よい睡眠、瞑想が脳の機能を高めてくれる!

woman sitting on sand

脳メンテナンス大全 最高のパフォーマンスを発揮させる方法
クリステン・ウィルミア, サラ・トーランド
日経BP

本書の要約

ストレスが多すぎると、海馬が萎縮し、記憶の形成や想起が抑制され、脳の認知機能に悪影響を及ぼします。脳の状態をよくしたければ、よい睡眠、瞑想、ヨガ、深呼吸を生活の中に取り入れることです。特に十分な睡眠をとることで、ひらめきを得られるようになります。

ストレスが脳の老化を早める?

ストレスは脳循環とニューロン新生を妨げ、既存のニューロンを過剰に活性化する。やがて新たな神経回路が形成され、認知機能に悪影響が及ぶ。また、ストレスが多すぎると、海馬が萎縮し、記憶の形成や想起が抑制される。加えて、感情を処理する脳領域である扁桃体との接続が強まり、恐怖や不安を感じやすくなる。こうした変化は永続することがあり、その結果、明晰な思考、問題解決、懸命な判断、集中の維持ができなくなり、幸福感や健康が阻害される。(クリステン・ウィルミア, サラ・トーランド)

脳科学者のクリステン・ウィルミアは、アメリカンフットボール選手の脳損傷の実態解明とその治療に関する研究で大きな注目を集めてきました。彼女はジャーナリストの, サラ・トーランドと共に、脳を変えることで脳の老化を防げることを明らかにしています。悪い習慣を良い習慣に置き換えることで、脳の機能を維持できると言います。

現代人はさまざまなストレスを抱えていますが、そのストレスが脳の認知機能に悪影響を及ぼします。ストレスは、脳やメンタルのレベルで感じるものだけではありません。糖尿病、関節炎、高血圧などの慢性疾患や、糖分のとりすぎ、睡眠不足、運動不足、水分補給の不足といった不健康な習慣もストレス源になると著者たちは指摘します。食物や水に含まれる有毒物、大気汚染、放射性物質といった環境ストレスも気をつける必要があります。

では、どうすれば、私たちはストレスをコントロールできるようになるのでしょうか?

著者たちは十分な睡眠、ヨガ、瞑想、深呼吸などを行うことでストレスを軽減できると言います。まずは、睡眠の重要性について考えてみましょう。睡眠中に、人の脳脊髄液の流れは活発になり、脳に溜まった有害な毒素や老廃物を押し流してくれます。アルツハイマー病患者の脳には、アミロイドベータなどの過剰な蓄積が見られるため、睡眠障害との関連が疑われています。

また、脳は睡眠中に、短期記憶や日中に新たに得た知識を長期記憶に定着させます。睡眠が足りないと、前日に聞いたばかりの情報を思い出せなくなったりするのはそのためです。一晩眠るか、短い昼寝をしただけでも、記憶検査の成績が大幅に向上することを複数の研究が示しています。

研究によれば、よく眠る学生ほど成績がよいことが明らかになっています。同様に、睡眠は実行機能(計画し、適切な判断を下し、頭を整理し、集中を保つ能力)にとっても、きわめて重要です。睡眠が足りないと、自分が間違っていても正しいと思い込んだり、妥当な決定ができなくなったりします。

また、十分な睡眠は、高度な思考を行い、「ひらめき」を得るためにも欠かせません。「ひらめき」は、ばらばらな考えを、刺激的な新事業や数十億ドル規模のビジネスに変えるのを助けてくれます。

また、睡眠が7時間に満たない人は十分に眠っている人に比べて、ストレスや不安が30パーセントも多く、うつ病になるリスクが10倍高くなります。

アメリカ人の40パーセントは、平均的な睡眠時間が7時間以下になっています。大半の人は自分の睡眠量を多めに見積もりがちで、睡眠不足の人ほどその傾向が強くなります。睡眠が十分でないと判断力が全体的に損なわれ、睡眠時間の自己評価もあやふやになってしまうのです。

瞑想やヨガ、深呼吸が脳の状態をよりよくする!

ストレスを長期的に制御するには、脳の機能と構造を変化させる活動を見つける必要がある。研究によれば、瞑想、ヨガ、深呼吸はどれも、脳の神経ネットワークを配線し直し、それを強力で長期的なツールにする。これらの活動の一つを週に何度かするだけで、脳に大きな変化を起こすことができる。

①瞑想
著者の瞑想の定義・・・しばらくの間じっと座り、頭の中を整理し、今このときに意識を集中させ、よりマインドフルな世界に入る練習をすること。

ひとりになれる静かな場所で、呼吸と体に意識を集中させることで、私たちの脳はリラックスします。頭に雑念が入ってきても、それについて考えるのではなく、その存在を認めたうえで、自分の呼吸に意識を戻すようにするのです。

マインドフル瞑想を毎日実行すれば、脳波は機敏で注意深い覚醒状態(ベータ波)から、穏やかでリラックスした休息状態(アルファー波)に変わります。研究によれば、数週間から数カ月、瞑想をすると、海馬(脳の記憶中枢)を含む灰白質が増え、感情をうまくコントロールできるようになると言います。瞑想は、脳の恐怖中枢である扁桃体のサイズを小さくして、ストレスや不安を感じにくくします。

瞑想は脳に新たな神経回路を生じさせ、心の迷いを抑制してくれます。瞑想には、ストレスホルモンのコルチゾールや炎症を大幅に減らす効果もあります。研究によると、わずか2カ月間、瞑想しただけで、その後3年にわたってストレスや不安が少なくなることも明らかになりました。

瞑想は、思考をより明晰にし、集中力や判断力を高めてくれます。加えて、高血圧症や慢性的な痛みを含む多くの不調を癒やし、アルツハイマー病などの神経変性疾患のリスクも減らしてくれます。

②ヨガ
瞑想と同様に、ヨガは灰白質を増やし、扁桃体を小さくしてくれます。この効果はヨガをしている最中だけでなく、その後も数日続きます。ヨガは、不安を和らげる神経伝達物質GABAの生成を促しますが、それはヨガをする間、リラックスしているからではありません。ある研究によれば、1時間のヨガのクラスを受けるとGABAは27パーセント増加しましたが、1時間、静かに読書してもGABAには何の変化もありませんでした。

また、ヨガはコルチゾールを減らし、セロトニンやドーパミンといった快感ホルモンを増やします。さらに、認知のコントロールパネルである前頭葉の活動を鎮める一方、脳由来神経栄養因子(BDNF)の生成を増やします。BDNFが増えると大人の脳でもニューロンが増加します。

③深呼吸

私も、不安に襲われたときや、すぐに気持ちを落ち着かせたいときには、深呼吸をする。私にとって深呼吸は、脳の電気活動を切るスイッチのようなものだ。 

深呼吸の良いところは、いつでもどこでもできて、すぐ効果が得られることです。深呼吸すると、数秒のうちにコルチゾールが減り、それと同時に血圧と心拍数が下がります。したがって、危機的状況に陥った場合、深呼吸すれば即座に気持ちを落ち着かせることができるのです。

深呼吸は腹式呼吸や横隔膜呼吸とも呼ばれ、恐怖症、乗り物酔い、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、そのほかのストレス性情緒障害の治療に利用されています。

よい睡眠、瞑想、ヨガ、深呼吸を生活の中に取り入れることで、ストレスを軽減でき、脳の状態をよりよくできるのです。脳の状態を良くするためには働きすぎは厳禁で、適度な休息が欠かせないのです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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