書評 青木厚氏の「空腹」こそ最強のクスリ

一日3食というのは、それだけで 「食べすぎ 」になってしまう可能性があります。(青木厚)


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オートファジー理論とは何か?

青木厚氏の「空腹」こそ最強のクスリを読むと、今までのダイエットの常識が間違っていたことに気づけます。現代人は1日3食、しっかりと食べることを当然と考えていますが、これは江戸時代から始まったもので、無理に3食とる必要はないのです。高カロリーの外食が多くなるビジネスマンは、カロリー過多になり、肥満の人が増えています。また、外食は糖質の過剰摂取につながり、これが様々な病気を引き起こすのです。

脂肪が過剰に増えると悪玉ホルモンの作用により、以下の症状が起こり、体調が悪くなります。
・血管の傷が修復されない。
・血栓が溶けない。
腫瘍が増殖する。
・血糖値が高くなる。
それらの症状を放置しておくと、糖尿病、脳出血、脳梗塞や心筋梗塞、がんなどの病気を発症するリスクが高くなるのです。

では、食べ過ぎや糖質過多を防ぐ方法はあるのでしょうか?その答えが、ものを食べない時間を作ることなのです。

「ものを食べない時間」を作り、「空腹」を楽しむ。それだけで、病気知らずの体が手に入ります。

最新の医学エビデンスに基づき、近年、「食べものの内容を制限する」ことよりも「食べない時間を増やす」ことにより注目が集まっています。なお、2016年には、東京工業大学の大隅良典栄誉教授が、オートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しています。オートファジーは今、世界中の注目を集めていますが、著者の青木氏はその考えをもとに食べない時間を作ることを推奨しています。

週に一度でも、まとまった空腹の時間を作ると、食べすぎがもたらす害が取り除かれ、加齢や食生活によるダメージがリセットでき、オートファジーが活性化して体が、内側から若々しく蘇ります。しかもこの食事法は誰でも簡単に実践でき、すぐに効果を実感できるというメリットがあります。

私も数年前から食事法を改善しています。食べる時間を作らないようにすることで、体調がよくなりました。この習慣により、中性脂肪やコレステロールの数値が下がったので、青木氏の主張に共感を覚えました。では、なぜ、空腹の時間を作ると良いのでしょうか?

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なぜ食べない時間を作ると良いのか?

空腹の時間を作ると、まず内臓がしっかりと休むことができ、血糖値も徐々に下がります。また、最後にものを食べてから10時間ほどたつと、肝臓に蓄えられた糖がなくなるため、脂肪が分解されエネルギーとして使われるようになり、16時間を超えると、体に備わっている「オートファジー」という仕組みが働くようになります。

オートファジーとは、「細胞内の古くなったタンパク質が、新しく作きがおちいり替えられる」というもので、細胞が飢餓状態や低酸素状態に陥ると、活発化するといわれています。

体の不調や老化は、細胞が古くなったり壊れたりすることによって生じます。特に、細胞内のミトコンドリア(呼吸を行いエネルギーを作り出す重要な器官)が古くなると、細胞にとって必要なエネルギーが減り、活性酸素が増えるといわれています。オートファジーによって、古くなったり壊れたりした細胞が内側から新しく生まれ変われば、病気を遠ざけ、老化の進行を食い止めることができるのです。

空腹の時間を作ることで、以下のような効果を得られます。
・内臓の疲れがとれて内臓機能が高まり、免疫力もアップする。
血糖値が下がり、インスリンの適切な分泌が促され、血管障害が改善される。
・脂肪が分解され、肥満が引き起こすさまざまな問題が改善される。
細胞が生まれ変わり、体の不調や老化の進行が改善される。

オートファジーを働かせるためには、連続して16時間以上の空腹の時間が必要ですが、睡眠時間をうまく組み込めば、無理なく実行することができるでしょう。できれば毎日続けていただくのが理想的ですが、週1回、週末だけ実行していただくだけでも、リセット効果は得られるはずです。

各細胞の中には、「ミトコンドリア」という小器官が、数多く(1個の細胞に数百から数千個)存在しています。ミトコンドリアは酸素呼吸を行っており、食べものから取り出した栄養と、呼吸によって得た酸素を使って、「ATP」(アデノシン三リン酸)という、細胞の活動に必要なエネルギーを作り出します。

新しく元気なミトコンドリアが細胞内にたくさんあればあるほど、たくさんのエネルギーを得られ、人は若々しく、健康でいられます。このオートファジーによって、ミトコンドリアを生まれ変わることがわかっています。オートファジーは、古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせる仕組みなのです。

細胞が生まれ変われば、体にとって不要なものや老廃物が一掃され、細胞や組織、器官の機能が活性化し、病気になりにくく若々しい体を取り戻せます。

そのためにやることはただ一つです。メニューを選んだり、ダイエット食を食べるなどの面倒なことは一切ありません。睡眠時間にプラスして一日数時間、何も食べない時間(空腹の時間)を作るだけでよいのです。睡眠時間と、起きていて、「ものを食べない時間」の合計が、連続10時間以上になると、脂肪の分解が始まり、16時間以上になると、オートファジーが働き出します。

たとえば、8時間睡眠をとる方なら、それにプラスして8時間、ものを食べないようにすれば、連続16時間となります。睡眠時間の前後に均等に振り分ければ、寝る前4時間、起きた後4時間、ものを食べずに過ごせば、簡単に目標達成することができます。

今回、本書を読むことで、軽い朝食と晩御飯のみという私の食事法が正しいことがわかりました。今後もオートファジーを味方にして、食べない時間を作ることで、健康を維持していきたいと思います。

まとめ

最新の医学の進化によって、本当に正しい食事法は、「何を食べるか」ではなく、「食べない時間(空腹の時間)を増やす」ことであることがわかってきました。1日16時間食べない時間を作るだけで、細胞内の悪いタンパク質や細菌が除去され、全身の細胞が修復され、健康を取り戻せるのです。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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