プロブレムソルバーからアジェンダシェイパーを目指そう!書評 ニュータイプの時代

これまで長いこと、私たちの社会では「問題を解決できる人=プロブレムソルバー」が高く評価されていました。原始時代以来、私たちの社会は常に多くの「不満」「不安」「不便」という「問題」に苛まれており、これを解決することが大きな富の創出につながったからです。(山口周)


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プロブレムソルバーはなぜ時代遅れになったのか?

山口周氏のニュータイプの時代書評を続けます。つい最近まで、プロブレムソルバーになることで富を得ることができましたが、これからは問題を発見する力が問われるようになると山口氏は指摘します。今後、「問題解決に長けた人」はオールドタイプとして急速にその価値を失っていくことになるでしょう。ビジネスのスタイルは問題発見型にシフトしていきますから、私たちはそれに備えるべきです。

ビジネスが「問題の発見」と「問題の解決」という組み合わせで成り立っているのであれば、今後のビジネスではボトルネックとなる「問題」をいかにして発見し提起するのかがカギになります。そして、この「問題を見出し、他者に提起する人」こそがニュータイプとして高く評価されることになるでしょう。

最近ではあれほど人気のあったMBA志願者が減少しています。2018年の10月、ウォール・ストリート・ジャーナルはアメリカにおけるMBAへの応募数が、4年連続で前年割れしていることを報じました。ハーバードやスタンフォードなどのエリート校も含めて応募数は減少傾向にあり、「Degree  loses luster=学位としての輝きは失われた」のです。

MBAは経営における問題を「解決」するための技術や知識を体系的に学ぶ場所ですが、正解がコモディティ化していく世界においては、異なる能力が求められます。問題が希少化する世界で、MBAホルダーが持つ問題解決の能力が過剰に供給されれば、「問題解決の能力」の価値は減少していきます。時代が急激に変化する中では、「正解を出す能力」にこだわり続けるオールドタイプは、急速に価値を失っていき、逆に「問題を発見できる能力」が世の中から求められるようになります。

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人工知能の普及が人の価値を変えてしまう!

AIが普及することで、人間に求められる能力が変わります。「問題解決能力の過剰供給」という問題は、人工知能の普及によってさらに深刻になります。AIを活用することで、人間を雇うよりもはるかに安い費用で、最高峰の人間の「問題解決能力」と同等以上の能力が手に入るのです。しかも、この頭脳は1日中休まずに働き、モチベーションや昇給も要求しません。

情け容赦なく人間の従業員を切り捨て、人工知能へと切り替えることには多くの経営者が抵抗感を覚えるとは思いますが、一方で個別企業は熾烈な市場競争にさらされているわけですから、生産性向上の手綱を緩めることは許されません。このような状況が実現すれば「正解を出す能力」は極端な過剰供給状態となり、人間の持っている「正解を出す能力」にはほとんど価値が認められなくなります。

 オールドタイプが「与えられた問題を解く」ことに長けている一方で、ニュータイプはまだ誰も気づいていない問題を見出し、それを社会に向けて提起します。

では、なぜ、ニュータイプは誰も気づいていない「問題を見出すことができるのでしょうか? 「問題の不足」という状況は、そもそも私たち自身が「世界はこうあるべきではないか」あるいは「人間はこうであるべきではないか」ということを考える構想力の衰えが招いています。「問題が足りない」というのは「ビジョンが不足している」というのと同義です。国も個人もビジョンが不足し、迷走が続くわけですから、それを解決できるニュータイプのアジェンダシェイパー(課題設定者)が必要とされているのです。

取り組むべき問題=アジェンダの明確化は国の、あるいは企業の、あるいは地域コミュニティの「あるべき姿=ビジョン」が明確になって初めて可能になります。問題を生み出すことができないというのは、要するに「あるべき姿=ビジョン」が不足している、ということなのです。これを言い換えればつまり、ニュータイプとは、常に自分なりの「あるべき理想像」を思い描いている人のことだということになります。ニュータイプは、自分なりの理想像を構想することで、目の前の現実とそのような構想とを見比べ、そこにギャップを見出すことで問題を発見していくのです。

「問題解決の能力」は今後、どんどん低価格化が進み、供給過剰の状況になる一方で、当の「問題」は見つけることが難しくなっています。このような社会にあっては、「問題を解ける人=オールドタイプ」よりも「問題を発見し、提起できる人=ニュータイプ」こそが評価されるようになります。そのためにビジョンがをつくれるような発想力を身につけるべきです。

これからの時代に必要な能力は、誰も気づいていない問題を見出し、経済的な枠組みの中で解消する仕組みを提起することです。このアジェンダシェイパーになるために、自分を鍛える必要があるのです。AIには難しい人間的資質を高めたり、コミュニケーションスキルをアップするだけでなく、ビジョンを生み出したり、課題を発見する能力を養う必要があります。

まとめ

オールドタイプが「与えられた問題を解く」ことに長けている一方で、ニュータイプはまだ誰も気づいていない問題を見出し、それを社会に向けて提起します。これからの時代はプロブレムソルバーが価値を失い、アジェンダシェイパーが評価されるようになります。そのために、ビジョンを生み出し、課題を発見する力を養いましょう!

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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