高森厚太郎氏の中小・ベンチャー企業 CFOの教科書の書評

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中小・ベンチャー企業 CFOの教科書
者: 高森厚太郎
出版社:中央経済社

本書の要約

外部の経営参謀としてストラテジー(経営企画)に起点を置きながら、バックオフィスの管理を行うのが、「攻めのCFO」の仕事です。CEOやCOOの仕事を後方から支援し、企業の成長戦略をナビゲートしつつ、経営効率(生産性)を上げることで、ベンチャー・中小企業の企業価値を向上できるのです。

成長する会社に必須なCFOという存在

CFOにできることは、多分皆さんが考えている以上に広範囲で、それゆえ可能性とやりがいに満ちています。(高森厚太郎)

いくつかの会社の経営でご一緒した仲間の高森厚太郎氏から、新刊の中小・ベンチャー企業 CFOの教科書を献本いただきました。早速、本書を取り上げたいと思います。

スタートアップやベンチャーの経営者の仕事は多様で、成長するたびにいくつものハードルが生まれます。著者の高森氏は
起業フェーズの「死の谷」(シードマネーが尽き、倒産する)
事業化フェーズの「ダーウインの海」(競争の中で適者生存できず、溺れる現象)
規模化フェーズの「30人の壁」(マネジメントの危機、社内分裂)
組織化フェーズの「官僚化」
多角化フェーズの「その後どうする?」という代表的な悩みを紹介しています。経営者の辛いところは、これが順番どおりでなく、カオスのように一緒くたにやってくることです。

実際、私も社外取締役やアドバイザリーとして、絶えず経営者の悩みを解決していますが、彼らは日々新たな悩みに遭遇します。ヒト、モノ、カネ、情報ノウハウに加え、最近ではマーケティングやテレワークが重要課題になっています。ベンチャー、中小企業の経営者は、これらの課題を解決するために、日々必死に動き回ります。社長がそれだけ努力を重ねても、成功する企業はほんの一握りでしかありません。自分のキャパシティを超えた経営には無理があり、やがてどこかで行き詰まります。

経営者は一人ではなく、CEO、COO、CFOの3人体制を取ることで、経営課題を解決できるようになります。実際、私が担当した成長企業も、この3人体制、あるいはCTOを加えた4人体制で成功しています。

CEO、COO、CFOの3人体制で経営者固有の4つの仕事をこなすことで、一人で経営するよりもはるかに結果を残せます。
■CEO(企業理念の作成、エグゼクティブへの渉外活動でビジネスを広げる)
■COO (実務のPDCAを回す)
■CFO (ヒト、モノ、カネ、情報などのリソースの配分)

企業内では、CEO、COO、CFOの「三権分立」が確立され相互に牽制しあっていることが重要です。CEOの独裁状態だと(ベンチャーやオーナー会社にはこのタイプ多いです)理想を追うばかりで現実の数字や人を見られない、進捗管理で組織にプレッシャーをかけるだけの会社になる可能性があります。CEOとCOOのツートップ体制で2人がうまくかみ合っていた場合、CEOのビジョンを語る力とCOOの組織を動かす力で攻めには強いとしても、CFOの冷静で客観的な事業管理力を欠くと、守りには弱くなります。

この3者の三権分立によって、冷静な企業運営ができるようになります。成長を目指す企業は、最初から3人のCクラスで経営をスタートすべきです。

攻めるCFO、パートナーCFOを時代が求めている!

目指すべきは単なる経理財務や管理のスペシャリストやアドバイザーにとどまらない、担当企業の最高経営相談役たりうる「攻めのCFO」です。

CFOには専門性が求められ、内部での教育が難しく、外部から調達することが多いのです。資金調達、金融機関との交渉、PLやキャッシュフローの改善、組織マネジメント、ExitなどCFOに求められる業務は多様です。実際、私が携わったベンチャーには、CFOがいない場合も多く、そんな時、私は高森氏の力を借り、多くの課題を乗り越えてきました。資金調達や金融機関との交渉などの業務をCFOに肩代わりできれば、CEOは自分の時間をより重要な業務に振り分けられます。

高森氏は自らをパートナーCFOと呼び、多くのベンチャーや中小企業の経営をサポートしています。イケイケの経営者だけだと、必ずキャッシュや組織で問題を起こします。急成長にはお金と人の問題がつきものです。そのような時に、高森氏の冷静で客観的な分析やアドバイスが力を発揮するのです。

パートナーCFOは「攻めのCFO」と言い換えることも可能です。外部の経営参謀としてストラテジー(経営企画)に起点を置きながら、バックオフィスの管理を行います。私のような攻める社外取締役と共に、成長戦略をナビゲートしつつ、経営効率(生産性)を上げ、企業価値を向上させる役割を担うのが、攻めのCFOの仕事です。

会計士、税理士、中小企業診断士などの士業の皆さんが、この攻めるCFOにシフトし、CEOやCOOのサポートをすることで、日本の中小企業は元気になるはずです。今、コロナ禍でキャッシュで苦しんでいる経営者に必要なのは、知恵とノウハウを持ち、金融機関との交渉を肩代わりできるパートナーCFOなのです。本書にはこの攻めるCFOの業務がわかりやすく解説されています。ぜひ、士業の皆さんに、ご一読いただき、日本を救うメンバーになっていただきたいと思います。

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