NDCトラバースとシントピカル読書で自分の可能性を広げよう!

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独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
著者:読書猿
出版社:ダイヤモンド社

本書の要約

図書館分類を使った知的多角測量法であるNDCトラバースを取り入れることで、自分の生産性を高められます。多様な情報をトラバース(横断)するうちに、課題の解決策が見つかるようになります。読書においてもNDCトラバースを入り口にしたシントピカル読書を行うことで、日々自分を成長させることができます。

欲しい情報をスピーディに入手するNDCトラバースとは?

NDCトラバースは、一つのトピックを複数の視点/分野から眺めて、多角的に捉えるために図書館分類を利用する技法である。(読書猿)

ビジネスパーソンは検索能力を高めることで、生産性を高められます。情報が大爆発する中で、自分の欲しい情報、それも正しい情報をスピーディに入手することで、パフォーマンスは確実にアップします。しかし、ただ単に検索ワードを入れるだけでは、人と同じ情報しか得られません。ネット上の膨大な情報から、ビジネスに役立つ多角的な情報を入手するためには、どのように検索すればよいのでしょうか?

読書猿氏は独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法の中で、NDCトラバースという技法を紹介しています。この図書館の分類法を応用した検索メソッドを覚えておけば、他者との差別化をはかれそうです。

図書館の多くは、日本十進分類法(NDC)という分類システムを使って、本を配架しています。公共図書館は誰がどんな情報ニーズを持って来館しても対応できるよう、全方位的に資料を収集しています。日本十進分類法は多様な来館者を満足させるために、蔵書に一つの分類コードを与えて、しかるべき棚に本を収納しているのです。

課題を解決するための正しい情報にたどり着きたければ、この分類だけに頼るのではなく、ネットの様々な情報に効率よくアクセスする必要があります。

我々が直面し解決したいと願う問題、我々が抱く関心は、必ずしも既存の分類や推薦システムに合わせて生まれてくるわけではない。個々人の特定の情報ニーズは、図書館分類のどれかに対応するのでなく、むしろ複数の分類を横断し貫通することになる。

トラバースという言葉の原義は横切ること、横断することです。登山では「ジグザグの道」や「岩場で登坂ルートが見つからない場合に横に移動すること」などを意味し、また測量の分野では多角測量を意味します。つまりNDCトラバースは、図書館の書棚を分野を超えて渡っていくための技法で、図書館分類を使った知的多角測量法と言えます。

NDCトラバースは次のステップで行います。
1、取り上げるテーマやトピックを一つ決める。
2、テーマ・トピックに対して、日本十進分類法(NDC)の各項目を掛け合わせて、検索を行う。
3、自転車について調べる際には、「自転車、哲学」「自転車、政治学」「自転車、経済」など分類法から抜き出し、キーワードに掛け合わせていきます。関心は分類するのではなく、トラバース(横断)するのです。

NDCトラバースを読書に応用しよう!

著者は本を読む本モーティマ ・J ・アドラーが考案・実装した「シントピコン」という考え方を紹介しています。シントピコンとは、syn(共に)+topic(トピック、論題)を合成した造語で、各々のトピックについて、名著全集を横断できるようにしたものです。

例えば、「愛」というテーマ・トピックについて様々な著者が何を言っているのかを網羅するのです。プラトンやマルクスの、「愛」に関する言葉を貫通的に参照できることで、読者はこれら古典を自分の思索のために自由に使えるようになります。

実際、アドラーは、『Great Books of Western World』の索引でこのシントピコを実装します。索引でトピックを関連付けさせることで、様々な情報に横断的にアプローチでき、思考を広げられるようになります。

アドラーはこの「シントピコン」というアプローチを、あらゆる書物や資料に拡大していきます。私たちは課題を解決するために、様々な関連情報に当たる必要がありますが、「シントピカル読書」によってその目的を達成できるようになります。ある著者の考察に他の著者の考察をぶつけることで思考の幅が広がり、課題を解決できるようになるのです。たくさんの著者の思考法を自分の脳の引き出しにストックし、掛け合わせることで、多様なアイデアを生み出せます。

NDCトラバースは、このシントピカル読書の入り口となるものである。まずは自分のテーマがどれか一冊やどこかの分類でなんとかなるという楽観を捨て、むしろ自分を助けるものは、様々な分類の複数の書物の中に散らばっていることを知ること。そして図書館全体を横断して、まるで一冊の書物のように読んでいくこと。図書館にいない時も、自分の頭の中で、一つの問題を、様々な分野・切り口から眺める習慣を身に付けること。こうした技術や習慣が、独学者をどれほど助けるか計りしれない。

アドラーのシントピカル読書は以下の3つのステップで行います。
1、問いを定める。
2、異なる視点から書かれた本を2冊以上集める。
3、それらを分類、統合して主題に対して多角的に理解する。

複雑な課題を解決するためには、一冊の本だけに頼るのは無理があります。私は調べ物をする時に、類書を何冊か買い、比較しながら読むようにしています。多様な知識や体験に触れることで、自分の視点を広げられます。また、刺激を受けた著者が紹介している関連書籍や参考書籍は片っ端から読むようにしています。シントピカル読書によって、アイデアの引き出しを充実させれば、結果が伴うようになります。

日々、読んだ本をこの書評にまとめ、整理することで、私の知識や知恵を養えるようになりました。このNDSトラバースを意識したシントピカル読書で、今後も良書との出会いをデザインし、自分を成長させようと思います。

 

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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