脳メンテナンス大全 最高のパフォーマンスを発揮させる方法(クリステン・ウィルミア, サラ・トーランド)の書評

脳メンテナンス大全 最高のパフォーマンスを発揮させる方法
クリステン・ウィルミア, サラ・トーランド
日経BP

本書の要約

脳の老化は30代から始まります。脳のケアを怠ると若い頃から認知症のリスクを高めてしまいます。脳の神経細胞群はいくつになっても新たなネットワークを築き、生まれ変わっています。悪い生活習慣をよい習慣に置き換え、脳の老化を防ぎましょう。食事や運動、睡眠を改善することで、脳の機能を強化できるのです。

脳の健康寿命を伸ばす方法

あなたが認知症を心配しているのであれば、それは当然のことだ。認知機能障害の総称である認知症は、現在、65歳以上の米国人の10パーセントが罹患しており、高齢化が進むにつれて増えると予想されている。認知症につながる脳細胞の変化は、脳が老化し始める30代、40代からすでに始まっていると考えられている。したがって、あなたが何歳でも、今すぐ脳のケアを始めるべきだ。後々、認知症と診断されないために、脳を健康に保つ習慣を身につけて、脳の老化を遅らせてほしい。(クリステン・ウィルミア, サラ・トーランド)

人生100年時代、私は身体だけでなく、脳の健康寿命を伸ばしたいと考えています。実は脳の老化は30代から始まっています。脳のケアを怠ると若い頃から認知症のリスクを高めてしまいます。

最近に研究で、脳を鍛えることで、脳の機能を維持できることも明らかになってきました。今までこのブログでは何度も脳の可塑性を取り上げてきましたが、脳の神経細胞群はいくつになっても新たなネットワークを築き、生まれ変わっています。脳に刺激を与え、よい習慣を取り入れることで、脳の老化を防げるのです。

本書は脳科学者のクリステン・ウィルミアとジャーナリストのサラ・トーランドは、脳の特徴を明らかにしながら、脳の老化を防ぐ方法を提示しています。若い頃から脳の機能を強化することで、私たちは認知症を防げるのです。

■脳の3つの特徴
1、いくつになっても新しいニューロンを育てることができる。
最近の研究によって、70代、80代、そして90代の人でも、運動、食事、ストレス、睡眠、サプリメントの習慣を変えることで、ニューロン新生を促せることがわかりました。アルツハイマーの患者を含む高齢者でも、若い人と同じくらい新たなニューロンを増やすことができるという研究結果もあります。  

健康なニューロンが増えると、ニューロンのつながりが緻密になり、情報を受け取って処理する脳の能力は高くなるのです。健康なニューロンが増えれば増えるほど、賢明な判断をより早く下せるようになり、集中力と記憶力が向上します。脳の老化とはニューロンが死ぬことなので、新たなニューロンを生み出してその欠落を補えば、脳を若返らせることができると著者たちは指摘します。

2、血のめぐりが肝心
認知機能をベストの状態に保つには、「血のめぐりが肝心」であることがわかっています。しかし、ほとんどの人は、脳内の血のめぐりがベストの状態ではありません。

私たちは脳が適切に機能するには、豊かで安定した血流が欠かせないことと現代の生活習慣の多くが脳内の血流に悪影響を与えていることを理解すべきです。脳は筋肉の3倍の酸素を使います。血液は、その酸素をニューロンに送り届けて、ニューロンが効率よく働き、発火し、信号を送れるようにしています。血流が十分でないと、ニューロンは死に始め、脳が老化するのです。

食事、飲酒、睡眠、運動、ストレスへの対処などを変えることで、血のめぐりが改善します。現代人は脳のために、生活習慣を見直すべきです。

3、交感神経系を静めると、脳は一晩で変わる
強いストレスが長期間続くと、新たなニューロンが生まれなくなり、既存のニューロンが死に始めてしまいます。慢性的なストレスは、脳組織の老化ももたらし、脳震とうや神経変性疾患に似た形で、ニューロンの寿命を縮めてしまいます。

10分で脳を変える10の方法

脳の機能を改善するためには、生活習慣を見直すべきです。野菜やフルーツ、豆、海藻を中心にした食事、適度な運動、脳の機能を改善するサプリの摂取などがレコメンドされています。

著者たちが提案する「10分でできる脳を変える10の方法」を習慣に取り入れれば、脳の老化を防げます。
①早歩きする  
ほんの短い時間でも運動すると、脳の血流が増えます。結果、創造性が高まり、新しいアイデアが生まれやすくなり、全体的な実行機能が向上します。仕事中に頭が働かなくなったときや、大きな会議の準備をしなければならないときには、脳とキャリアのために、オフィス周辺を早足で歩きましょう。

②ダークチョコレートを食べる  
ダークチョコレートはミネラルが豊富で、フラボノイドと呼ばれる健康に良い植物成分が多く含まれています。フラボノイドはフリーラジカルを消し、脳への血流と酸素供給を促進します。

③背筋を伸ばして座る
胸を張り、首と背筋を伸ばして座ると、脳への血流が一気に増えます。正しい姿勢で座ると、他者からの評価が上がり、自信が増す効果も得られます。

④利き手でないほうの手で書く
利き手ではない手を使うエクササイズはニューロンの新生を促し、既存のニューロンの接続を強化します。

⑤ブルーベリーを食べる  
新たなニューロンを育てたいのであれば、ブルーベリーをたくさん食べましょう。ブルーベリーにはフラボノイドやポリフェノールなど、体に良い成分が多く含まれ、これらの成分はニューロン新生を促進してくれます。

⑥語彙を増やす  
語彙を増やすと、認知機能や知性が高まり、海馬では新たなニューロンが続々と生まれます。

⑦毎朝、今日をより良く生きる方法を思い描く
このトレーニングによって、心が落ち着き、ストレスを減らせます。気分を明るくすることで、仕事、運動、生活全般において、能力を最大限発揮できるようになります。

⑧10分間の空白時間を持つ
テレビも電話もない部屋にこもり、心を落ち着けます。このエクササイズは交感神経系を鎮めるので、朝行えば、終日、精神と感情をコントロールしやすくなります。

⑨香りでストレスを解消しよう
家やオフィスでエッセンシャルオイルを使うと、ストレスを和らげ、交感神経系を落ち着かせ、脳波を変化させ、ひいては認知機能と気分を向上させることができます。
・ラベンダー・・・ストレスの軽減
・ベルガモット・・・活力アップ
・フランキンセンス・・・脳への酸素供給を促進

⑩感謝していることを一つ書く
感謝していることを一つ、付箋に書き、バスルームの鏡や冷蔵庫の一扉、オフィスのパソコンなど、1日に何度も目にする場所に貼っておきます。この小さなリマインダーは、それを見るたびにあなたを落ち着かせ、ストレスを和らげ、気分を上げてくれます。

著者たちのアドバイスを取り入れ、脳をこまめに手入れすれば、脳の状態は改善されます。脳のパフォーマンスを高めたければ、悪い生活習慣を良い習慣に置き換えればよいのです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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