成毛眞氏のamazon 世界最先端の戦略がわかるの書評

年会費は前払いだ。アマゾンには、1年前に手元にお金が入ってくる。キャッシュフロー経営を掲げるベゾスにとってはこの金脈を見逃すわけがない。米国内だけでも年会費119ドルのプライム会員が8500万人いるとなると、前受金は100億ドル超にもなるのだ。プライム会員の拡大が、物流センターへの大型投資など機動的な経営の実現に役立っていることがわかるだろう。その資金を元手に新しいサービス展開やコンテンツの拡充、物流への投資などができるため、さらに会員増につながり、資金が流入するという好循環が生まれる。会員制サービスは、キャッシュフロー経営の一助だ。(成毛眞)


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アマゾンプライムがアマゾンをより強くする!

日本ではまだまだ会員数の少ないアマゾンプライムですが、成毛眞氏のamazon 世界最先端の戦略がわかるによるとアメリカでは全人口のうちのおよそ25%の8500万人が会員になっています。アメリカの会費は日本よりもはるかに高い119ドルですが、これが前払いで受け取れるのです。1年前に100億ドル以上の前金が手に入ることで、アマゾンは様々な分野に投資を行えます。

プライム会員になると無料配送サービスや動画視聴など様々な特典が使えることが魅力になり、アメリカでは会費が上がっているにも関わらず、会員が増加しています。アマゾン側から見れば、プライム会員が買い物するたびに配送料が生じますが、 顧客を囲い込むことでしっかりと利益を得ています。プライム会員は、一般ユーザーの年平均消費額は700ドルに比べて、倍近い1300ドルの購買していることもわかっています。

多くのユーザーがアマゾンなしの生活など考えられなくなっているはずです。一旦プライム会員になるとなかなか離脱しませんから、アマゾンはますます強くなっていくのです。

10年前ならば悪い冗談に聞こえたかもしれないが、2018年のいま、「アマゾンがなかったら生活できないかも」というのは現実になりつつある。近所のコンビニがなくなっても、テレビが丸一日休止してもさほど困らないが、アマゾンが使えないと日常生活に支障が出る人が続出するだろう。

日本のプライム会員は明らかにされていませんが、300万人〜600万人程度の会員数だと予測されています。この数字は日本の人口から考え、まだまだ伸びそうです。2017年度のアマゾンプライムの世界の売上高は1778億ドルで、そのうちアメリカが1204億ドルで全世界の67%を占めています。ドイツ169億ドル、日本119億ドル、イギリス113億ドルでこの4力国の合計で全世界の売上の9割を占めています。日本の人口の1億3000万人を考えると、現在の2倍程度にまで売り上げが伸びる可能性があるのです。

 

値上げしてもプライム会員の離脱が少ない理由

米国のスタートも39ドルだった。会員数の増加に伴い、2014年に99ドル、2018年に119ドルに価格を引き上げたように、日本でも段階的に価格を引き上げるだろう。おそらく3900円から最終的には1万円前後に上げる可能性が高い。すでにアメリカでは年会費を引き上げても会員は減るどころか増えているので、あとから年会費を上げても会員が減少することは少ないことが予測できる。

アマゾンは徹底的な顧客志向で経営されているために、サービスが日々魅力的になっています。アマゾンプライムは配送料が無料なだけでなく、動画や音楽などのコンテンツも充実しています。一度プライム会員になると、あまりに便利なために脱会する会員はとても少なくなっています。

会員にさえなっていれば、送料がタダになるから、アマゾンで商品を買う消費者は増える。データでも、プライム会員の購入額は、会員ではないアマゾンユーザーの2倍である。会員をやめる影響は、通販の使い勝手が悪くなるなどにとどまらない。プライム・サービスは、すでにライフスタイルの一部となってしまっているのだ。 ここまですれば、顧客のライフスタイルに簡単に入り込んでしまうし、さらには会員をやめる気力もなくなるはずだ。会員でありつづけると、ついアマゾンでまた物を買ってしまう。プライム・サービスとは、そういうシステムなのである。ネット通販目的でなく、動画配信サービスや音楽を目的にプライム会員になる利用者も確実に増えていくだろう。

顧客志向で様々なサービスを提供し、顧客を囲い込むアマゾン。プライム会員を囲い込むことで、アマゾンは今後も成長を続けるはずです。アマゾンのプライム会員は現時点で、アメリカで8500万人、日本で600万人おり、今後も増えていくと予想されています。アジアやヨーロッパも含めると、全世界で1億人を超えていて、ほぼ日本と同規模になっています。インスタグラムのユーザー数は10億人、フエイスブックの22億人と比べると少ないと感じるかもしれませんが、アマゾンのプライム会員は、3900~1万円の年会費を支払うロイヤルティを持っています。顧客は「リアルとネットの横断」を当たり前として享受しているコアユーザーたちで、WEBのみの他のサービスと単純に比較できない重みを持っています。

アマゾンはこれらのコアファンに新しいサービスを提供し続け、あらゆる業種の常識を塗り替えていくはずです。小売の常識を変えたアマゾンは今後は銀行をつくり、金融の常識も変えることでしょう。

そして、アマゾン最大の強みである物流は、リアルとネットの境目を失くし、国と国の境目すらあいまいにしつつある。すべてを押さえた時、立ち向かえる企業は存在せず、国家という枠組みでも捉えきれない存在になるだろう。アマゾンの帝国は国家を超えて、社会を飲み込み、規定する。

アマゾンはやがて、国家というフレームをも破壊し、私たちの社会に大きな影響を及ぼします。著者の成毛氏は自分たちの未来を知るために、アマゾンを理解すべきだと述べています。本書の分析は多面的で、わかりやすくその一助になるはずです。

まとめ

アマゾンの利益を稼ぎ出しているのはクラドサービスのAWSであることは有名ですが、実はアマゾン・プライムも顧客を囲い込む重要なサービスになっています。日々サービスが増えているため、メリットを感じる顧客はほとんど離脱しません。一般のユーザーに比べ、プライム会員は倍近い売り上げをあげているのです。今後、プライム会員向けに金融や食品のデリバリーサービスも充実するはずです。多くの企業がアマゾンとの競争に晒され、苦戦を強いられるはずです。日本の経営者もアマゾンとの戦いに勝つ方法を見つけるために、アイデアを練らなければならないのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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