アンドリュー・カーネギーの富の福音の書評

富の福音
アンドリュー・カーネギー

本書の要約

アンドリュー・カーネギーは、資本家は得た資本を使って、大学や図書館などの社会資本を充実すべきだと考え、多額の寄付を行いました。富の使い方(社会貢献の仕方)は、未来の人たちの成長を促す公共施設などに寄付すべきだと言う考えを彼は世の中に広めました。

アンドリュー・カーネギーはなぜ社会貢献を行ったのか?

富の福音は、キリストの言葉に呼応している。それは、富める者に対して、自分の余財を適切に使うことで貧しい者に与えて、しかる後に大地に眠れと説く。そうすることで、彼は巨万の富を貯め込む愚劣な人間ではなくなるだろう。金銭的に貧しくなろうとも、巨万の富を貯め込む者の何倍も、その心は仲間への愛と感謝で豊かに満ちていることだろう。その心は優しく、心の声はこう告げるのだ。「自分が生きることで、世界はほんの少し良くなった」このような者に対して、天国の門が閉ざされることはない。これだけは確かだ。(アンドリュー・カーネギー)

定期的に偉人と呼ばれる人が書いた古典を読み返しています。歴史を超えて残った著作を読むことで、気づきを得られます。今日は「鋼鉄王」アンドリュー・カーネギー富の福音を紹介したいと思います。

1835年、カーネギーはスコットランドで貧しい織物職人の長男として生まれました。その後、アメリカへ移住しましたが、貧しかったカーネギーは学校へ行くことができませんでした。電報配達の仕事に就いたカーネギーは、モールス信号を耳で聞き分けることができるようになったため、電信技士に昇格しました。  

その後、トーマス・スコット秘書兼電信士としてヘッドハンティングされてペンシルバニア鉄道に入社し、18歳の頃にスコットがペンシルバニア鉄道の副社長に昇進するとカーネギーはピッツバーグの責任者に昇格します。その後、寝台車を採用して成功を手に入れます。

鋼鉄の大量製造に将来性を感じた彼は「カーネギー鉄鋼会社」を創業し、大きな成功を収め「鋼鉄王」と称されるようになりました。1901年に、鉄鋼会社をモルガンへ4億8000万ドルで売却しました。その後カーネギーは慈善事業家として第2の人生をりました。  

カーネギーは、資本家は社会の富を増やすために資本を運用する責任を負った者だと定義しますが、資本家は得た資本を使って社会資本を充実すべきだと言うのです。富の使い方(社会貢献の仕方)は、未来の人たちが活用できる大学や図書館などに寄付すべきだと言う考えを世の中に広めようとしました。

アンドリュー・カーネギーの実績
・カーネギー教育振興財団
・ニューヨーク・カーネギー財団
・カーネギー国際平和基金
・カーネギー研究所
・カーネギーメロン大学
・カーネギー教育振興財団
・カーネギー博物館

成功哲学で有名なあのナポレオン・ヒルに、20年間無報酬で「成功哲学」を徹底的に研究するように促し、結果「思考は現実化する」という名著が生まれたのです。カーネギーのアドバイスがなければ、私たちはナポレオン・ヒルの名著に出会えなかったかもしれません。

大学への寄付がアメリカの未来を明るくした!

もし、富める者が余財でどのような善行をすればいいのかわからないのであれば、いくら行っても、行い尽くすことのない分野というものがここにある。というのも、大学が必要とするものは、国の進歩とともに増えるのだから。

ベンチャー起業家を次々に排出するスタンフォード大学は、一個人の寄付によるものでした。リーランド・スタンフォード上院議員(政治家、鉄道業の起業家、スタンフォード大学創立者)は、巨万の富を得た西海岸にパーフェクトな大学を創設することにしました。彼は当時必要だと考えられていた金額の2倍の資産を大学に寄付しました。

実際、スタンフォード夫妻は、大学を発展させるために約4千万ドル(現在の貨幣価値で約11億3800万ドル)を寄付しました。19世紀後半のスタンフォード家の保有財産は約5千万ドルだったと言われていますから、その寄付額の大きさがわかります。 

ハーバード大学にも寄付によってつくられた建物がいくつもあります。
・ジョージ・ピーボディ(銀行員)のピーボディ博物館
・ウェルズ(ボストンの起業家)のウェルズ館
・ネイサン・マシューズ(ボストンの経営者)のマシューズ館
・ナサニエル・セイヤー(ボストンの金融一族)のセイヤー館
・ジェイムズ・セヴァー(マサチューセッツの靴業者)によるセヴァー館

テネシー州ナッシュビルのヴァンダー・ビルト大学も、ヴァンダー・ビルト家の人たちがの寄付によってつくられました。彼らは生前から自分の意志で大学に対する貢献をすると決め、その準備を開始しました。

大学だけでなく公共図書館や病院、医大、研究所なども社会にとって価値があります。富裕層は社会のために行動すべきで、亡くなる前から社会貢献を行うべきだとカーネギーは指摘します。国家を発展させるために自分の莫大な富を寄付したこれらの人たちが、アメリカの未来を明るくしたのです。

ビル・ゲイツやウォーレン・バフェット、ウォルマートのウォルトン家が、なぜ巨額の寄付をするのかの理由も本書を読むことで理解できます。未来の人たちの成長を促す大学や図書館、あるいはパンデミックを防ぐ研究に稼いだ資産を使うことは、本当に価値のあることだと思います。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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