マイケル・モスのフードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠の書評


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フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠
著者:マイケル・モス
出版社:日経BP

本書の要約

食品メーカーは塩、脂肪、砂糖を綿密に組み合わせ、マーケティングの力で拡販しています。加工食品や甘い飲料はそれに依存されるように設計されています。メーカーは消費者の健康より、販売量と売上高を優先します。現代の肥満急増の原因は加工食品や甘い飲料の過剰摂取が原因になっています。

加工食品が危険な理由

塩、脂肪、砂糖。商品をヒットさせるため大量に使われるこの3つの成分は、肥満の急増をもたらした主役でもあった。(マイケル・モス)

ピュリッツァー賞受賞記者のマイケル・モスが食品業界の闇を明らかにしています。ネスレやケロッグなどに巨体な食品メーカーは競争力を高めるために、塩や糖や脂肪の形態や構造を変化させています。塩の世界的供給業者であるカーギルは、塩を微細な粉末状にすることで、より素早く、より強力に味蕾を刺激することで、スナック菓子の魅力を高めています。

糖分も無数の方法で加工されています。最も甘味が強い糖であるフルクトース(果糖)は、結晶化の技術が確立されて、食品の魅力を大きく高めるための添加物として利用されています。一部の大企業は、特定の食物、特に糖に対して神経系がどのように反応するかを調べるため、脳のスキャンを行っていますが、糖に対する脳の反応がコカインへの反応と同じだということが明らかになりました。糖分がバランスよく使われた食品は、依存症を引き起こし、結果、消費者の肥満を増加させています。

大手の食品会社は、一流の化学者を大量に動員して、塩分、糖分、脂肪分の3つの組み合わせで、人が快感を感じる「至福ポイント」を刺激する食品を生みだしています。 表面上は、「ヘルシー」「ローカロリー」を謳っていますが、成分を見れば、それが嘘であることがわかります。

モネル研究所の科学者のカレン・テフは固形食品の場合と違って、甘い飲み物に含まれるカロリーは、ヒトの体に認識されにくい可能性があると言います。体には過剰な体重増加を防ぐ仕組みが備わっていますが、清涼飲料などに含まれる甘味は、この仕組みをすり抜けてしまう可能性が高いのです。甘い飲料を飲むことが肥満の蔓延と結びついています。

加工食品の誘惑に負けない方法

こうした特別な時間が生じる場所にコカ・コーラを必ず存在させる、ということでした。人々の特別な記憶の一部になろうとしたのです。これは、マーケティング戦略として史上最高か、少なくとも3本の指に入るでしょう。消費者は、誰それがテレビCMに出ていた、といったイメージを持つだけでなく、自分がそのときその場にいて、感情の動きがあって、その商品を飲んでいるのです。コカ・コーラはこうした場面のシェアを見事に獲得しました。つまり、いたるところに商品を存在させた。社内では『ユビキティ戦略』と呼んでいました。(ジェフリー・ダン)

コカ・コーラはTV CMを大量投下し、コカ・コーラを購入できる場所を増やしていきます。マーケティング戦略とユビキティ戦略によって、コカ・コーラは消費者を虜にしていきます。

マーケティングを強化したのは、コカ・コーラだけではありませんでした。1970年から1990年までコカ・コーラとペプシコーラは、「コーラ戦争」を行い、シェアの拡大を目指しました。ペプシはマイケル・ジャクソンを起用し、一時的にコカ・コーラのシェアを奪いました。

実は、熾烈なコーラ戦争によって、両者が勝者になったのです。消費者の興味が市場を拡大させることで、コーラ全体の売り上げが増加していったのです。

コカ・コーラは1人当たりの消費量にこだわり、大容量のボトルを飲むヘビーユーザーを増やしていきます。コカ・コーラがマーケティングを強化した1980年以降、アメリカの肥満率が急増します。

肥満の増加は著しい。そして、その根っこがファストフードやジャンクフードやソフトドリンクの消費拡大と直結していることは疑いの余地がない。では具体的にどれが原因か特定できるのか、というのはおそらくフェアな質問でしょう。ソフトドリンク業界の人間は常にそう言ってきた。ですが、肥満率と、糖分の多いソフトドリンクの1人当たり消費量をグラフにして重ねてみればわかることです。間違いなく、99.999%相関するでしょう。逃げ隠れはできない。

加工食品や甘い飲料の過剰摂取が肥満を引き起こしています。加工食品には、塩分、糖分、脂肪部が使われいますが、その過剰摂取によって、私たちの健康が危機に瀕しています。加工食品や甘い飲料は過剰に摂取されるように綿密に設計され、消費者の消費者活動をコントロールしているのです。

食品メーカーの誘惑に負けないために、私たちは何をすればよいのでしょうか?安価で手軽で依存症を引き起こす加工食品や甘い飲料は確かに難敵です。著者は加工食品との付き合い方を徹底的に見直すべきだと言います。パッケージの成分をチェックし、加工食品が体に悪いものだと認識するのです。健康を取り戻すと決め、日頃の行動習慣を変えることで、加工食品と甘い飲料から距離を置くようにしましょう。

私は12年前にアルコールをやめましたが、その際、コンビニで買うものを水とお茶だけにしました。アルコールだけでなく、甘いジュースやスナック菓子の購入を一切やめたのです。結果、私は自分の体重を減らすことに成功しました。アルコールと加工食品から解放されることで、私は健康を取り戻せたのです。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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