優れたリーダーは人と人のつながりを強化する!ユベール・ジョリーのTHE HEART OF BUSINESS(ハート・オブ・ビジネス)――「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップの書評

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THE HEART OF BUSINESS(ハート・オブ・ビジネス)――「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ
ユベール・ジョリー,キャロライン・ランバート,ビル・ジョージ
英治出版

本書の要約

パーパスがある組織では、人と人との真のつながりを築かれています。経営陣、社員、パートナーが互いに信頼し合うことでパフォーマンスが高まります。共通のパーパスに向けて協働する個人によって構成された人間らしい組織が力を発揮します。リーダーはそのために相手の存在を認め、ありのままの姿を受け入れるべきです。

優れたリーダーは人と人のつながりを強化する!

パフォーマンスの高いチームを作るためには、最高の力を発揮する個人が集まって、最高の力を発揮する集団へと変わらなければならない。そしてそれに必要なのが、人と人とのつながりを活かすことだ。(ユベール・ジョリー)

ユベール・ジョリーTHE HEART OF BUSINESS(ハート・オブ・ビジネス)――「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ書評ブログを続けます。

組織を成長させるためには、パーパスが重要で人のつながりを築いていくことが欠かせないと著者は指摘します。共通のパーパスに向けて協働する個人によって構成された人間らしい組織が力を発揮します。

人の力を引き出し、変化を起こすヒューマン・マジックを解き放つためには、以下の3つが必要になります。
・誰もが安心感を抱く。
・自分という存在の価値を全面的に認められる。
・自分らしくいられる余裕や自由が必要。

ヒューマン・マジックを起こすためには、リーダーが以下のことを実践すべきです。
・全員をひとりの個人として扱うことで敬意を育む 。
・信頼を築くために安全で透明な環境を作る。
・弱さを見せることを奨励する 。
・効果的なチームダイナミクスを生み出すダイバーシティ&インクルージョンを推進する。

スタンフォード大学で教鞭をとるチャールズ・オライリーとジェフリー・フェファーは、並外れた成功をおさめた企業の要因はより優秀でより賢い人がいることではなく、従業員から最高の力を引き出し、 すべてのステークホルダーが繁栄できる方法を見つけだしたことだと述べています。

優れたリーダーは、職位にかかわらず貢献してくれる一人ひとりの従業員の価値を理解し、彼らの力を引き出し、それをまとめることでチームを強化します。そうした企業は従業員のことを顧客のように扱い、彼らを尊重します。相手の存在を認め、ありのままの姿を受け入れます。

信頼を築くために必要な4つのこと

信頼は、特に厳しい状況のなかで互いに支え合う経験から育まれる。

強い組織ではポジティブな情報だけでなく、悪いニュースもすぐに共有されます。問題が生じた場合にすぐに経営陣に伝わることで、彼らはリスクを軽減しています。人と人との真のつながりを築くこと、互いに信頼し合うことで、ネガティブな情報が共有されるようになります。逆に、クビや降格を恐れていると社員は悪い情報を隠そうとします。

ホールフーズの共同CEOであるジョン・マッキーとラジェンドラ・シソーディアは「意識の高い文化」において「信頼」と「思いやり」が2大要素だと述べています。信頼がなければ恐怖が生まれ、エンゲージメントと社員の創造性を奪ってしまうのです。心理的安全性を高めることが組織を強くしてくれるのです。

信頼を築くためには、以下の4つのことが必要になります。
①時間をかけること。
②やると言ったら実行すること。 
③身近に感じられる人であること。見えない相手のことは信頼できません。
④透明性を持つこと。

「弱さを見せることは関係を築く接着剤だ」とヒューストン大学ソーシャルワーク大学院研究教授のブレネー・ブラウンは指摘します。自分の弱さをさらけ出して本来の姿を見せることで、私たちは思いやりや、真の帰属意識や、偽りのないつながりを持つことができるようになります。リーダーも時に弱さを見せることで、人と人との本当のつながりが生まれます。

当然、リーダーシップには、弱さを見せるだけでなく、ときに厳しい決断を下したり希望を与えたりすることも求められます。2020年3月19日、新型コロナウイルス感染症のパンデミックのさなかにマリオットのCEOアーン・ソレンソンは従業員に動画メッセージを送ります。膵臓がんの治療を行なっていたソレンソンの髪の毛は抜け落ちていましたが、あえて弱っている姿を動画で見せました。

彼はまずウイルスによって直接影響を受けた従業員たちについて話し、支援を申し出ました。その後、パンデミックの影響と拡大防止の規制によってマリオットのホスピタリティビジネスが大きな打撃を受けていることを説明しました。厳しい状況が包み隠さず語られましたが、危機を軽減するための会社の取り組みについても説明されたためパニックは起こりませんでした。ソレンソンは自分の給与を年内無給とし、経営陣は50パーセントの減給、従業員の週の労働時間も減らされ、一時的な休職制度も実施されました。

彼は「とても大切な仲間たち、つまりこの会社の心臓部である従業員たちに、どうしようもできない出来事によって活動に影響が出てしまうと告げることほどつらいことはない」と語った後で、「今このときほど、みんなで切り抜けてやろうという強い気持ちになったことはない」と強調しました。

「その素晴らしい日が来たとき、私たちは世界に知られる温かさと思いやりをもって旅行客たちを迎えるだろう」と言うメッセージでソレンソン話を終えました。彼のメッセージは嘘のない心からの感動的なものであると同時に、社員の気持ちや士気を高めるものだったのです。パンデミックで未来を悲観していた社員の気持ちを一人のリーダーのメッセージを変えたのです。

信頼を得るためには、時には率直なフィードバックも必要です。「人の気持ちを傷つけたくない」という考えが、経営陣やメンバーの成長を止めてしまいます。取締役会で互いのフィードバックを行わない組織では、正しい判断を行うことができません。「ミネソタ・ナイス(礼儀正しく控えめなミネソタ人の気質)」を捨て、オープンで正直な関係に変わらなければ、組織を強くできないのです。

パフォーマンスの高いチームを作るためには、最高の力を発揮する個人を集め、最高の力を発揮するチームをつくることが重要になります。リーダーは人と人とのつながりを強化し、彼らの力を一つにまとめるように努力を重ねるべきです。


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