人(子どもや高齢者、学生や専門家、健康な人、病人など)を対象に実験が重ねられた結果、向き合い、感情を言葉で表現することは、ストレスや不安、喪失感に対処するきわめて有効な方法であることが明らかになりました。ペネベイカーによると手書きやキーボード操作が苦手なら、書く以外の方法でもよいとのことです。ボイスレコーダーに語りかけても、同じ効果をえられますから、iPhoneに向かって自分の感情を吐露するのもよいでしょう。

私は毎朝、感謝日記とこのブログを書いていますが、書くことを習慣にしてから、へこたれることがなくなりました。自分との対話の時間を持つことで、悲観的な自分とさよならできました。書くこと、自分の感情と向き合ううちに、脳が解決策を見つけてくれることに気づいたのです。書くことは私の1日をスタートする重要な儀式で、この小さなアクションが私にエネルギーを与えてくれます。書評を書くことで著者の言葉が自分の中で再現され、行動する勇気を与えてくれるのです。

また、感謝日記を書くことで他者と自分に優しくなれました。自分を許すことを習慣にすることで、悪いことにフォーカスするのではなく、自分や他者の良い面に目を向けられるようになったのです。自分のダメなところと向き合っても、自分に優しくすれば、極端に落ち込まずにすみます。書くことが、私の人生を日々よくしてくれています。この習慣をやめずに、幸せな時間を増やしたいと思います。

まとめ

書くことが癒しに繋がるとジェームズ・ペネベイカーは指摘します。書くことを習慣にすることで、自分との対話が進み、感情をコントロールできることがわかりました。自分の気持ちを紙に書くことでメンタルを改善できると信じて、日記を習慣にしましょう。この習慣があなたに幸せを運んでくれます。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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