いままで起きたこと、これから起きること(高城剛)の書評

male head bust
いままで起きたこと、これから起きること
高城剛
光文社

本書の要約

私たち人類は周期によって支配されていますが、この説を使うことで未来をある程度予測可能です。もし80年周期が世界的に大きな変化をもたらすなら、2020年代は激動の時代になります。気候変動の視点でも2030年代は寒冷期になる可能性が高まることが予測されています。私たちは歴史のサイクルを学び、変化に適応すべきです。

周期説が重要な理由

人は周期によって支配される。(高城剛)

フューチャリスト高城剛氏の最新刊いままで起きたこと、これから起きることが発売されたので、早速取り上げます。私たち人類は周期によって支配されていますが、この周期説を使うことで、未来をある程度予測できるというのが著者の主張になります。

生物に限らず、時間が存在するこの世のすべては、ある一定の周期で動いていると考えられます。この周期に乗り遅れると国家すら衰退すると言います。アメリカは建国以来80年の周期で変化していることが明らかになっています。

ジョージ・フリードマンによれば、アメリカ史は独立戦争(1775年開始)から南北戦争(1865年終結)までの第1サイクル、南北戦争から第二次世界大戦(1945年終結)までの第2サイクル、そして第二次世界大戦終了後から現在までの第3サイクルまでの3期に分けられ、2025年から新たな第4サイクルに突入すると言います。 さらに、アメリカには50年周期の「社会経済的サイクル」も存在し、こちらは2030年から新たなサイクルが始まります。

日本とイタリアでもこの80年周期が確認されています。

もし80年周期が世界的に大きな変化をもたらすなら、今日の各国の国体となる礎が作られた1860年代から2サイクルを経た160年後の2020年代に、世界的な大変化が起きると考えねばならない。

政治フォーラム主催者のウィリアム・ストラウスと歴史・政治学者のニール・ハウは『フォース・ターニング』の中で、歴史は80年周期で回っているだけでなく、1サイクルは20年ごとに「(1)高揚(2)覚醒(3)分解(4)危機」と、春夏秋冬のような4つの節目に分けられると指摘します。

「4つの世代サイクル」ごとに各世代のパーソナリティも異なります。
・高揚・・・無私で合理的で有能だが、無思慮で機械的で無鉄砲な「英雄」
・覚醒・・・気遣いができ広い心を持ち専門家としてのスキルがあるが、情緒的で面倒くさがり屋で優柔不断な「芸術家」
・分解・・・ぶれない軸と決断力を備え創造的だが、ナルシストで生意気、かつ無慈悲な「預言者」
・危機・・・手練れで実用的で洞察力があるが、鈍感で無教養で不道徳な「遊牧民」

歴史と周期説から未来を予測する方法

人間や社会は進歩しているように見えても、根源的な欲望は変わることはなく、おおよその寿命が決まっていることから、自分が体験していない同じ過ちを何度も繰り返す、ということだと考える。

前回の危機を記憶していない世代がリーダーとなることで、人は毎回危機へと突き進んでしまうのです。

レイ・ダリオは国家の強さを、①教育②競争力③技術④経済生産高⑤世界貿易シェァ⑥軍事力 ⑦金融センターカ⑧基軸通貨という8つの尺度で推し量っています。これによれば現在、イギリス、日本、ロシア、そしてアメリカでは、サイクルの下降局面に入っていることがわかります。 

レイ・ダリオは、上昇段階にある国家は、以下のような特徴を兼ね備えていると指摘しています。 
○有能な指導者によるリーダーシップ
○強い教育システム
○礼節の正しさと労働倫理の高さ
○法の支配がなされ社会の腐敗が少ないこと
○効率の良い資源配分システム
○グローバルでオープンな思考
○国民の収入が増えていること
○インフラ、教育システム、研究開発への投資増
○生産性の向上
○新技術の登場
○貿易市場における大きなシェア
○自国の防疫網を守る軍事力
○強力な金融センター
○基軸通貨

経済周期など様々な視点から今後の激動が予測されていますが、気候変動の視点でも大きな変化が起こりそうです。ノーサンブリア大学のバレンチナ・ザルコヴァ教授によれば、2030年代に太陽活動が低下し、次の寒冷期が訪れると予測します。彼の予測は高確率で的中していますが、この説を信じれば、今から10年後の2030年代は大きな変革期になると言えるのです。

世界は2020年代後半~2040年頃にかけて、大きな転換点を迎える。その際、各地で社会的・経済的な危機がいくつも起こるだろう。また、西側の文明が低調期を迎える一方、東側の文明は右肩上がりになる。覇権国は移るか、もしくは分散するかのどちらかになる。

大きな社会的サイクルとは別に、人間にも周期が存在します。様々なサイクルと自分のサイクルを考えながら、変化に適応すべきです。

個々によって違う「小さなサイクル」と社会的な「大きなサイクル」が重なった時、本当の波を掴むことができると考えるべきです。

歴史が周期で動いていくのなら、アメリカの衰退は阻止できません。今後、覇権国が存在せず、世界は多極化する可能性が高まっています。そこでは、通貨からエネルギーまでが多層化し、人々はその中で変化に適応しながら生きていくはずです。

私たちの先祖たちはサイクルから、リスク管理や混沌からの脱出する方法を見出していました。もし、本当に歴史が繰り返されるなら、次の大波は遠くないタイミングで訪れます。その際、困難に直面しないように、様々な選択肢を用意することで、私たちはリスクを軽減できます。本書のアドバイスに従い、歴史や周期説から未来を考えたいと思います。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
徳本昌大 Amazonページ >
 

徳本昌大をフォローする
パーパスイノベーション習慣化書評生産性向上アイデアクリエイティビティマーケティングライフハック
スポンサーリンク
徳本昌大をフォローする
Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました