実践型クリティカルシンキング(佐々木裕子)の書評


実践型クリティカルシンキング
佐々木裕子
ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

クリティカルシンキングを行うことで、、限られた時間、限られた情報で、正しい結論・成果が出せる確率が上がるようになります。①目指すものを定義する。②何が問題なのかクリアにする。③打ち手を考える。という3つのステップによって、問題の所在が明らかになり、正しい解決策を導けるようになります。

クリティカルシンキングのための3つのステップ

実践型クリティカルシンキングとは、 ・「目指すもの」を達成するために、 ・「自分の頭」で考え、行動し、 ・「周りを動かす」ための実践的な思考技術なのです。(佐々木裕子)

実践的なクリティカルシンキングを行うことで、、限られた時間、限られた情報で、正しい結論・成果が出せる確率が上がるようになります。実際、私もクリティカル・シンキングやフレームワークを活用することで、ビジネスで結果を出せるようになりました。

今年から私は大学でビジネスフレームワークの授業を受け持っていますが、広告会社で学び、実践したクリティカルシンキングのメソッドが自分の可能性を広げることに役立ちました。

現代のような変化が激しい世界には、過去の経験や知識が通用しなくなりますが、クリティカルシンキングによって、自分の頭で考え、論理的に判断できるようになると未知の世界にも対応できるようになります。

また、論理的に考えることで、自分の下した判断の根拠について、他人にもわかりやすく説明できます。

著者の佐々木裕子氏は、クリティカルシンキングは以下の3つのステップで行うべきだと述べています。
STEP①目指すものを定義する。
・いつまでに ・どのくらいのレベルのことを ・何のために目指すのか、シンプルかつ具体的に決めます。

STEP②何が問題なのかクリアにする。
・自分の現状を客観的に分析し、・「目指すもの」とのギャップを認識し、・そのギャップが生じている原因(=課題)を本質的に説明ができるようにします。

STEP③打ち手を考える。
理想のあるべき姿とのギャップを埋めるためにどうすればよいかを具体的なアクションに落とし込みます。

正しい問題を定義するには、ズームイン、ズームアウトを繰り返し「なぜ?」「ホント?」「具体的には?」の質問で真の問題を明らかにしていくとよいと著者は指摘します。

あるべき姿を実現するための問題を定義できたら「SMART」でチェックします。
■Specific(具体的)
■Measurable(達成できたかどうかを事実で判断できる)
■ActionOriented(アクションに落とせる)
■Relevant(意義が明確)T
■Time-Limited(期限が明確)

7Sのフレームワークで課題を発見し、戦略を立案する。

まさしく経営なんて正解がないですよね。どこかで意志を持って決めないといけない。できるかどうか、というコストや期限の現実問題もある。でもあまりに現実的に手堅いところで決めると、会社や自分の成長の余地がなくなってしまう。目指すものは、自分が決めるしかない。正解はない。それは、自分の人生の目標でも、会社の経営でも、会議の目標でも同じ。いちばん難しいところです。そこが決まると、あとはどうやって目指すものと今のギャップを埋めるかというところに頭を集中すればいいんです。

クリティカルシンキングにおいて最も難しいのが、課題を定義することです。そおためには、あるべき姿を明確にし、そのギャップについて考えるようにすべきです。

「目指すものを定義する」ための3つのコツを著者は紹介しています。
①言葉の意味を明確にし、最終的に解くべき命題を導き出す。
②明確にイメージできるよう、わかりやすく表現する。
③「正解」はないので、自分が納得するまでひたすら考え続ける。

最初は限られた情報しかなくても、丁寧に情報を分解して「ピラミッドストラクチャー」にしていきます。その際、縦の論理と横の論理で矛盾を無くすようにします。その際、抜け漏れダブりがないように「MECE」でロジックツリーを確認することがポイントになります。

問題点を明らかにするためには、3C、4P、バリューチェーン分析、マーケティングファネル、7Sなどのフレームワークが使えます。今日はトム・ピーターズロバート・ウォーターマンの名著「エクセレント・カンパニー」で提唱された7Sを紹介しておきます。このフレームワークは7つのS(資源)の力で企業分析や最適な事業戦略が立案できるので、私はとても重宝しています。共通の価値観(Shared Value))を中心に置く2人の考え方に共感しています。

7SはハードのSとソフトのSに分類します。
ハードのS(組織の構造に関するもの)
(1)戦略(Strategy):競争優位性を維持するための事業の方向性
(2)組織(Structure):組織の形態や構造
(3)システム(System):人事評価や報酬、情報の流れ、会計制度など、組織の仕組み

ソフトのS(人に関するもの)
(4)価値観(Shared Value):社員で共通認識を持つ会社の価値観
(5)スキル(Skill):営業力、技術力、マーケティング力など組織に備わっている能力
(6)人材(Staff):社員や経営者など個々の人材の能力
(7)スタイル(Style):社風や、組織の文化

問題を明らかにできたら、打ち手を考えます。以下の5つのステップで考えることで、正しい解決策に近づけます。
①まず、当たり前の答えを考える。
②当たり前の答えの対極を考える。
③アイデアの深掘りをする。
④発想を広げる。
⑤目標設定と照らし合わせながら絞って、さらに深掘りする打ち手を考える。

あるべき姿を意識しながら、これだと思える解決策が見つかるまで、しつこく考え続けます。うまくいかないときには、目標設定があいまいだったり、問題の本質がつかめていないと捉え、再考するようにすべきです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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