望月智之氏の買い物ゼロ秒時代の未来地図――2025年、人は「買い物」をしなくなる〈生活者編〉の書評

買い物ゼロ秒時代の未来地図――2025年、人は「買い物」をしなくなる〈生活者編〉
著者:望月智之 
出版社:クロスメディア・パブリッシング

本書の要約

デジタルシェルフが当たり前になる中、店舗の役割は確実に変わってきます。顧客に楽しい体験を与える「体験型」の店舗とデリバリーの特化した「倉庫型」の店舗が、今後は主流になっていくはずです。ネットで買う物が予め決まるZOMT時代には、デジタルシェルフで良いポジションをとることが重要で、デジタルマーケティングの優劣が売上を左右します。

買い物ゼロ秒時代に企業はどう動くべきか?

私たちはもう、買い物が「ゼロ秒」で済むような、日用品の買い物をしなくても済む超効率的なデジタル時代に強制的に放り込まれているのだ。これからますます私たちの行動データが蓄積され、その分析が進むだろう。(望月智之)

コロナ禍の中、私たちの買い物行動は一気にデジタルにシフトしました。外出ができない中、多くの人たちがECでの買い物体験を増やす中で、デジタル・ショップの棚の価値が高まっています。

「棚の奪い合い」の舞台は、確実にデジタルシフトし、インターネット上での顧客の奪い合いが熾烈になっています。特にこの数年で消費者の消費行動・購買行動は劇的に変化しています。AmazonなどのECサイトのデジタルの棚に良いポジションを築くことが企業に求められています。デジタル広告の優劣によって、企業の売り上げが、今後左右されるはずです。(デジタルシェルフの関連記事

「客が店に来る前に、すでに何を買うかは決まっている」というZMOT(=Zero Moment Of Truth)は、グーグルが提唱しているマーケティング理論です。「客が店に来る」というファーストアクションの前、「ゼロ」の段階で、消費者の買うものが決まっていると言われています。  

デジタルシェルフの「いい場所」に商品があることが大前提で、商品に気づいくれた生活者に対して、商品の魅力をどれだけ伝えられるか。そこで勝負が決まるといえる。「検索したら上位に出てくる」「レビューの評価が高い」「ほかのユーザーによく買われている」「インフルエンサーが紹介している」──そうしたデジタルシェルフ上での優位性を確保しておかないと、ZOMT時代には勝てないのだ。

デジタルシェルフが力を持つ中で、以下の施策が重要になってきました。
■検索したら上位に出る。
■ユーザーのレビューの評価が高い。
■インフルエンサーのレコメンドがある。
■SNSでシェアされ、発見しやすい。

配達競争のニューカマーGoPuffとは?

アメリカの小売業界には、こんなジンクスがある。「EC化率が20%を超えると、その産業の店舗ビジネスは衰退・破綻が起こる」EC市場規模で世界第2位のアメリカでは、リアル店舗が軒並み閉店に追い込まれている。 これは2020年より前に起こっていた傾向だ。EC化率が平均で10%台のアメリカだが、EC化率20%を超える、書籍・家電・スポーツ・アパレルなどの店舗の閉店が相次いだことから、このようなジンクスがささやかれるようになったのである。

ECで買い物する顧客が増える中、アメリカでは多くのショッピングモールが消滅し、リアル店舗が減少しています。著者は店舗がなくなることはないが、役割を変えながら生き残ると指摘します。

店舗は「体験型」と「倉庫型」が、今後の主流になりそうです。
■「体験型」の店舗
生活者にとって、「モノを買う」のはネットで十分な時代に、体験が重要な要素になっていきます。体験できるから店舗にいく時代が到来しています。

■「倉庫型」の店舗
「顧客の家の近所にある倉庫」のような店舗。顧客はデジタルシェルフ上、オンラインで注文し、あとは配送業 者が商品を家に運んでくれます。その配送業者は、大手配送業者ではなく、「ギグワーカー」になります。このような物流倉庫(ダークストア)がアメリカでは増加しています。

最近では、Amazon傘下のホールフーズ・マーケットもこのダークストアに進出しています。Amazonやフードデリバリーサービスのドアダッシュなども力を入れる中、GoPuff(ゴーパフ)というベンチャー企業が話題になっています。

2013年に2人の学生によって創業された配達サービスであるGoPuff は、食料品や飲料・洗剤・事務用品・赤ちゃん用品など、コンビニにあるような日用品を注文から30分以内に届けてくれます。扱っている商品は数千に及び、お酒や市販薬も揃えています。配達料金は1.95ドル(約200円)と安い上、欲しいものをすぐに届けてくれる利便性が顧客から評価されています。ソフトバンクのビジョンファンドもこのGoPuffに出資しています。

このGoPuffが画期的なのが、「一般家庭のガレージにも商品を並べている」という点でです。 たとえば、一般のいユーザーが「GoPuffのフランチャイズになりたい」と手を挙げれば、その人の家のガレージが倉庫になり、商品が売れるごとに、その人にロイヤルティが入るようになります。

GoPuffはAmazonやウォルマートよりも「顧客の近く」に倉庫を持てるようになり、住宅街からギグワーカーが商品を運ぶことで、優位性を発揮しています。アメリカという広大な国土の国で、注文から30分以内に配達するというスピード感が若者から評価され、GoPuffは成長しています。GoPuffは買い物という面倒な行為から顧客を解放したのです。

デジタルシェルフが当たり前になる中、店舗の役割は確実に変わってきます。顧客に楽しい体験を与える「体験型」の店舗とデリバリーの特化した「倉庫型」の店舗が、今後は主流になっていくはずです。ネットで買う物が予め決まるZOMT時代には、デジタルシェルフで良いポジションをとることが重要で、デジタルマーケティングの優劣が売上を左右します。

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