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シリコンバレーの一流投資家が教える 世界標準のテクノロジー教養
著者:山本康正
出版社:幻冬舎
本書の要約
アメリカではITだけでなく、伝統的な企業でもデジタル時代の経営を理解しています。彼らはデジタル技術のわかる人たちに活躍の場を与え、企業のDXを推進しています。日本の経営者もITやDXの本質を理解し、もっとデジタル人材に活躍の場を与えるべきです。
日本企業のDXは、なぜ遅れているのか?
世界がミサイルで戦っている時代に日本だけ竹槍で戦っているようなものです。若い世代にデジタルに精通している人がいても、社長が60代、70代で、最先端のデジタルや新技術を体験した経験が少ないため話が通じません。「へえ、そうなんだ」でおしまいです。それでどれだけ損をしているのかにまったく気づかないそのような構造に日本企業がなってしまっているのが、日本のデジタル化がなかなか進展しない原因だと思います。(山本康正)
日本ではなぜ、新しいデジタル・ビジネスモデルが出てこないのでしょうか?DXもなかなか進捗しない実態があります。GAFAなどのアメリカの企業が存在感を示す中、日本企業は元気がなく、その差はどんどん開いています。
DNX Venturesインダストリーパートナーの山本康正氏は、テクノロジーがわかる役員が少ないことだとその原因だと指摘します。日本の大企業には、テクノロジーやデジタルの担当役員であるCIOやCDOが少ないことが問題だというのです。
CIOやCDOがいる会社でも実態が伴なわい場合も多く、彼らはデジタルの本質を理解していません。一方、アメリカのデジタル企業では、CEOの多くがデジタル技術者やIT技術者であり、ここが日米の差になっています。アメリカのCEOは技術がわかるので、経営のスピードも早く、日本企業が何も決められない中、新たなビジネスにチャレンジしています。
大企業の経営者でデジタルがわかる人はほとんどいません。それは、ITを外注してきた世代だからです。日本は稀有な国で、IT人材の約7割が富士通やNECといったベンダーに所属しています。その上、ほとんどの大企業でIT部門の人はエリートではありません。IT部門出身の社長はとても少ないのです。
日本に比べ、アメリカではIT人材の社会的地位が高いと言います。アメリカではGAFAだけでなく、様々な会社でIT人材が活躍しています。アメリカでは約65%のIT人材が一般企業側にいて、DXを社内で遂行しています。
日本のIT部門の規模は小さく、外注しないとシステムが作れません。DXを推進すると会社が決めても、IT部門の人手が不足しているため、計画が前に進みません。デジタル人材を外部から採用できたとしても、人事制度が壁になり、彼らの力を引き出せずにいます。日本の経営者はもっとデジタル人材をリスペクトし、彼らに活躍の場を与えるべきだと著者は言います。
テクノロジーがわかる人材を得るためには?
ウォルマートはものすごい勢いでDXを推進していますが、その手段はスタートアップの買収です。スタートアップのCEOにそのままポジションを継続してもらい、彼らにDXを任せます。
アメリカでは伝統的な企業でもデジタル時代の経営をきちっと理解しています。彼らはデジタル技術のわかる人たちに活躍の場を与え、企業のDXを推進しています。
相変わらず日本では、一括採用・終身雇用・年功序列がまかり通り、デジタル人材を活用できていません。それを打破するために、デジタルがわかっている人材を社外取締役に招聴すべきだとDNX Venturesの倉林陽氏は言います。
セールスフォースのマーク・ベニオフは、あれだけの巨大企業になってもいまだにスタートアップが大好き。次のミーティングの約束の時間になっても、若い起業家の話に熱心に耳を傾けていました。(倉林陽)
デジタル時代に求められる能力や考え方は以下の3つだと著者の山本氏は言います。
①ITやデジタルの理解
②デジタル経営の理解(M&A、CVCなどを含む)
③英語力
変化が激しい時代には、経営者も日々成長を目指すべきです。取締役が学ばない会社には成長がなく、経営者は日々、自分をアップデートしべきです。最新のテクノロジーのトレンドを理解するために、英語の能力は必須で、自社に役立つベンチャーがあれば、そこに積極的に投資を行うべきです。
倉林氏の次の言葉を読むと、学び続けることの重要性を理解できます。
若い人もシニアも何歳になっても新しいことを学び続ける姿勢が大事な時代となりました。これからは、自分自身を日々アップデートしていかないと使い物になりません。逆にその感覚があるのならいくつになっても成功する可能性がある時代になったともいえます。
経営者は現状の課題を分析し、それをどう解決するかを考えるべきです。その際、デジタルの知識が欠かせなくなっており、学びをやめた段階でゲームセットになってしまいます。経営者も日々自己投資を行わなければ、生き残れない時代を生きているのです。
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